令和7年5月メッセージ — これでもかと迫り来る困難と対峙する私たちは、空を泳ぐ鯉のぼりに“それでも歯を持たない”という真の強さを確かにする

5月

コメの価格高騰、トランプ相互関税ショックと激震走る世情を前に — 八白土星5月は、“曲がり角”にあっても前向きに生き抜く術を模索する時

5月を迎えました。先月は入学や就職、人事異動等で、人生の新たなステージに進まれた方も多くいらっしゃったかと思いますが、現在の環境には慣れてきた頃でしょうか。明るい未来を期待したいものですが、現実の世界は混沌とした状況を呈しています。

先月は、アメリカのトランプ大統領が一律10%の相互関税を打ち出し、世界中に衝撃を与えました。台頭する中国への牽制を主眼とした施策という見方が強いですが、アメリカの同盟国であると共に中国を最大の貿易相手国とする日本も、大手企業が決算発表に合わせて示す業績予想の公表を見送る動きが広まるなど、厳しい局面に立たされていると言えるでしょう。円高も続いていますが、海外からの輸入商品やガソリン代、電気代が値下げされる可能性がある一方で、輸出面での悪影響が懸念されています。日本人の主食であるコメの価格も16週連続値上がりと天井知らずの状況となり、備蓄米の放出や輸入米の取り扱いなど、これまで経験しなかった事態に、消費者は動揺と困惑の度を深めています。

また、先月は市井の人々の不安からの低い波動を反映してか、全国で殺人事件や窃盗事件のニュースが相次いで報じられました。なんとも将来に希望が乏しい、混迷極まる世界はまだ続きそうですが、個々に於いては日々を真摯に、道を踏み外すことなく生き抜きたいものです。

立夏を迎える5月5日、月運が九紫火星から八白土星に移ります。八白には “交代、曲がり角、断絶、廃業、終止”といった象意があります。また“改革、連絡、再起、復活”といった面も強調されます。八白は、“山”を表す星です。山の天候は変わりやすいという意味から、今月は皆の気分がコロコロ変わりやすく、周囲に迷惑を掛けやすくなるかもしれません。

運気も急変しやすいので、特に問題もなく好調だった案件が突然、ストップや延期になるという事態となる可能性があります。世界的には国家や有力組織のトップの交代が相次ぐ可能性があるほか、“廃業”や“終止”の象意があるように、資金ショートで中小企業が破綻したり、また自営業が後継者不足等を理由に廃業を余儀なくされるといったケースが増える暗示があります。天井知らずの物価高への対応で、政府では参院選対策としての消費税減税の議論が進んでいますが、本格的な景気回復には程遠い状況と言えそうです。このような状況下、生活苦に喘ぐ市井の人々が、学費や生活費などを賄う為に、投資や副業などで二次収入をつくる動きも活発となりそうです。

5月の月運の干支は、“辛巳(かのとみ)”。“巳”には探求心、情熱、研究心といった意味があります。今月は、情熱を持って様々な課題に取り組むことができるでしょう。詩歌や文芸、絵画など芸術活動をされている方、また大学院等で研究活動をされている方は、成果を挙げることができるかもしれません。金運も、上々の気配です。“巳”は言うまでもなくヘビ、弁財天のお遣いです。今月は弁財天を奉る神社(都内では小網神社、豊川稲荷、上野不忍池辨天堂など)へ、お詣りに行かれるのも良いでしょう。仕事面では周囲から信頼され、昇進や昇格などリーダー的立場となる機会があるかもしれません。

二十八宿は“觜宿”。今月は、他者との会話の中で話術が洗練され、より自分を魅力的に見せることができる一ケ月となりそうです。ビジネスに於いては知的な会話が光り、よりレベルの高い商談を成功させたり、自分を引き上げてくれる上司とのコミュニケーションが円滑になったりと、喜ばしい出来事に恵まれそうです。女性は、美容に力を入れると、運気がupしそうです。

重要な契約や勝負事に関しては、大安の5日、11日、17日、23日、27日、一粒万倍日の10日、11日、22日、23日、百事よしの10日、そして天赦日/よろづよしの25日に設定すると良いです。デートや告白、プロポーズを考えている方も、上記の日を選びましょう。なお、今月の暗剣殺は東北となります。24日からは天一天上ですので、月末は方位に障りはありません。

