セクシーさもキャリアも。女性にとって人生までも投影する“ハイヒール”の魅力。映画「私が靴を愛するワケ」

靴に自分を投影する、女性にとっての靴とは?

世のなかには“靴マニア”の女性がいる。というより、“女性は靴マニアである”と知らしめたのは、ご存じ海外ドラマ「SEX AND THE CITY」。4人の女性たちが華やかに繰り広げるファッション、仕事、SEXライフは、世界中の女性たちのリアルを描き出し、大ブームとなったのは記憶に新しいですよね。主人公キャリー・ブラッドショーの靴に対する偏愛っぷりも、多くの共感と憧れを呼びました。

女性なら誰でも、ハイヒールを履いた時の気持ちの高揚、理解できるのではないでしょうか。普段はスニーカーやペタンコ靴を愛用しているという人でも、ヒールの靴を履くと女度が上がったような気分になれる。勝負の時には、ハイヒールという人も多いはずです。

 

なぜ、「靴」が女性にとって特別なのか。その心を追求するドキュメンタリー映画が「私が靴を愛するワケ」。歌手のファーギー、バーレスダンサーとして日本でもブレイクしたディタ・フォンティースをはじめ、バレリーナなど、さまざまな職業の女性たちが、靴への愛情をたっぷりと語るほか、マノロ・ブラニク、クリスチャン・ルブタンなどトップシューズブランドのデザイナー御本家たちも登場。ファッションアイテムであり芸術品でもある靴の魅力について解説しています。ため息がでるような美しい靴たちが次々と登場して、靴好きの女性たちにとっては観ているだけでHAPPYになれるような映画です。

 

靴を買ってしまう自分の心理、靴の歴史、靴と社会、そして靴に宿るフェティシズムについてなど、さまざまな切り口で靴と女性の関係をひも解いていきます。靴は女性にとって、自分を表現するアイテム。靴を変えれば人生も変わる、靴はもっとも身近なアートであるなど、登場人物たちの靴に対するある意味の“偏愛っぷり”はもうアッパレもの。と、同時にすごく共感できる部分も多くて、映画を観終わった後はハイヒールに足を通したくなっているはず。

上)日本でもブレイクしたディタ・フォン・ティース。下)世界中の女性を虜にするクリスチャン・ルブタン 

ハイヒールって不思議なアイテムですよね。女性らしいフォルムで履くだけでセクシー度がアップする。特にピンヒールなどは、その見た目には危うさや儚さがあるのに、キャリアの女性たちはそれを強さの象徴として履きこなしています。それもまた、ヒールの魔法なのかもしれません。そして、それを履きこなすむずかしさも……。映画では、ファッションショーでハイヒールの魔物にとらわれ転ぶモデルたちの姿も。靴マニア大国であるアメリカなどでは、ハイヒールを美しく履くためのトレーニング教室などもあるそうです。

女性にとって、特別な意味を持つ靴。象徴的だなと思ったのが、ドラッグクィーンがお気に入りの靴を探すシーン。クローゼットから「これでもない、これでもない」と靴を放り投げるのですが、きっとホンモノ(?)の女性たちはそんな風に靴を扱わないでしょうね。そのワンシーンにも、女性にとっての靴の真実が隠されているような気もしました。

美しい靴、それを愛する靴マニアたちが語る、女と靴と人生。しばらく履いていない勝負ハイヒールを久々に履いて出かけてみてはいかがでしょう?

「私が靴を愛するワケ」
公開中(新宿武蔵野館ほか、全国順次ロードショー)
監督:ジュリー・ベナスラ 出演:クリスチャン・ルブタン、マノロ・ブラニク、ジョヴァンナ・フェラガモ、ファーギー、ディタ・フォンティーヌほか
配給:アルシネテラン
http://www.alcine-terran.com/shoes/
© Caid Productions, Inc. All rights reserved./©Mattel, Inc.

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