神仏絵師のよろづ話:第七話「軍荼利明王。インフルエンザを滅す!」

みなさん、こんにちは。神仏絵師の昌克です。観音様、明王様などの日本の神仏や、天使様を描いております。ここでは、私が絵を描きながら学んだり、感じたこと、神仏の姿に隠されたメッセージなどを書いてまいります。

今年は巳年。その守り本尊は、普賢菩薩様ですが、今回は、ちょっとひねって軍荼利(ぐんだり)明王様をご紹介します。なぜかと言うと、その大きな特徴は、体に「蛇」をまとっているからなのです(ちょっと乱暴かな〜。)そして、もうひとつの秘密。それは後ほど…。

軍荼利明王様は「五大明王」の中の一人

そもそも軍荼利明王様とは、不動明王様を筆頭とした「五大明王」の中のお一人で南方を守るとされています。そして、この軍荼利明王様の「ぐんだり」とは、その起源もハッキリしていて、サンスクリット語の「渦巻き、螺旋(らせん)など」を意味する「クンダラ」から来ています。まさに「蛇」を連想するキーワードですね。その後、この「クンダラ」は、チャクラを流れるエネルギー「クンダリニー(クンダリーニ)」へと発展していきました。その理由は、ヨガなどを習ってる方なら詳しいかもしれませんが、このエネルギーは、体の中で眠っているとされていて、覚醒する時の感覚が「蛇が首を持ち上げるようなイメージ」だから「クンダリニー(クンダリーニ)」と呼ばれるようになったそうです。このエネルギーは様々な分野で活用され、いずにれしても人間の生命エネルギーであることは共通しているようですね。

 

 

さて、タイトルにもあるのですが、なぜ「インフルエンザを滅す」なのか。実は、この軍荼利明王様、密教では「毘那夜迦(ビナヤカ)」を退治したとされていて、まさにこの「毘那夜迦」こそが、様々な「疫病」をバラまく元凶とされていたのです。
現代に生きる私たちは、インフルエンザのような感冒は、ウイルスや細菌による感染だと知っていて、その存在は当たり前のように理解していますが、それ以前の人々にとって、人から人へと感染する疫病は、まさに何者かの仕業としか考えられませんでした。だからこそ、その何者かを退治する者の存在が必要でした。
もちろん、病をまきちらす何者かは誰かわかりません。だからそれを退治できるのも人間ではないのです。まさに神仏にすがるしかなかったのです。そしてその役割は、やはり明王様のお仕事でしょうね。この憤怒のお顔をご覧ください。どんな悪者も逃がすことはないでしょう。

をまき散らすものを退治するのは明王様のパワー

文明が発達し、様々な事象が科学的・物理的に解明されてきました。さきほどの「疫病」も、その正体が判明し、薬やワクチンが開発されました。その結果、恐れる必要が無くなったでしょうか? 実際には、もっと悪質なウイルスや細菌が現れ、私たちの生活を脅かし続けています。まさに「負の螺旋(らせん)」まさしく」「負のクンダラ」です!

では、この「螺旋」から逃れる術はあるのでしょうか? 実は、私たち自身にできることがあります。それは「予防」です。マスクをする。外出から帰ったら「手洗い・うがい」をする。たったこれだけのことで、この螺旋から逃れる可能性が高まるのです。我が身を守ることは、他人を守ることなのです。

次回は、バレンタイン直前号「愛は煩悩にあらず。愛染明王様」です。

お知らせ
「第2回 神仏画展」開催予定!
7月11日(木)〜16日(火)
吉祥寺第一ホテル1F ギャラリーK
詳細は、こちら。
http://www1.parkcity.ne.jp/am/shinbutsugaten/2013/