「猫背を治すために背筋を伸ばす」は間違い!?~オステオパシーのプロが教える猫背対策法

猫背のイメージって良くないですよね。実年齢より老けて見える、不健康そう、消極的、元気がなさそう、暗そう……といった印象を与えてしまうようです。
私の治療院にも猫背を治したいとおっしゃる方が多くいらっしゃいますし、猫背でお悩みの方は少なくないと思います。そこで今回は猫背になる原因やその対処法についてお話しします。

【猫背のチェック方法】
まず、ご自身が猫背かどうかチェックしてみましょう。まっすぐ立った状態を横から見たとき、耳、肩、大転子、膝の横、足首が縦に一直線に並んでいれば良い姿勢です。

どうして猫背になってしまうの?

ところで、なぜ猫背になってしまうのでしょうか?猫背の原因を検索してみると、

・日本人特有の平べったい体型
・筋力不足や運動不足
・精神的な原因
・パソコンに向かう時間が長い

など、いろいろ出てきました。あまりの情報の雑多さに何が本当の原因なのかわからず混乱しますね。
それでは、もう少し具体的にわかりやすく猫背の原因を考えてみましょう。

【猫背になるメカニズム】
どうして背中が曲がってしまうのでしょうか。実は、次のような段階を経て曲がってゆくのです。
主に座る姿勢の悪さから骨盤が前傾する。(骨盤の前傾の状態とは立ってお辞儀した時の骨盤の状態です)

骨盤が前傾した状態で立つとそのままでは前に倒れてしまうため、腰を必要以上に反らせて、前に体が倒れないようにする。

腰が必要以上に反った状態では腰から背中全体が疲れてしまいますが、腰を反らすのを止めると体が前に倒れてしまうため、背中を丸めて休む。

簡単に書くと、こういうメカニズムで背中が曲がるわけです。
他にも原因はありますが、これが一番大きな猫背の原因です。
ですから、猫背の人は必要以上に腰が反りすぎている人が多いです。
運動不足、パソコンに向かう時間が長いなども猫背の原因ではありますが、それが猫背にどうつながるのかがわからなかい方が多いのではないか、と思います。

「背筋を伸ばせ」は実は間違い

よく猫背の人に「背すじを伸ばせ」「胸を張れ」などと言います。しかし、それでは猫背は治りません。
背筋を伸ばすというのは、肩甲骨の間に力を入れることになり、かえってそこが硬くなってしまう場合が多いわけです。それに、姿勢というのは自然に力を抜いた状態の時しか持続しません。無理に背筋を伸ばしたり、胸を張っても数分が限度ではないでしょうか?
姿勢を自分で意識的に正すという事は、困難だと思います。
むしろ姿勢というのは今の体の状態を正直に現わしているのです。普通にしていて猫背ならば、今の自分の体の状態がそれだけ悪いわけです。猫背と言っても、背中だけ悪いわけではありません。猫背の一番の原因は骨盤です

体の状態を改善出来れば、姿勢は自然と良くなります。無理に背筋を伸ばす事も、無理に胸を張る事もありません。
人間の身体の状態は、全て必然的に起こっているものなのです。
誰しも、猫背になんてなりたいわけではありません。猫背にならないと身体が保てないので仕方なく猫背になっているのです。

自分で出来る猫背解消法

酷い猫背の場合は専門家に任せるしかありませんが、程度によってはご自分で解消出来る場合もあります。
①まず、脚を前に伸ばして床に座ってみてください。
脚を伸ばして座った時、横から見て腰が伸びていればOKです。


骨盤の状態が前傾くしていると、横から見て腰が丸くなってしまうはずです。


骨盤が丸くなってしまう人は、腰が伸びる位置まで後ろに倒れて手で体を支えてください。

この状態でも結構きついはずです。出来れば数分そのままがんばってみてください。今迄硬かった所が伸びていくはずです。
毎日続けていると、脚を前に伸ばしても腰を伸ばして座れるようになるはずです。そうなれば骨盤の前傾はかなり改善されているはずです。立った時骨盤が前傾していなければ、腰を反らす必要はありませんので、腰をそらさないで、力を抜いて立てるはずです。
その状態であれば腰や背中も疲れないので、背中を丸める必要もありません。つまり猫背である必要はないわけです。

Text 東江英行
■トーエ治療院(トーエオステオパシーオフィス)
http://www.cityfujisawa.ne.jp/~toue/