ルーティンを超越する・後編 ディーパック・チョプラ博士「意識的なライフスタイル」~PART.3

意識的であるとは、どういうことなのでしょう?

前半の記事では、意識的であることを妨げる最大の障害は、ルーティン(決まりきった仕事や、型にはまったやり方)であると述べました。もしそれが事実なら、さらに深く検証してみる価値があります。意識的であるとは、どういうことなのでしょう?その答えは常に進化し変わり続けています。なぜなら、意識は固定されておらず、動きのあるものだからです。それに反して、ルーティンワークは固定されており、無意識に繰り返されるものなのです。
お決まりのルーティンに陥ると――たとえそれが、支店長や部門長であったり、役員会議の主催といった非常に高いレベルのルーティンであっても――心は予測可能なマンネリの状態になります。事を荒立てないように、マンネリの中にとどまるべきだというプレッシャーがかかります。私はかつて、周囲の注意をひき、ビジネスの代わり映えしない味気無さを打ち破る手段として、赤い靴下を履いたというある会社役員の話を読みました。当時、私は、それはマンネリを相殺するにはあまりにお粗末でうすっぺらな方法だと思いました。周囲に失笑をもたらす程度で、そしてまたすぐに元のマンネリに戻るのが関の山だろうと思ったのです。

マルチタスクは無意識に行われている

意識的になれば、マンネリに陥ることはありません。ルーティンとは人工的につくり出されたものです。脳の機能をみてみると、私たち誰もが、複数のタスク処理を同時に行っています。食べたものを消化し、ホルモンを分泌し、政治について語り、自分がいま相手にどんな印象を与えているか心配し、性的衝動がちらりと走る――こうしたタスクを同時に行っているのです。このようなマルチタスクのほとんどは、無意識に行われています。あなたの心は、身体の自動的な機能に関与しておらず、呼吸、感情喚起、気分といった半無意識状態の機能でさえ、基本的に自動操縦状態で行われているのです。
こうしたことから、脳はルーティンに支配されると、容易に惰性に陥ってしまうということがわかります。一日に浮かぶ思考の約9割は、前日の思考と同じであると考えられています。実際の割合がどのぐらいであれ、そこからの教訓とは、脳はあなたが介在するときだけ、隠された可能性を表すということです。あなたは意識的な媒介者なのです。どれだけ効果的に脳をリードし、啓発し、使うことができるかは、あなたしだいなのです。

脳機能は使わないと萎縮する

レオナルド・ダ・ヴィンチが新しい絵の制作に着手しようと決めることは、会社役員が赤い靴下を履こうと決めることと似ている、と言うと妙に聞こえるかもしれません。なぜなら靴下のほうは取るに足らぬ行為で、ダ・ヴィンチのほうは非常に意味のある行為だからです。しかし、脳の観点からすると、両者はともに新しい可能性を生み出す創造的な行動です。記憶のような脳機能に言及するとき、「使わなければダメになる」という考えは、もはや当たり前の事実となりました。筋肉と脳に関しては特にあてはまるのですが、機能というものは使わないと委縮する、という教訓を私たちは学んだのです。
しかしもっと重要なのは、「意識しなければ眠っているも同然」ということです。これは先の言葉ほどインパクトはないかもしれませんが、そこに含まれている意味は深遠なものです。仏教において「マインドフルネス」と呼んでいるものが、これに相当します。現実は、変化するものです。あなたの現実への対応もまた、変わっていかねばなりません。これをどう成し遂げるかということは、多くの要素を含みますので、次号以降で触れていきます。

ディーパック・チョプラ
翻訳: 水谷美紀子/渡邊愛子

ディーパック・チョプラ博士講演会『これからのウェルビーイング』
【日程】2014年9月21日(日)
【時間】12:00~14:40
※14:10~14:40はパネルによる質疑応答を予定
※同時通訳システム付
【会場】パシフィコ横浜 会議センター1F メインホール
【料金】SS席 (指定席)……30,000円(税別)※先着順230席限定
<プレミア特典>サイン会参加&ツーショット写真撮影付き!
(サイン会は14:40~16:00、カメラをご持参ください)
S席(指定席)……15,000円(税別)※先着順
A席(自由席)……8,000円(税別)
お申込み>>TrinitySHOP
問:株式会社エルアウラ チョプラ博士2014講演会事務局
TEL 03-5778-3290
チラシPD(表) チラシPDF(裏)

<Profile>

ディーパック・チョプラ
医学博士
心と体の医学、ウェルビーイング分野の世界的な第一人者で、70冊を超える著書は35ヶ国に翻訳、発行部数は2000万部超。
クリントン前米大統領訪印時「アメリカは代替医療の先駆者ディーパック・チョプラ博士に代表されるインド系アメリカ人の方々のお蔭で豊かになった」
ミハイル・ゴルバチョフ元ソビエト連邦大統領から「チョプラ博士は間違いなく、われわれの時代で最も分かりやすく感銘を与える哲学者だ」と評され、タイム誌発表の「20世紀の英雄と象徴トップ100」に選ばれ、「代替医療の詩人・予言者」と紹介される。CNN ニュース他メディア出演多数。
レディー・ガガ、ミランダ・カー、マイク・マイヤーズ他、多くのハリウッドのセレブたちのスピリチュアルメンターであり、故マイケル・ジャクソンの親しい友人で相談役でもあった。マドンナ、デミ・ムーアとも親交が深く、共に「A Gift Of Love: Deepak & Friends」というルーミーの詩を朗読したCDも出している。
内分泌科専攻、米国内科医師会フェロー、米国内分泌科医協会メンバー、ケロッグ経営大学院非常勤講師。
コロンビア経営大学院の著名な経営学者、ギャラップ社上席研究員でもある。
ハーバード大学医学大学院主催の内科最新情報を学ぶ年中行事で10年以上講師を務めている。
カリフォルニア、サンディエゴにある「チョプラセンター」創始者。その活動をつうじて西洋の医学と東洋の伝統的な自然のヒーリングを統合させた癒しの手法を確立した。

▼ディーパック・チョプラ オフィシャルWEBサイト
http://www.chopra.jp

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