健康と経済。
通常あまり結びつかない言葉ですね。
「健康」に連想する言葉は、「美」「栄養」「医療」などが普通ですもんね。
実は僕が大きなテーマにしているのがこの「健康と経済」で、Trinity WEBでもこれを軸に書いていきたいと思っています。
前回、僕の提案するウェルネス・ライフスタイルとは、”心身ともに健やかに、社会的交流も豊かで、経済的に自立していて、人間らしい文化的な営みができ、それらすべてがいいスパイラルとなるライフスタイル”
“Physically, Spiritually, Socially, Financially, and Culturelly connected Liftstyle”
とお伝えしました。
「経済的に自立」という言葉を「Financially」と表現しましたが、分かりやすく言えば、個人レベルでの収入やお財布事情のことです。
「経済」という言葉は、社会の生産活動の「Economy」とも書かれますが、ウェルネス・ライフスタイルで必要なのは前者の「Financially」の方です。
ただし、僕はどちらについても書いていきます。
結局個人の「Finance(財力)」は「Economy」の影響を大きく受けるからです。
ウェルネス・ライフスタイルのためにはどちらについても学ぶ必要があるのです。
厚生労働省が今年の1月に2010年(平成22年)に実施した「国民健康・栄養調査」の結果を公表しました。
そのなかで、興味深い統計が浮かび上がりました。
〈所得と生活習慣等に関する状況〉
世帯の所得が600万円以上の世帯員と比べて、200万円未満、200万円以上〜600万円未満の世帯員は、女性の肥満者、朝食欠食者、運動週間のない者、現在習慣的に喫煙している者の割合が高く、野菜の摂取量が少なかった。
つまり、所得が低いほど「肥満」「運動しない」「タバコを吸う」「野菜を食べない」など、生活習慣病のリスクを多く抱えている、ということなのです。
昔は「太っている人は裕福な人」というイメージがありました。
実際そうでした。
なぜなら食が今ほど豊かでない時代は、たくさん食べられたり、肥満の原因となるお肉や甘いものは高価であり、ごく一部の階級の人しか口にできなかったからです。
肥満=裕福だったのです。
ところが今は全く逆になっています。
肥満=貧困なのです。
もうひとつ、下の2つのデータを比較してみればわかりやすいでしょう。
都道府県別・肥満者割合ランキング上位10位(2010年度) 男性20歳~69歳で調査
1位:沖縄県 45.2%
2位:宮崎県 44.7%
3位:栃木県 40.5%
4位:福島県 40.3%
5位:徳島県 40.1%
6位:宮城県 39.5%
7位:岩手県 38.7%
8位:北海道 38.5%
9位:青森県 38.0%
10位:高知県 37.6%
都道府県別・一人あたりの所得ランキング下位10位(2009年度)
47位:高知県 202万円
46位:沖縄県 205万円
45位:宮崎県 207万円
44位:長崎県 216万円
43位:熊本県 218万円
42位:鳥取県 220万円
41位:鹿児島県 221万円
40位:岩手県 221万円
39位:山形県 222万円
38位:島根県 227万円
これを見て、多くの人が気付くと思います。
肥満者割合の上位は東京や大阪などの都心から離れた地方に多いということと、所得も同じように地方にいくほど低くなる傾向があり、特に赤字の4県は共通してベスト10に食い込んでいます。
肥満とは単純にお腹が出ていることと考えないでください。
痩せているけど肥満の人はいます。
肥満は生活習慣の乱れの結果であり、ガン、心筋梗塞、脳卒中などのあらゆる病気の主たる原因です。
肥満=病気=不健康です。
あの長寿県の沖縄が肥満率1位!?
と思われた方もいらっしゃると思います。
僕は沖縄本島に住んでいたことがありますが、沖縄に渡って車で沖縄を回った時に、沖縄はファストフードのお店が多いな……、という印象を強く持ったのを覚えています。
沖縄は元来はゴーヤやパパイヤに代表されるように、南国らしい野菜やフルーツが豊富で、しかも気候は亜熱帯で温かく、健康に長生きするには最適な風土でした。
ところが戦後アメリカの統治下に入り、真っ先に乳製品、小麦、卵、肉などの欧米食材や、それらを使った加工食品が入ってきました。
ランチョンミートはそのいい例ですね。
肥満が増えだしたのは、それら食材で育った世代からです。
残念ながら今の沖縄は本当の長寿県とは言えないのです。
話を戻しますが、この2つのデータから、所得が低い地域ほど肥満率が高い、すなわち不健康であることがわかります。
今の日本は所得格差の拡大が大きな問題として取り上げられていますが、
実は「所得格差=健康格差」になっているのです。
所得格差=健康格差
これは今後のとても大きなテーマです。
絶対に覚えておいてください。
しかし、これは日本に限ったことではありません。
実はアメリカではもっと前から健康格差が問題となっていました。
次回はアメリカの健康と経済の関係についても見てみましょう