【短期的な願望】ディーパック・チョプラ博士~正しい種類の願望を持つこと

「意識的なライフスタイル」~PART.6

自分のために意識的な人生を形成するには、ほとんどの人が流されてしまいがちな「無意識」的な生き方というものに対処しなくてはなりません。何か行動することによって、自動的に時間は埋められていきます。無意識に生きるということは、抑制された意識を持っていることと同じです。意識的に生きることは、無意識とは逆にあなたのマインドを拡大させるプロセスです。これは、少しハードルが高く思えるかもしれませんが、過去数回の投稿でみてきたように、現実においては、一日をいかに過ごすかということをじっくり吟味することによって、大きな進歩を遂げることができるのです。

このシリーズでは、一般的に私たちの時間を埋めてしまう3つの活動に注目することから始めました。
1.決まりきった仕事を繰り返すこと
2.問題が生じるたびに対処すること
3.短期的な願望を満たすこと

1と2に関しては、少し詳しく述べて来ましたので、これから3の「短期的な願望を満たすこと」をみていきましょう。
日常生活において、短期的な願望は、長期的な願望と競合します。そしてその両者の適正なバランスを見出せるなら、誰もが大きな成功を手にすることでしょう。もし短期的な満足に重点をおきすぎると、食べたり飲んだりすること、すべてをきちんと整った状態に保つこと、雑用をこなすこと、他者を細かく管理すること、完璧主義、噂話、ささやかな気晴らしといったことが、なによりも重要になってきます。時間の管理が上手な人は、これらはどれも効率が悪く、時間の無駄であると捉えるものなのですが、それはかなり真実をついています。
しかし、より重要な点は、こうした行動のいずれも、あなたのマインドを意欲的にするものではないということです。それらが要求する集中力の持続時間は短いもので、長期的な満足を与えることはなく、快楽の小さな実現に甘んじているにすぎないのです。短期的な満足の連続というのは、ごちそうを作ってじっくり味わうのではなく、30分おきに飴をなめるようなものなのです。
長期的な願望とは、感情面においてより成熟したものです。なぜなら、それらは、さらに大きな報酬のために満足を先延ばしにするからです。誰もがこのことに気づいているので、退職後のプランをたてたりします。いずれ報われるために、長年の間、懸命に働くというわけです。しかし、そうした長い年月は満足いくものではないことが多いものです。それはまるで、自分の生涯のほとんどの時間をつまらない仕事に費やしているようなものです。その対処法は、短期的な願望のなかでも正しい種類の願望を持つことです。正しい種類とは何か、その定義は別に難しいものではありません。それは、よりよい来年を過ごすために、今日あなたが行えることで構成されます。
本を書くことにたとえてみてください。もし毎日1ページずつ書くとしたら、あなたの原稿は来年には完成するでしょう。1ページなんて、たいしたことないように聞こえるかも知れません。しかし大切なのは、目指すべき最終ゴールにふさわしいものでなくてはならないということです。ヘミングウェイは、毎日半ページだけ書くことを自分に課していました。もしあなたが今日、長期的なビジョン、計画、プロジェクト、もしくは使命を実現する方向へと意識的に向かうような何かを行えるなら、あなたは自分自身の人生におけるヘミングウェイとなるでしょう。

以下、いくつか提案があります。
1.ひとつのビジョン、プロジェクト、またはミッションを定める
2.毎日、それに取り組むための時間を確保する
3.調査をしたり、人間関係を構築したり、ターゲット層や市場を調査したり、自分のプロジェクトと類似するものから学んだり、自分の仮定に疑問を呈してみたり、提案書を書いてみたり、自分のアイデアを投げかけるためのメンターやパートナーもしくは親しい友人を探してみたり、必要とあらば資金を調達する、といった取り組みをすること。
4. 毎月、おおよそ守ることができそうな暫定的な締切をもうけること。
5. プロジェクトが展開していくにつれ、変化に対して順応的であること。

これらそれぞれのステップは、興味深いものであったり、あなたをワクワクさせるものであることが望まれます。人が創造的で情熱的、そして喜びを感じるときはいつでも、意識が拡張しています。もしこうした資質を持っていないと、長期的目標を実現したくてたまらないワクワクする気持ちで毎朝目覚めるという体験はできないでしょう。私が提案した5つのステップの価値とは、あなたが行動指向型になることであり、ひいてはあなたの目標がゆらいだり、空虚な夢と化したりすることはなくなるのです。

次回の投稿では、最も生産性が高く、価値ある長期的なゴールについて考察します。そのヒントは、始まりは内的なものから、そして外へ向かって行動することにあります。
(次号へ続く)

ディーパック・チョプラ

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