ココロセラピストが語る! 「行動の意味」とは?

人間は変化を恐れる

「攻撃こそ最大の防御なり」という言葉があります。この言葉、物騒ではありますが少し単語を変えて見るとなかなか良い感じになります。「行動こそ最大の防御なり」。如何でしょうか。

唐突過ぎて何を言っているかわからなかったかもしれません。『攻撃』というと、人を傷つけるイメージがありますが、僕が言いたいのは誰かを傷つける目的の話ではありません。

悩みを抱える人たちの多くには、ある共通点があります。それは『動けない(動かない)』と言う事です。何かしたいことがある。やりたいことがある。実現したい事がある。

「でも……」という反論が自分の中に出て来るのです。「でも……」の続きが、「めんどくさい」なのか「時間が無い」なのか「お金が無い」なのか「勇気が無い」なのかわからないですが、突き詰めて行くと『恐怖』があると言えなくもありません。

というのも、ちゃんと理由があって『人間は変化を恐れる』傾向があるのです。それは何故かと言うと、予測が難しい未知なる可能性が自分にとってリスクがあるかも知れないという、言わば防衛本能が働くからです。

確かに、何も考えず突っ走る人がいたらそれはそれで危険と言うか、少しは後先考えて行動した方が良いのではないかと思わず助言したくなってしまいますよね。ただし問題なのは「何も考えず」というところであって、突っ走る事が必ずしも悪いわけではないのです。

「虎穴に入らずんば子虎を得ず」ということわざがありますが、子虎を欲しいとも何とも思わない人が、何も考えずにわざわざ虎の穴に入って行ったら良い事はありません。

ゴール設定が大切なのです。自分は何を得るために何をすれば良いのか。そこがハッキリしていないと、やっぱり『動けない』のです。ゴール設定と言うのは簡単に言うと、最終的に自分はどういう状態でいたいのかと言う事です。優先順位が高ければ高いほど良いと思います。

確かに『人間は変化を恐れる』傾向はありますが、人間は決して怯えているだけの動物ではないのも事実であることを忘れてはなりません。『人間は自らの力で希望を創り出す力を持っている』ということの方がむしろ重要だと思います。

理屈っぽい話を続けるのも何なので、自分を例に出して話をします。かつて勤めていた職場に僕はどうも馴染むことが出来ませんでした。職種が向いていないのか、組織の方向性が自分と合わなかったのか、経営者、上司、同僚と合わなかったのか。それに関しては何とも言えませんが、とにかくうまく溶け込めなかったのです。誰が悪いとかそういう話ではありません。僕は日に日にストレスがたまって精神的にどんどん追い詰められていきました。でも、僕は典型的に『変化を恐れる』タイプだったので、「今のままでも、とりあえず給料は少なからず貰えるし、贅沢なんて言っていられないよな……」とか自分に言い訳をしていました。

確かにその自己弁護にも一理あるのですが、日に日に精神的に辛くて気が狂いそうになって来ると、ある事に気がついてしまったのです。『変化を恐れる』がために『現状維持』を選んだつもりですが、日に日に弱って来ているというのは『変化は既に起こっていた』ということなのです。変化をしない事、そして現状を受け入れる事で自分を守れるという理屈は通用しないのです。僕は混乱しました。「じゃあ、どうすれば良いんだろう?」と悶々とする日がさらに続きました。スタッフも少ないのに自分がいなくなったら職場に迷惑がかかるのではないか。退職すると言ったら、退職日まで気まずい思いをしなければならないのではないか。あらゆるネガティブなイメージが浮かんできました。

次第に「結局、僕の人生ってこうやって消費されて終わって行くだけなのかな……」という気持ちになって来ました。次第に、心が麻痺してきて思考力も低下して来ました。その時、僕の至ってシンプルなゴールが見えたのです。「辞めたい……」。それだけです。お金がどうとか、世間体がどうとか、他のスタッフがどうとか辞めるまでの期間がどうとか、そんな事を考える余裕すら無くなっていたのです。

『現状維持=幸せ』等という方程式はないのです。望もうと望むまいと『変化はやって来る』のです。僕は退職を決意しました。恐怖が無いと言えば嘘になります。一気に心が回復したかと言えば、そんなこともありません。ただ決意したら行動するのみです。言い方は悪いかもしれませんが、どうせ度の道、平坦な道などないのですから。僕は退職願を持って上司のところへ向かいました。そこから念願の退職に話が進んだかというと、即日で辞められるわけもありませんので、最後の最後までストレスは消えてはくれませんでした。

しかし、いざ最終日が終わってみると一気に心が軽くなったのです。「空はこんなにも青く世界は広く美しかったのか! これが自由なのか!」まさに、そんな心境でした。

僕は、自分自身の弱い心が創り出した檻の中に閉じ込められていたのです。
時には耐える事も動かない事も大切だと思います。けれども結果的に自分を守ったのは『行動』だったと思っています。結果的に僕がいなくなったことで売り上げが下がったとか、倒産したとか言う話は耳にしていませんし、若干は迷惑をかけたと心苦しくはありますが、自分の気持ちに従って行動する事が必ずしもリスクではないのだなと思いました。

僕は少々暗いタイプの人間(?)なので事例が暗くなってしまいましたが、別に会社を辞めなさいとか、そう言う話ではないので誤解しないようにお願いします。ただ、行動が未来を変える。これが少しでも伝わってくれたら嬉しいです。