一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.136 「ワンダーウーマン」

今、闘いの真っ最中だ。まるで現実を模倣したかのような展開にハッとさせられる。 ワンダーウーマンの必死の闘いぶりに胸が熱くなった。

史上最強無敵のスーパーウーマン登場!
女性の強さと美と正義感を余さず活写!

女性が主人公のアメコミってほとんどない(『エレクトラ』ってのが昔ありましたね)。

しかし、このワンダーウーマンは私でも知ってるくらい有名。
なんと、1941年の登場というから驚きだ。
昨今、アメコミヒーローもの流行りだが、本作は一押しの一本!
女性監督だけあって、男社会の中の女性の立場や差別偏見、そして女性の強さやカッコよさを存分に活写! 胸のすくアクション映画に仕上げた手腕に大喝采だった。
この世に女ほど強いものはいない、と確信したほど(笑)。
また、単なるアクションものではなく、ワンダーウーマンことダイアナの成長ものにもなっているし、ラブ・ストーリー部分もしっとり魅せてくれる。
そして、私が一番心に残ったのは、本作は神と悪魔(堕天使)の闘いだということ。
これは、今現在の地球の状況とも似ていて、意味深い映画だと感じた次第。
さて、少し詳しく紹介していこう。

 

ドイツ軍を一人でなぎ倒すワンダーウーマン
唖然の強さに陶酔しつつスカッとしまくり!

ストーリーは、ダイアナが職場に着いてバットマンことブルース・ウェインからの小包を開けるシーンから始まる。
包みを開けると中には兵士たちに混じったワンダーウーマンの自分が写った戦場の写真が……。
ダイアナは懐かしく当時を回想する。
(この写真はちょっと笑える。戦場で一人だけコスプレしてるようにしか見えないので)。

ダイアナは女性だけのアマゾン族が暮らす島で育ったプリンセス。
外敵から身を守るため、日々鍛錬を積む日々だ。
ある日その島に不時着した小型飛行機に乗っていたのは、英国軍のスパイであるスティーブという男だった。初めて見る男性にダイアナは興味津々で、話をするうちにスティーブが阻止しようとしている毒ガス計画を知る。
ダイアナはスティーブとともに島を出て世界を救おうとするのだが……。

まず、カッコいいのはダイアナの叔母アンティオペ役のロビン・ライト。
島に攻めてきたドイツ軍を迎え撃つのだが、弓矢の束をガッと地面に刺し、凄まじい弓の連打で敵を次々倒していく。
顔の表情は百獣の王、ライオンのごとし。獣です。
凄い迫力! カッコよすぎでクラクラした。

そして、ワンダーウーマン。
前線に飛び込み、たった一人で小さな村を奪還する。
すっごおお~い大活躍! 美しい顔の眉間に深い皺を刻み彼女は超人並みにドイツ軍をなぎ倒す。
もちろん、CGも使ってるんだろうけど、ダイアナ役のガル・ガドットの生身のアクションもハンパない。
このシーンの軽快ながら深みのある音楽も素晴らしく、しばし陶酔した。
無敵のヒロイン、いやヒーローです、彼女は。強いのなんの。
スカッとしました。

 

ラブ・ストーリー部分はしっとり品良く
ダイアナの人間的成長もしっかり描写

ラブな部分はもちろん、スティーブとの関係。
ほぼ、セリフなしのラブ・シーン。綺麗です。ロマンチックです。
ここは関係を持たない方が私的にはぐっと来たけど、ハリウッド映画ではそれはダメなんだろうね。

ダイアナの成長は、仲間から「俺は本職は俳優なんだ。でも仕事がないからこの仕事してる。それぞれ皆事情があるんだよ」と言われ、仲間の状況を理解していく。
こんなセリフを入れるアメコミあったっけ? いや、ない。
細部の人間描写が効いている。

 

ラストの闘いは現実の世界と重なる
私たち一人一人の魂を磨くことが大切!

そして、ラストはネタばれになるのであまり詳しく書けないが、ダイアナは裏ボス的、最強の敵と対決することに。
しかし、この敵の素性が……。
この敵は言わば堕天使で、今は悪魔と化している。
ダイアナは善の権化、言わば神だ。
でも、負けそうになるのである、ワンダーウーマン。

現在の地球も闇の政府を牛耳る面々は堕天使たちである。
今まで神は彼らのしたい放題にさせてきたが、ここに来て一掃しようとしている。
しかし、堕天使の力は強大になっていてなかなか駆逐できず、闘いは続いている。
今、闘いの真っ最中だ。まるで現実を模倣したかのような展開にハッとさせられる。
ワンダーウーマンの必死の闘いぶりに胸が熱くなった。
神が勝つために、私たちも身を綺麗にしていかなくては……。
これからの地球の未来は私たち一人一人の心の持ちようや行いにかかっている。
アメコミを観ながらこんな思いにさせられるなんて。

勇気と力を得た、快作、傑作である。

 

監督 パティ・ジェンキンス
脚本・原案 アラン・ハインバーグ
出演 ガル・ガドット クリス・パイン ロピン・ライト ダニー・ヒューストン
デイビッド・シューリス コニー・ニールセン エレナ・アナヤ
※141分

※8月25日(FRI)、全国ロードショー  3D/2D/IMAX
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

 

《一宮千桃さんの記事一覧はコチラ》
https://www.el-aura.com/writer/ichimiyasentou/?c=26311