増え続けるセックスレス現象はAV型セックスの刷り込みが原因

21世紀に入ってからというもの、日本では若い世代まで含めてのセックスレス・カップルの急増という現象が問題になっています。肉体的には性的能力があって、その相手もいるのにセックスを忌避してパートナーを嘆かせている人たちのことを「性嫌悪症」と呼ぶ精神科の診断名まで登場し、男性・女性ともに増え続けているといいます。

前回のお話では、相手がそばにいてもセックスをしたくない人たちの代表的な理由をご紹介しましたが、男性側の理由として次の2つを挙げました。
①疲れるから。
②妻に対してはイヤらしい気分になれないから。

男性がそう感じてしまうのは、若い頃からAVなどのポルノ映像でセックスを学習してきたことが原因だと言えるのです。そして女性側の理由もまた、この同じことが原因となって生まれています。(こちらについては次回で詳しくお話しします)

そもそもポルノ映像は、男性の射精をセックスのゴールと捉え、その到達点をめざして、男性の肉体的欲望を視覚的に刺激することを目的に作られています。

これに対して、元々、人間の性エネルギーは、全身全霊にめぐらせることによって、新たな生命力を供給する働きをするものです。
ところが、そうすることなく、刺激された性エネルギーをただちに精液という形で放出してしまうと、どうなるでしょう? 精液とは、子供の命の素ともなる、生命力のエキスです。それをただ下半身の生理的欲求のように扱って、必要以上に放出してしまうことは、実は男性にとって生命力を消耗していることになるのです。だから「疲れる」と感じるのですね。
こうして、本来はお互いにとって「癒し」になり、「元気の素」にもなるはずだった性の営みが、「疲れるもの」というネガティヴなイメージに変質してきたわけです。

そしてもう一つ、ポルノ映像の困ったところは、女性を肉欲解消の手段として見るイメージづけがなされてしまうことです。
ある30代後半の、妻と子を持つ男性の声を聞いてみましょう。
彼もまた、妻とは何年もセックスレスが続いていますが、妻に対して愛情は持っていて、しかも肉体的には適度な性欲もあります。それでも妻とセックスできなくなってしまったのは、なぜでしょう?
愛情の質が恋愛時代とは違って、子供の母親として、家族としての落ち着いたものに変わったら、これまでAV学習によって自分の中に染みついていた、「セックスとはイヤらしい気分でするもの」というイメージと合わなくなったからです。
そこで彼は仕方なく、性欲そのものは一人でAVを観ることによって“処理”しているのだそうです。まさに、「愛」と「性」がバラバラに分離した状態です。

本来は男女を結びつける、愛の交流のための行為が、逆に男女の仲を隔てる方向に働いてしまう。それは、人々が性を肉体の欲望次元だけの狭いものとして捉えてきたからだと言えます。

現代のセックスレス・カップル急増は、これまでの常識であった「欲望解消本位に歪められた、肉体次元の性行為」に対して、日本人の集合意識が「何かが違う、合わない」と感じて「No」を言い始めたということなのかもしれません。

だから、そうではない性行為──太古の人類が体験していたような、お互いのエネルギーを融け合わせる、美しい性行為のあり方が理解されれば、性嫌悪症も解消されていくのではないかと私は思っています。

▼「愛と性のエネルギーを美しく育てるワークショップ」
日時:2012年12月16日(日) 13時半~17時 (13時15分受付開始)
会場:吉祥寺 武蔵野市商工会議所5階第1・第2合同会議室
(吉祥寺駅北口徒歩5分)
聖なるパートナーとのエネルギー交流生活を体験し、太古の性の奥義を感得した性の語り部・夏目祭子が、あなたの愛と性と命のエネルギーを美しく向上させる秘訣をお伝えします。
詳細やお申し込みは下記まで。
http://hifumido.shop-pro.jp/

▼性の本当の大切さがわかる本
『なぜ性の真実「セクシャルパワー」は封印され続けるのか』(ヒカルランド)



★夏目祭子さんの最新情報&バックナンバーはコチラ