海王星と土星の牡羊座同室が秋までにもたらすもの — 魂の仲間との強固な連帯で激しい動揺と対峙する覚悟を

西洋占星術の観点で言えば、1日は魚座で逆行していた金星が、再び牡羊座に移動します(~6/5)。この4月に入学や入社等で新たな環境に飛び込んだ方、また新年度に新たな出逢いに恵まれた方は、特にご縁を感じた仲間内から、恋愛がスタートするかもしれません。

10日には、水星が牡牛座に移動(~5/26)。この時期は人間関係が大きく入れ替わり、特に知り合って日が浅い人から、新たな視点や良いアイディアを授けてもらえるなど、喜びごとに恵まれるかもしれません。現実社会で地に足をつけて生き抜き、言葉でしっかりと将来の実現可能な計画を伝えると目標達成にグッと近づけるでしょう。

13日1時56分には、蠍座で満月を迎えます(フラワームーン)。この時期は、意中のお相手としっかりと向き合い、強固な信頼関係を結ぶ(現世での)新たなパートナーシップを築くための学びが、スタートしているでしょう。新しい生活基盤に移行するための“強制終了”が、かかる方もいらっしゃるかもしれません。惜別の過去を乗り越え、新たな未来を造り上げてゆく時です。

25日には、12時37分に土星が牡羊座に移動します(~2028.4.13、いったん魚座で逆行するのが2025.9.1~2026.2.14)。9/1まで海王星と土星が牡羊座で同室するこの時期は、これまで隠蔽されていた不実、不正が露見し社会が動揺したり、戦後の大量消費社会でこれまで大衆を依存させてきたものへの“懲罰”的なことが起こる可能性が高まります。個人に於いても、生涯を共にする異性やビジネスパートナー(盟友)の、間違いのない選択を迫られるような時期です。しっかりと心の準備をし、また他者への鑑識眼を養いましょう。

26日には水星が双子座に。この時期は頭の回転が速まり、これまでの経験や知識を沈潜させたウィットに富んだ話術で、周囲の人を魅了する楽しい時間を過ごせそうです。

そして27日12時3分には、双子座で新月を迎えます。この時期は、報われなかった過去のしがらみや執着、悔恨を手放し、改めてこの時期に魂の再会を果たした仲間との、“ご縁結び”の時となるでしょう。フットワークが軽くなる時でもあるので、関心のある分野や場所に手や足を伸ばすと、その後の人生を左右する新たな発見に恵まれるかもしれません。

ゴールデンウィークが設定されている今月は、“こどもの日”がある月です。
今年も、住宅地の鯉のぼりが風に泳いでいるのを、見掛ける季節となりました。この時期になると思い出すのは、俳優やヨガの分野でも活躍する絵師・片岡鶴太郎(1953~)さんの、『虹鯉』という名作です。


鮮やかな色を湛えた恰幅の良い鯉が、口を大きく開き、その生命力の強さを観る者に見せつけ魂を共振させる、まさに味わい深い一作です。今月は、毎年のこの時期の当コラムで引いている、『虹鯉』を発表した際の鶴太郎さんの言葉を、改めて引きましょう。

二百三十年以上生きた鯉がいた。

緋鯉の花子。鯉は長寿である。

それに肖(あやか)り、男子が生まれると鯉のぼりを上げ、

元気で逞(たくま)しくあることを願った。

鯉は歯を持たない。

仲間たちと争うことを嫌った。

どんな状況下でも、その環境に順応し、

健(したた)かに生き抜く生命力を持っている。

しかし、一旦俎板(まないた)に載せ、目を塞ぐと決心をする。

その潔さ、その生き方に私は敬服致しているのである。

幾多の生き物たちが、

挑んでもなしえなかった登竜門への滝を、

この鯉だけが登りきった。

鯉とはそれ程に気高く、

崇高な魂を持ったお方様なのである。


私たち日本人は、 “和”の精神で争い事を極力避け、互いに話し合い、助け合ってきた民族です。“歯を持たないという強さ”を選んだ者には、この生命の滝を登り切る崇高な魂が、備っています。

現在、これまでになく経済的にも精神的にも厳しい局面ですが、私たちは絶望ではなく、“希望を選ぶ鯉”となり、この険しい生命の滝を、登り切ってみせましょう。TRINITY読者の皆様におかれては、強いご縁で結ばれた魂の仲間の支えの中で、希望に繋ぐことができる5月となりますよう、祈念しております。





(了)

 

 

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