―最近の傾向性で強いと思うのが、「自分のことを知りたい」「自分が生まれてきた意味を知りたい」と思っている人が増えたなということです。
意味自己承認欲求ですよね。それはそれで本当に分かりにくい世の中になってきていると思います。自分が相対的に埋没しやすい。自分でなくてもいいという状況のなかでみんながいかされている。だから病気と言うのはある種の訴えじゃないですか？　特殊性でしょう？　病気になることで他の人と違い状態になるっていうことでしょう？　病気は悪いものだと思うと、そういう考え方はできません。埋没してしまっている自分を、病気というリスクを抱えてでも、特化したい。埋没した自分を特別な状態にしたいという欲求でもある。そう考えると僕は病気の子が愛しくなるんです。そこまでしてでも訴えたいことがあるんだね、って。アトピーの子なんかあれだけ痒い想いをしてまでも、訴えることがある。
僕には3人娘がいますが、下の2人がアトピーでした。なんとか治しましたけどね。これは治せました。自分の子で責任が持てるから。アトピーは親子の触れ合いが重要なんでしょうね。アトピーは、こんな状態でも親は私のことを愛してくれるの？っていう子供からのメッセージ。だから「愛すよ」って、僕は伝えるんです。
アトピーの子って、夜中に「ガリ」って掻いてしまうでしょう？　横でガリっていう音が聞こえても、ちゃんとその気持ちをキャッチしてあげる。おかげで睡眠不足で僕が身体を壊してしまいましたが、でも子供のアトピーは2年ぐらいかけて治しました。今は彼女たちの皮膚はつるつるですよ。ステロイドも一切使わずに完璧に治りました。

―アトピーの子にとって大事なのは、「あなたは今のままでも大丈夫だよ」って伝えてあげることなんでしょうか。
そうですね。「今のままでも、あなたは愛されているよ」って伝えてあげることですね。

―スピリチュアル的に、「病気はカルマだ」って言われることがありますが、その考え方はどう思われますか？
すべてがそうだとは思いませんが、そういう場合も無いわけではないと思います。血液系の病気はそういうケースが多いって言われていますよね。

―おのころさんの著書『病気は才能』のタイトルは、凄くインパクトがありますよね。例えばそのタイトルに対して反感を抱く人はいませんでしたか？
お陰様でありませんでした。このタイトルは編集者さんがつけてくれたんですが、僕がしょっちゅうそんなことを言っていたみたいで、それで行きましょう！って決まったんです。

―『病気は才能』という言葉は、その意味を自分のなかで受け止めるには、なかなか難しい言葉だなって思います。病気を肯定的に捉えることができない人が多いのではないでしょうか？
身体のなかには60兆個の細胞があります。100兆個っていう説もありますが。でも私たちはたった一個の受精卵から出来ているんです。それが細胞分裂を繰り返して、「私肝臓の細胞になります」「私は目の細胞になります」「じゃあ僕は足」……という感じでどんどん変化していくんです。
例えば、肝臓細胞は結構単純ですが、脳細胞は本当に複雑でいびつな形をしている。肝臓細胞からすると、脳細胞はめちゃめちゃいびつな形をしているんです。「キミちょっと変わっているよね～」みたいに。でも普通の細胞からすると異質でまるで病気のように見える細胞でも、僕たち人間が調和して成り立つためには必要な細胞なんです。だから糖尿病やアトピーなんかは普通の人から見たら確かにいびつですよ。
でも、それがないとある種、世の中に進化がないのかもしれない。社会の問題を一身に背負っているんです。アトピーの子を見ていると、「この空気で良いんですか？」「この環境や食べ物でいいんですか？」っていう、世の中に対するメッセージと言うか。だから僕は、アトピーは進化するためのメッセージだと思っているんです。「新しい環境をつくっていきましょう」っていう。

～つづく～

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