「サイキックって理(ことわり)がわかれば特別なものでもなんでもないんだな。」
検証に検証を重ねた結果、これが私のたどり着いた答えでした。
特別に訓練したわけでもなく、それぞれの能力の意味を勉強したわけでもありません。ただ「知りたい」という欲求から実践に活用してみたところ難なく出来てしまったのです。やってみた手応えから、各能力の仕組みを理解したのでした。
逆走することは私にとって必要な過程だったのです。なぜなら最初の入り口に「サイキックは特別なもの」「特殊な人だけが出来るもの」そういった思い込みがあれば実践しようなんて思わなかったことでしょう。
「これでやっと明日に向かって走っていける……。」
自由を手に入れたかと思いきや……
しかしそう思えたのは束の間。実はここからちょっとした壁へとぶち当たったのでした。
今でこそ「サイキックかって?違うよ、ただの中二病だよ。」と笑って答え、周囲を余計に混乱させて楽しむ私ですが、能力を確信した直後は「私にはサイキック能力がある。」と真顔で答えていたものです。
やっと自分を真っ直ぐに受け入れることができたのです。正直に宣言することは悪いことではないと思っていました。
ここで面白かったのは私の宣言を疑う人がいなかったことです。単に呆れていただけかもしれませんが、想像していたよりも周囲の目が冷たくなかったことは事実です。だからといってすべてが温かく迎えてくれたわけでもないのですが……。
困ったのはサイキック能力を羨む人が出てきたことです。羨むのは勝手ですが、そうしたからといってその人が何者かに変われるわけではありません。変われないとわかると羨ましい気持ちは妬みになりがちです。そういう人に限ってなぜだかスピリチュアルに関する知識は豊富だったりするので、当時の私は「能力を使ってサイキックアタックをする人」とあちこちで称されたものでした。
自分にはサイキックな能力があると自覚したあと、もっと自由に振舞えるものかと考えていたらとんでもありません!これまで以上に言動に気をつけないと、周囲の反応はそうそう自由さを許すものではなかったのです。
私の迷走も逆走も、終わりを告げました。
しかしそこで待っていたものは、自由で明るい明日ではなく、サイキックアタックを振りまく厄介者のレッテルでした。
「いやいや、ちょっと待ってよ!攻性防壁に相手の許可なくアタックしたら痛い目に合うのは私のはずでしょ?!攻性防壁は単なるファイアーウォールじゃないんだよ、不正アクセスを逆探知して反撃する……あれ?結果的に攻撃を返してるんだ、私……。」
迷走と逆走の果てに見えてきたもの
自ら率先して攻撃を仕掛けることは決してありません。しかしやられたらやられた分だけやり返すというのは、どうやら私のサイキック能力のひとつのようです。
意識的にやり返しているのなら互いに泥沼になるのでしょうが、私自身は無意識なのでケロリとしたものです。ただ私からサイキックアタックを受けたと振れ回っていた人たちは、いつの間にか私のレイヤーからいなくなっていました。
「いくらサイキック能力だからって、こんな攻撃性を持っていてはヒーラーになんてなれっこない!」
なんということでしょう!迷走と逆走の果てに得た答えが、ヒーラーはなれないことだったなんて!!
「あれ?そもそも私の目的ってヒーラーになることだったっけ???」
迷走と逆走の果て……私はやっと本当の入り口に立ったようです。
(次回「パワー系ヒーラーってなんなのさ?!」編)