一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.27 『永遠の0』

何者かの力が働いたであろう
素晴らしい出来の珠玉の一作!

たぶんお正月映画で邦画では一番の動員を見込める作品だと思う。
文句なしに素晴らしい出来。
謎がある。エンターテインメントである。泣ける。ラスト謎が全て解けてカタルシスと感動がある。考えさせられる。秀逸で忘れがたいラストショットにとどめの涙! そして深い余韻……。
よくぞこんな映画今の日本でつくれたものだと驚く。
これはたぶん、何かの力が働いたんだな、と思う。
今の日本人にこの映画でメッセージを伝えるために、太平洋戦争で散った魂たちが力を貸したんだろう。

 

 

宮部たち、特攻で死んでいった若者たち
私たちはただ、生きるだけでいいのだから

始まりは淡々としている。
司法試験に何度も落ちて進路に迷う一人の青年が、祖母の葬式で祖父から意外な事実を知らされる。今現在の祖父は実は血のつながりがなく、実の祖父は60年前、特攻のパイロットとして戦死していた。青年は実祖父、宮部久蔵に興味を持ち、かつての部下たちに話を聞くことに。しかし祖父の評判は散々なものだった・・・・。

青年が生きる現代と、60年前の宮部久蔵の生きる戦時中を交錯させて描く。天才的な操縦技術を持ったパイロットながら、お命大事と生き残ることだけに執着した宮部。しかし、それは深い訳があったのだ。

青年が祖父の本当の姿を知っていくことによって成長し、今の自分は、今の日本はどうだ!? と深い省察と途方にくれるラストはこちらの身に迫る。私はどうだろう? 精一杯日々生きられているか? 生きたくても生きることができなかった特攻隊や戦争で死んでいった若者たちに顔向けできるか? できない……。
大抵の人はできないのではないかと思う。しかし、それでいいのだ。だって、ただ生きるだけでいいのだから。私たちは。
自分の人生をただ、生きるだけ。それがこの世に生まれてきた意味なのだから。

 

 

祖母・松乃がらみのシーンは涙涙……
素晴らしい映画はエネルギーとパワーをくれる

何度も涙が流れたのだが、やはり、妻松乃の元へ久蔵が帰ってきた! と思ったら違う人だった、というくだりと、松乃が「約束を守ってくれました……」と言う、松乃がらみのシーンに一番心が動かされた。あと、ラストの青年の嘆きとラストショット。このラストショットにはたくさんの思いが詰まっている、渾身のショットだ。

私たちはこの映画で、日本を守るために命を賭してくれた魂に感謝できたらいいと思う。そして、彼らを誇りに思い、日本を誇りに思い、日本人としてただ、生きていけば良いと思う。たまに、このような素晴らしい映画を観て。
映画1本で人生なんて変わるものじゃないけれど、素晴らしい映画は強いエネルギーとパワーと浄化を与えてくれるものである。
この映画はそういう映画だ。

 

 

『永遠の0』
2013年12月21日(土) 全国東宝系ロードショー
(C)2013「永遠の0」製作委員会

http://www.eienno-zero.jp/index.html

原作: 百田尚樹「永遠の0」(太田出版)『永遠の0』
監督・VFX:山崎 貴
脚本:山崎 貴  林 民夫
出演: 岡田准一 三浦春馬 井上真央

濱田 岳 新井浩文 染谷将太 三浦貴大 上田竜也 吹石一恵
田中 泯 山本 學 風吹ジュン 平幹二朗 橋爪 功 夏八木勲

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