前にお届けさせていただいたように、遠い昔から東洋思想の世界では、私達が生きるこの世界は全て陰と陽の気で出来ていると考えられていて、中国医学や漢方の世界では大切にされています。
陰と陽はその性質から、私たち人間にも当てはめることができ、性別を陰陽で分けるなら、男性は陽、女性は陰に属します。
けれど、男性も女性も、人は誰もが陰と陽の両方から成り立っていて、陽だけ、あるいは陰だけでは生きられません。
たとえば、私たちの心と体は主に自律神経系によって調和が保たれていますが、それをあえて陰陽で表現するなら、日中に働きが優位になる交感神経は陽に、夜間に優位になる副交感神経は陰と言えるでしょう。
私たちの意識をシャープにして外交的に活動させる交感神経(陽)と、心身をゆるませてリラックスさせる副交感神経(陰)は、互いに譲り合いながら調和を保っていて、陰陽ともに気が充実し、そのバランスが良い時に私たちは程よい緊張と寛ぎのなかで暮らせます。
誰もが過度の緊張やストレスを望んでいませんが、習い事の発表会があるとか、パーティーで初めての人たちに会うというようなポジティブな緊張感なら、暮らしにハリと楽しみをもたらしてくれるものです。
けれど忙しい暮らしの中で、さまざまな場面でのストレスを上手くさばくことができないと自律神経のバランスが崩れ、やがて心身にさまざまな不調を感じるようになります。
実際に現代人の体調不良の多くは、心のストレスから起きていると言われています。
たとえば、陽である交感神経が高まりすぎていると、気持ちが急いてイライラしやすくなったり寝付きが悪くなります。
反対に、陰である副交感神経が高まりすぎていると、なんだか体がだるくボンヤリしたり、物事が億劫になったりします。
ここのところ、心と体の調子はいかがですか。
そもそも、楽しく豊かに暮らすための気(エネルギー)は充実していますか。
いずれにしても、エネルギーが充実し、リラックスと程よい緊張(陰と陽)のバランスが取れていれば、心も体も穏やかで健やかに暮らせるということです。
陰と陽は「互いに補い合う、離れがたい対」のようなもので、相手が増えれば自分は減りつつも、相手の一部を自分の内に秘めていて、相手がいなくなると自分も存在できません。
陰と陽は完全に分断されて存在するものではなく、お互いを拠り所にする性質を持っています。
そして私達が生きている限り、生命力エネルギーである「気」は体内を絶えず流れ続け、ストレスなどの理由で滞ることはあっても完全に全てが止まってしまうことはありません。
大昔から伝わる陰陽太極図は、私達人間や自然、そして宇宙について理解したいと思う時、それを象徴的に分かりやすく教えてくれると言われます。
けれど、そもそも私たちの生命力エネルギ一を一枚の図で表現するのは実際には難しいとも、霊的な人たちは考えています。
私たち人間の生命力エネルギーは、長い年月の間に積み重ねられたたくさんの感情や精神のエネルギーなどから成り、精妙で繊細、かつ複雑で重たく、全てが同時に混在しながら絶えず動き流れ、変化し続けているからです。
人も自然も絶えず留まることなく動き続け、時に混沌とし、時に淀みない、陰と陽が混ざり合った「スープ」のようなのかもしれません。
簡単に表現するなら、陰は静かで下がり、暗く冷たい内向きの性質。
陽は活動的で上昇し、明るく暑く外向きの性質。
今の世の中は、どうだと言えるでしょうか。
森林火災や洪水が多い、自然界のバランスは?
そして、あなた自身のライフスタイルや心と体の状態は?
陰陽がバランス良い「中庸」にある時、
その時、あなたの心と体には何がもたらされるのでしょうか。
その状態を見出して維持するには、どうしたら良いか知っていますか。
私たちの健康には色々な要素が影響を与えていますが、今回も陰陽の視点でお話しさせていただきました。
この続きは、またいつかお届けできたらと思います。
毎日の暮らしにあなたらしさと豊かさ、そして何より心と体の健康がありますように。
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