「ありがとう」と素直に言える
お中元だとか、お祝いだとか、おすそわけだとか。
日本人は、それを贈るトキ、頂くトキ、遠慮合戦が繰り広げられます。
おばちゃんA
「あらまぁ、息子のケンちゃん、東大に受かったんだって? ちょっと、いま、なんぼか包むから、まってやぁ。 ほら、とっときぃ~。 いいから、いいから、ほんと、ささいな気持ちやさかい!」
おばちゃんB
「良いですってば、何も気を使わんとぉ。 ほんと、これは、いりませんから、気持ちだけで十分です! はい、お返しします」
おばちゃんA
「こんな、めでたいことなんだから、受け取ってやぁ~。 ほら、どうぞ!」
おばちゃんB
「ほんと、気を使わないでください。 いいですから、はい」
結局、玄関先で、おばちゃんたちが、ずーっと二人で手を握り合っている、の図。
よく、見ますよね、日本で。
争い合っていた二人が、最後に「YES!フォーリンラブ!」とこちらに決めポーズで、 あの漫才コンビのネタをすれば、笑えるのですが、 争ったまま、うやむやに終わる、お中元の遠慮合戦。
最後まで、感謝の気持ちが、どこにも表れて来ません。
みつろうも、昔は、それをしていましたが、 嫁と結婚してからは、嫁の影響で、やめるようにしました。
「遠慮せず、ありがとうと言って、すぐもらう」
結婚当初、みつろうの母が、玄関先に長男の出産祝いと言って、 大金を持って来ました。
「このお金で、息子コクトウに色々と買いなさい」、と。
当然、「いいから、気にしないで!」とつっぱねるみつろう。
なんだかんだで、お金をもらって、玄関を閉じた時、 嫁が、こう言いました。
「ねぇ。結局、最後は、どうせもらうんだから、 最初から、「ありがとう」って心良くもらったほうが、 相手も喜ぶんじゃない? あなたいつも、「いいから、いいから」ってけげんな顔して、 そのけげんな顔だけをお母さんに見せて、 最後の最後まで、嫌そうな顔をしたまま話し続けて、 結局、もらった後でさえ、「いいのに」って言ったままだったでしょ? どこで、ありがとうという気持ちを、お母さんに伝えたの?」
がーん。
みつろう、がーん。
確かに、ずーっと不機嫌な顔して、最後の最後、もらった後でさえ不機嫌な態度のまま、 ひとっことも、ありがとうと言わずに、でも毎回、結局最後はもらう。
いつ、僕は、相手に、ありがとうと、伝えたのだろう?
これまでの、過去のいろんな場面を振り返っても、そうだった。
最初から、最後まで、相手にけげんな顔を見せて、 もらった後でさえ、けげんな顔のまま、さようなら。
どうせ最後は、もらうのだから、 「ありがとう」と気持ちよくもらったほうが、相手も喜ぶだろう。
玄関先のおばちゃんの図、をもう一度、想像してみて欲しい。
「気にしなくても良いのに、そうですか? ……まぁ、じゃあ、いただきますわ。」 って言ってる、その態度は、「いやいや」に映らないだろうか?
最後の最後まで、「いやいや」のままに、見えないだろうか?
どこで、ありがとうの気持ちを、伝えたのだろうか?
「結局最後にはもらうのだから、最初から気持ちよくありがとうと言う」を、 嫁の影響で始めたみつろう。
それでも、頭で意識しているものの、やはり今でも、身体が反応してしまって、 「良いですから~」と口から出ちゃうこともあります。
だけど、会話のどこかではちゃんと、相手に「気持ち」を伝えられるようになりました。
こちらも、あちらも、幸せな気分です。
最初から、最後まで、「いいのに」とけげんな顔をしたまま終わる、日本の風物詩。
いつ、ありがとうを、伝えましたか?
けげんの顔した、そのお金は、本当に、迷惑なモノでしたか?
あなたのために、やってきた、お金に対しても、そのけげんな顔は、失礼だろう。
ありがとうと言って、もらいましょう。
長年のクセで、最初にすぐに言えなくても、 せめて会話のどこかでは、ありがとうを示しましょう。
今の日本では、ありがとうの所在が、不明のままです。