ライフスタイルデザイナー高橋克彰の“ウェルネスのセンスを磨く” PART.18~不健康税…!?

ジャンク税って何?

毎日暑いですね〜。こんな暑い時期はキーンと冷えたかき氷が食べたい!ところですが、ぼくは最近なぜかパンケーキにハマっております。 みなさんはチップス税とかソーダ税とか聞いたことありますか? その名前のとおり、ポテトチップスや甘い炭酸飲料など、健康に害を及ぼすであろう食品にかける税金です。これは欧米の国々で積極的に検討されつつある税金で、すでに導入している国があります。 2010年 ルーマニアでジャンクフード税導入(具体的な導入内容がどうもわからない。) 2011年9月1日 ハンガリーで通称ポテトチップス税導入(糖分と塩分の多い飲食品に課税) 2011年10月1日 デンマークで脂肪税を導入(肉、乳製品など飽和脂肪酸を2.3%以上含む食品に課税) 2012年1月1日 フランスでソーダ税を導入(糖分の入った飲料1缶に対して0.01ユーロの課税) このような税金を設ける狙いは、「増え続ける肥満の防止」「医療費の削減」「増税」です。 一見すると国としてメリットの大きい税金です。日本でも脂肪税やソーダ税などは積極的に導入すべきだとぼくは思っています。

日本で不健康税は導入されるのか?

結論をいうと、現実的にはものすごく難しいだろうと思います。 1つの理由は、他の国でもこれらの税金を導入しようとしたときに、例えばソーダ税なら飲料メーカーから大きな反発がありました。食品や飲料のメーカーの規模は国の経済の中でとても大きなウェイトを占めるので、そのようなメーカーに不利な政策は政治家としてはとても提案しにくいでしょうね。経済界のバックを失いますから。 もう1つが特に日本らしいものですが、日本はよく「官僚政治」と揶揄されるほど政治に対して官僚が力を持っています。いわば日本の政策は官僚が動かしているわけです。この官僚社会は「縦割り行政」と言われ、単純に言うと各省庁ごとに利権争いをしているわけですね。 どういうことかと言うと、もし脂肪税を導入したとすると喜ぶ省庁があります。1つは厚生労働省。動物性の脂肪摂取量が減れば生活習慣病は減りますから、厚生労働省としてはお手柄。もう1つ喜ぶのは財務省。税収が増えますし、財務省官僚は新しい税金を作ることで成績が付きます。逆に反対する省庁の代表格は農林水産省。酪農へのダメージは大きいですから当然反対しますよね。あと経済産業省。お肉を取り扱う食品メーカーや外食産業の売上げは下がります。 このように1つの政策を打ち出そうとすると恩恵にあずかる省庁と損失を被る省庁があって、縦割り行政なのでそれぞれの省庁間の壁が高く、なかなか政策が決まらないのが日本の特徴です。 デンマークで導入された脂肪税はわずか1年で撤廃になったみたいですね。 もちろん業界からの猛反対もあったと思いますが、お隣のドイツにみんな買いに行っちゃうみたいで、結果的に健康問題も解消されないし、他国にお金が流れるから、結果的に国としてメリットがなかったみたいで。イギリスでもチョコレート税が論議されたりしていますが、導入には至っていないみたいです。 しかし間違いなく言えるのは、脂肪税やソーダ税のように不健康なものにはお金がかかってくるというのは世界の流れです。日本も必ずそうなっていきます。

お肉や乳製品は不健康か?

タバコって健康にいいと思いますか? アルコールって健康にいいと思いますか? 一般的には「健康に良くない」と認識されています。事実それで間違いないでしょう。これらは人間にとって不健康であるがゆえにタバコ税、酒税などの税金がかかってきます。そう、人に害をもたらすであろうものには税金がかからけて価格を高くし、抑制をさせるわけですね。逆に医療だったり薬だったり、健康にするものには国がお金を補助するわけです。 ではお肉や乳製品など飽和脂肪酸を含んだものに税金をかけるということは、「お肉や乳製品は総合的にみて不健康なもの」とデンマークは見なしているわけですね。だって健康的であればあえて税金をかける必要もわけですから。 ぼくは普段あまりお肉や乳製品は食べません。総合的に見てそれらは健康に対してマイナスなものだと認識しています。でもぼくの親の世代からは「お肉を食べないと元気にならない!力がつかない!」「タンパク質はどうやってとるの?」と言われます。ヨーグルトの健康神話も日本ではとても根強い。別にタンパク質はお肉に限らず、お魚、豆やナッツ類などからも摂れるわけで……。ビタミンB12だけはお肉からじゃないと摂りにくいというのはありますけどね。 いずれにせよ、「お肉や乳製品は健康に必要」という戦後培われて来た考え方は見直す必要があると思っています。 「じゃあなんでおまえパンケーキ食べとんねん!」って言われそうですが……。