少し話がそれましたが、彼らは何をしたいかというと純粋に話がしたいのです。
だって、きっかけがなければ進展しませんからね。
さて。昔の人はさておき、現代のストーカーを考えてみましょう。
相手が嫌がっていようがなんだろうが、とにかくストーキングします。
これが迷惑なのですが……。
追跡そのものが趣味とか特殊な人は別ですが、彼らは基本的には「話せばわかる」と強く信じている人たちです。
話せばわかると思っているから、しつこくつきまとうのです。
相手が嫌がっても怖がっても気持ち悪がっても関係ありません。
今は怖がられていても、それはお互いの理解が足りないだけで、しっかりと話せば理解しあえないはずがないと思っているのです。
別に殴ったり、刃物でさしたりしたいわけではなく、純粋に話し合いたいのです。
話し合って自分の良さが少しでも理解してもらえれば、お互いに幸せになれると信じているのです。
確かに話をしないと先に進めないのは一理あります。
誤解があれば解きたいですし、最低でも和解できたら良いなと思う気持ちはわかります。
ただストーカーの場合は「結果的には話をすれば、自分の良さをわかってくれて、自分の考えを理解してくれて、自分の想いに共感されてハッピーエンドになる」と思い込んでいる事が問題なのです。
うまくいけば理解くらいはされるかもしれませんが、理解されたら共感されるわけではありませんし、相手の価値観や好みが自分と同じになるということはありません。
つまり、ストーカーは「話をする」ことによって、自分の気持ちや望む結果を得られると妄信しきっているのです。
だから、ストーキングされている人も「本当はイヤだけど、しっかりと話をすれば、きっと理解してくれてストーキングをやめてくれるだろう」なんて思って話を聞いてしまうと、逆にストーカーに「やっと自分に意識を向けてくれた! 嬉しいな! もっとアピールしよう!」と勘違いさせてしまうのです。
話せばわかる?????
僕は決して「話せばわかる」という言葉を否定しているのではありません。
「わかる」という意味合いが自分の意見を押し通すことであれば、それは一方通行であり、もはやコミュニケーションではありません。
話をすればなんとかなると思っている人の何割かは、どこかで相手を自分のペースに持ち込めるだろうと思っていると思います。
あるいは妥協点をみつけて極力自分が有利な立場に立とうとするかもしれません。
では逆に聞く側に回れば物事がうまく行くかというと、必ずしもそうではありません。
ストーカーの件でお話ししたように、相手が「お、自分のペースに乗ってきたぞ!」と勘違いしてしまったら、余計面倒なことになってしまいます。
また話し合いをすることで、双方の温度差が理解し合えれば良いですが、温度差を知ることでそれが怒りに変わってしまうタイプだと、それはそれで危険です。
ここで念を押しておきますが、話が通じない相手に対し「言ってダメなヤツは力で教えなきゃダメなんだ!」という考え方をお勧めしているわけではないので誤解しないで下さい。
稀に一部の親とか学校の先生とか会社の上司とかが、自分の意見が通らないと、怒鳴りつけたり、殴ったり、脅したりしますが、これはコミュニケーションとは違いますからね。
それは脅迫でありパワハラです。
ストーカーがストーキングを「分かち合うための手段」と本気で信じているように、力任せに脅す人もそれを「分かち合うための手段」と本気で思っているのでしょう。
でも、それは紛れもなく迷惑行為ですからね。
最悪、それが憎悪に変わり場合によっては何世代も引きずる危険性だってあるという事を決して忘れないで下さい。
相手に自分の考えや意見をきちんと、わかりやすく伝えること。
そして、相手の考えや気持ちをきちんと理解しようとすること。
これは生きて行く上で必須のスキルです。
しかし、人は必ずしも共感しあえるわけではないという側面も頭の片隅に入れておいてください。
刺激せず、そっとしておいてあげる方が、リスクを回避できる場合もあるのです。
その見極めはとても難しいですが、それは自分の人生経験を最大限に活かして感覚を一層研ぎ澄ませるように意識して見て下さい。
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