グルテンフリー食事が人気を集め、すっかり小麦は「要注意食品」扱いされて久しいここ数年。
今回は再び、アメリカ人のアーユルヴェーダ医師であり「EAT WHEAT」(世界的ベストセラー本)の著者ドクタージョンのアドバイスを交えながらご紹介したいと思います。
彼は自身のサイトで、これまでの多くの診察の中で、患者たちの多くが、休暇でヨーロッパへ行くと難なくパンを食べることができるのに、アメリカにいるときはパンを食べると消化関連の問題が起こることを耳にし、その原因について書いています。
それは、現代のたくさんの専門家たちが主張する「現代小麦は古代小麦に比べ、グルテンが多く含まれているため、私たち現代人はそれを消化するための遺伝子をそもそも持っていない」という言い分に対し、
小麦が食べられてきた歴史を調べれば、「現代の小麦はむしろ、長年の交配によってグルテンが含まれる量は少ない種に変換をとげていて食べやすい種になっている」というもの。
さらには、成分的な要素は古代と現代の小麦ではほとんど変わっていないということが、19年にも及ぶカナダでの長年の研究でわかっていることを紹介しています。
(ちなみに小麦の意図的な交配は、約12000年もの間なされてきたもので、天然の交配では何百年もの間続いてきているといわれています。現在私たちが食べている野菜や果物のほとんどが、交配によって食べやすく改良されたものがほとんど。)
そして実際には、現代の小麦種は、アメリカでもヨーロッパでもなんらかわらない交配種であることにも触れています。
……アメリカとヨーロッパの小麦自体に違いがないとすれば、これは一体どういうことなのでしょうか。
どうして多くのアメリカ人たちが、ヨーロッパでパンを食べると、全く問題なく食べれるのでしょう。
「休暇でヨーロッパへ旅行する多くの人たちが食べるパンのほとんどは、地元のローカルなパン屋で昔ながらの伝統的な方法で作られているパン。そのような古風な方法で作られたパンは、パンが作られるために必要な唯一の材料のみ、つまり小麦、塩、水のみが使われ、自然発酵でじっくりと時間をかけられて作られたものなので、そもそも防腐剤や添加物などが加えられていないのです。」
とドクターは説明しています。
ところでインド家庭の食卓で日常的に食べられているチャパティは、まさにこれの良い例で、
全粒小麦粉、塩、水のみ(場合によってはオイルを入れる家庭もありますが)で作られ、発酵さえもせずに伸ばしたものをそのまま焼くだけなので、ヨーロッパの発酵パンよりもシンプルで早く作れます。
ヨーロッパの伝統的な方法で作られたパンにせよ、チャパティにせよ、こういったいわば元祖パンは、保存がきかず、二日程度でカチカチになってしまうのが常。だからすぐに食べてしまわないといけません。