■免疫を高める食品選び〈16〉~アーユルヴェーダにおける肉の薬効 part.3~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.98

一日3食、間食一切なしで食べていても、水よりもちびちび食いやつまみ食いが必要に感じる場合、同じくタンパク質不足による血糖不安定状態の可能性があります。

・肉をあまり食べないのに、糖尿病が蔓延するインド

私がインド生活をしていた頃はちょうど、はじめてインドにケンタッキーフライドチキンのチェーン店ができはじめた時期でもあり、

「インドのケンタッキーフライドチキンて、一体どんな味がするんだろう?」ということで、友人と出来立てのそのお店に偵察しに行ったことがありました。

私とその友人が、フライドチキン入りのバーガーと、ベジタリアンヴァージョンのバーガー(カレー味のポテトコロッケがはさんでありました)を注文して食べ比べしていると、他の地元のインド人客も店に入ってきました。

おそらく親子づれと思われる大柄の、まるで相撲取りを1.5倍にしたようなハンパじゃない太り方をしたそのインド人の二人組が、カウンターで注文をしているのを眺めながら、「すでにそんな体なのに(明らかに運動をほとんどしていないような体つき)、フライドチキンを食べても大丈夫なの??」と、体の健康をちっとも考えていなさそうなその二人に余計な心配をしつつ、友人とバーガーを食べながら世間話していました。

するとふと、テーブルに置かれた山盛りのフライドチキン(えええ? それ二人で食べるの?? という量)を無心にほうばる彼らの姿が目に入り、思わず呆然としたことを覚えています。

(私たちがバーガーだけという地味な食べ方だったので、余計にそう思えたのかもしれません)

さて。そんな肉をたくさん食べれる裕福層の人たちはともかく、生まれてこの方、肉を一度も食べたことがないという人も多い、ベジタリアン大国インド。

卵さえもめったに食べない、または卵だけは食べるベジタリアンなど、さまざまなベジタリアンがいますが、そんな人たちは通常、日常的に牛乳を含めた乳製品をとっています。

インドは牛乳がおいしく、特にバッファローの牛乳は濃厚。インドの牛乳をはじめて口にしたときの感想は、日本の牛乳よりもかなり乳臭く、生命力を感じました。日本の牛乳とは味や風味がまったく違い、買った後に沸騰処理をしないと、数日後にはすぐにヨーグルトになってしまうほどに新鮮でした。

しかも毎日その日に絞ったフレッシュなものが簡単に手に入るので、日本にいた頃はほとんどフルーチェを食べるときにしか買わなかった牛乳も、インド生活時代には、ほぼ毎日飲むようになりました。

さて、肉の食べすぎは糖尿の元になることを前々々回ぐらいでお伝えしましたが、実はインドは、ベジタリアンの人たちが糖尿になることでも有名な国です。(アーユルヴェーダの教本では、最初の方に糖尿病についての叙述がされているほどで、アーユルヴェーダ薬にもたくさんの糖尿のための調合薬があります)

子どもの頃から糖尿になることは珍しいことではなく、社会問題のひとつにもなっています。

インド生活当時、サトウキビ畑を持ち、バッファローミルクで生計を立てていた知人の農夫のベジタリアンのおじさん(彼は生まれてこの方、肉を一度も食べたことがない人でした)も糖尿になりました。

(妙に甘いものがつまみたくなる……血糖不安定注意報)

一体、何が起こっているのでしょうか……。

これはどうやら、インドの貿易の歴史と古代インド人たちの高濃度な乳製品が加えてある食生活に答えが見えてきます。

インドはまた、古代からローマとの貿易を通じて、世界に向けて砂糖を輸出してきた創始国でもあったことから、昔から砂糖をたくさん栽培してきた国。

濃厚な乳製品と砂糖菓子の取りすぎ(=カファドーシャ過剰)が、インドを昔から有名な糖尿大国にしてきたのでした。

私自身、インド生活の中で体験したことは、肉を食べない分、やたらと乳製品へと自然に偏ってしまうこと。インドのチーズやバターはこれまた、濃厚でおいしいのです。

また、はじめて食べた当初はあまりの極端な甘さにびっくりしたインド特有のミルキーな激甘お菓子も、環境的な影響とは怖いもの。
インド暮らしを送るなかですっかり慣れていきました。

こうして環境的な理由から、知らず知らずのうちにベジタリアンになっていったのですが、妙に間食がしたくなるので、おやつスナックは当たり前になり、よくチャイと一緒につまんだものです。……