セドナから愛をこめて「アイル・グラハムの光日記」 第13回

■セドナには、今でも数多くのネイティブアメリカンの遺跡が残っている

大地の上に造られているもの、崖のくぼみを利用して造られているもの。約800年から1300年くらい前につくられたこれらの家は、今では、下から数段の石を残すのみとなっているところが多いが、それでも、そのときのエナジーや気配を多く残している。

セドナの森や赤い岩の間をハイキングしていると、突然、これらの遺跡に出くわすことがある。

その時の私は、全身からアドレナリンが吹き出し、インディー・ジョーンズになった気がする。これは、セドナに住んでいる醍醐味の一つでもある。

 

■セドナに住んでいた民族は、「Sinagura Tribe」―シンアワ族。

「g」は発音しない

ネイティブアメリカンがこの土地を去った後に、スペイン人が「水が無い」という意味の名前をここに居た部族につけた。この辺りは、砂漠地帯なので、そこからこの名前が付けられたのであろう。

ネイティブアメリカンの聖地だったところにも、 開拓者やカウボーイたちによって、ユニークな名前が付けられている。その中に、Cow Pies カウ・パイという名前がある。

ここは古から聖なる場所として大切され、たくんさのセレモニーがなされてきた場所。大きな岩が雨と風で浸食されてできた形が、牛の糞に似ているところから、この名前がつけられた。友人のネイティブアメリカンたちは、この名前が付けられたことを残念そうに語ってもいる。

 

■セドナには壁画もたくさん残されている。壁画は2種類に分かれる

ピクトグラフとペトログリフ。石を削って塗料にして、壁に絵をかいたものは、ピクトグラフ。固い石で岩を叩いて彫って絵にしたものは、ペトログリフ。セドナの北西にある遺跡、PALATKI パラキ(Tは発音しない)は、 ピクトグラフ。

その時に住んでいた部族によって、使う塗料が違うので、色ごとに時代がわかる。

よく見ると塗料を使う前の古い時代のものもあり、その時は、壁を彫って点や線でシンプルに表したペトログリフで描かれている。

パラキ遺跡は、崖にそって見事なレンガの壁が残されている。

遺跡の下には、平地が広がり、農業をしていた気配が伺える。

 

パラキ遺跡は、無料で見ることができるが、予約が必要。遺跡の保護と管理のためだ。
前もって電話をして、人数と訪れる時間を伝える。

 

■そして、セドナの南に位置する遺跡「V-BAR-V RANCH」

ビーバービー・ランチは、ペトログリフ。オープンは、金曜日から月曜日、午前9時半から午後3時半。予約は必要ない。

川沿いの、のどかな雰囲気のところにある。ニュースペーバーと呼ばれる大きな一枚岩には、たくさんの絵が書かれていて、現代にたくさんのメッセージを残している。

それらの壁画は、太陽の運行と密接に関係している。トウモロコシなどの植物を植える時期、刈り取る時期、または、猟りをする時期などを表していると言われている。

春分。秋分。夏至。冬至。これらの日は、太陽が特別な壁画を照らす。どれも渦巻き型の壁画のところに光が差し込む。

セドナミステリー。

古代からの暗号をひも解くかのように、太陽の光と壁画の関係を調査している人々もいる。

人間・鹿・コヨーテ・亀・ヘビなども描かれている。

その中に、ホピ族の未婚の女性がする髪型(両耳の上で髪を大きな渦巻き状に結ったスタイル)をした女性らしき壁画がある。

そのような壁画から、この辺りにいたシンアワ族は、ホピ族の祖先ではないか・・とも言われている。

壁画は、みんなで描いたイタズラ描きではない。

シャーマンによって、祈りを込められて描かれたもの。

病気の人を癒すために、狩猟のために、農作物のために、雨ごいのために、成人の儀式のために・・などなど、その部族にとって、必要であることを、シャーマンが祈りをこめてひとつひとつ描いていった。

まるでそれらは、タイムマシーンのように、現代にその祈りとエナジーをつなげている。

壁画の前に立ち、心を静かにして、ひとつの絵に意識を合わせていると、それを描いているシャーマンの姿や、それを見守る村人の気配が伝わってくる。

 

■このビーバービーランチの壁画のそばには、モンテズマウェルやモンテズマキャッスルといった遺跡が連なる

このタイムマシーンを巡るコースは、1日かけて、ゆっくりと見て周るのがお勧め。

シンプルな生活の中に宿された英知は、日本人の魂の奥深くに、何かを呼び覚まし、気づかせるものがあるような気がする。

遺跡や壁画を通して、古代から現代につながるメッセージを、エナジーを、息吹を、ぜひ全身で感じてみてくださいね。

 

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