調理された食べ物 VS 生の食べ物、 どっちがヘルシー? 〜インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』Vol.27 

アーユルヴェーダでは、体質はそれぞれ個人によって違うので、食べるものもまた、その人の体質に合った食べ方をすることがベストとされています。

★アーユルヴェーダからみた、調理された食べ物と生の食べ物:

一般的には、生の食べ物の方が自然の栄養分や生きている酵素が豊富に含まれているので、人間の体にとってもよりメリットがあると考えられています。
しかし、「チャラカサンヒタ」というアーユルヴェーダの文献では、
プラーナ(生命エネルギー)を活気付け、より簡単に消化されやすい調理された食べ物の方が推奨されています。

これは、古代アーユルヴェーダでは、調理のプロセス自体を、消化プロセスにとても重要な役割を果たし、消化力を高めるものと考えられていて、この消化力の強弱は、胆液、血液、筋肉、脂肪、骨、骨髄、精液といった身体組織の形成において重要なものとされています。

また、野菜類は一般的に「重い」「甘い」「乾燥させる」「消化が難しい」「冷たい」といった質をもっているので、基本的にはギーのようなオイルで調理するか、蒸す必要があると考えられています。

生の果物や野菜から作られた生ジュースは、エネルギーが高まり、マインドに明晰さをもたらし、肌ツヤをよくし、体重を減らす効果などが得られますが、完全に生の食べ物だけで構成された食事というのは、活力の欠如、消化系が弱まる、食べ物への渇望を引き起こす、体温が低くなる、抜け毛や爪の疾患、下痢、不妊、不眠問題や神経系の疾患などのデメリットをもたらすことがあるとされ、あまり薦められていません。

 

★どんな調理方法が効果的?

アーユルヴェーダが推奨している調理方法は、「ガスや炭でゆっくりと加熱する」というもの。このように調理された食べ物は、その食べ物に含まれる栄養分が私たちの体の中に栄養となって同化されやすくなります。
また、同化されやすく変容された栄養素は、健康的な身体組織を作りあげます。
逆に、強火で調理しすぎたものは、食品に含まれる微妙な栄養分を壊してしまうので、薦められていません。電子レンジは、食物本来の分子を次々に破壊し、食物のもつ本来の質を変えてしまい、体にとってあまりなじみのない物質に変えてしまうので、さけるべきとされています。

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★調理する? 生で食べる?

アーユルヴェーダでは、体質はそれぞれ個人によって違うので、食べるものもまた、その人の体質に合った食べ方をすることがベストとされています。

生の食べ物をよく処理できる消化系の持ち主もいれば、調理されたものの方が体に合う人もいます。また、ヨガをすると消化能力が高まり、生の食べ物でも問題なく消化できるようになりますが、一日中座りがちであまり動かないライフスタイルを続けている人たちにとては、生のものはそれほど簡単に消化できるものではないと考えられています。

寒い天候の時は、体をさらに冷やす効果のある生のものではなく、調理された温かいものをよく食べ、サラダや生の食べ物は、一日で一番消化力が高まるランチ時か、天候が暑くなる夏の時期にたくさん食べること。これが、生のものを最大限に楽しむためのコツです。

 

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