東北の魂を探る旅 「テマヒマ展 〈東北の食と住〉」 PART.1

21_21 DESIGN SIGHTでは4月27日より、「テマヒマ展〈東北の食と住〉」を開催します。
本展は、東日本大震災を受け昨年7月に開催した特別企画「東北の底力、心と光。 『衣』、三宅一生。」に続き、三宅一生とともに21_21 DESIGN SIGHTのディレクターを務める、グラフィックデザイナー 佐藤 卓とプロダクトデザイナー 深澤直人の視点から、東北の「食と住」に焦点を当てるものです。

東北のものづくりには、合理性を追求してきた現代社会が忘れてしまいがちな「時間」の概念が、今もなお生き続けています。
長く厳しい冬を越すなかで、繰り返し根気よく行われる手仕事。暦に寄り添い素材を準備する、自然が息づく謙虚な暮らし。未来を考えるデザインの観点からも注目したい、「手間*1」のプロセス、「ひま*2」(時間)というプロセス。テマヒマかけた東北のものづくりが可能としてきた特色や魅力、そして何よりその考え方を、私たちはどのように明日につないでいけるのでしょうか。

本展に向けて、デザイナーをはじめ、フードディレクター、ジャーナリスト、映像作家、写真家で構成されたチームが、東北6県の「食と住」をめぐるリサーチを行ないました。歴史のなかで培われた独自の伝統を継承する農家。時代や社会の動きを見つめ手仕事を再興する職人。若い才能とともに新たなものづくりの可能性を開拓する工房……。粘り強く前向きな東北の人々との出会いが、展覧会というかたちで結実。


photo : Yusuke Nishibe

会場では、佐藤 卓のグラフィックと深澤直人の空間構成により、東北のテマヒマかけた「食と住」にまつわる55種の品々を、撮りおろしの映像や写真とともに紹介します。東北の文化や精神を背景に生まれたものづくりから、今後のデザインに活かすべき知恵や工夫を探ります。

▼「てまひま」とは?
*1てま[手間] ①ある事のために費やす時間、また、労力。
*2ひま[隙・暇・閑] ⑥何かをするのに要する時間。手間。
てまひま[手間隙・手間暇] 手間とひま。労力と時間。

▼テマヒマ展 〈東北の食と住〉
会期: 2012年4月27日(金)〜8月26日(日)
休館日:火曜日
時間:11:00〜20:00(入場は19:30まで)
入場料: 一般1,000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料
会場:21_21 DESIGN SIGHT (東京ミッドタウン・ガーデン内)
〒107-0052 東京都港区赤坂9-7-6  Tel. 03-34752121
http://www.2121designsight.jp/

▼展示詳細
<ギャラリー1>
●トム・ヴィンセント、山中 有
「『テマヒマ展 〈東北の食と住〉』のための映像」
映像作品/約30分(各3〜5分)/新作
東北の食文化、住文化を映像的視点からとらえた7つのショートフィルム作品。マタタビ細工(福島県大沼郡三島町)、笹巻(山形県飽海郡遊佐町)、りんご箱(青森県北津軽郡板柳町)、きりたんぽ(秋田県鹿角市)、会津木綿(福島県会津若松市)、油麩(宮城県登米市)、りんご剪定鋏(青森県弘前市)を紹介。

トム・ヴィンセント/株式会社トノループ・ネットワークス 代表
クリエイティブ プロデューサー、ナレーター、TVプレゼンター
1967年イギリス生まれ。ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン及びカリフォルニア大学卒。’89年に来日、’96年より永住。’97年、大日本印刷のオンライン美術マガジン「nmp-international」の海外版編集長。’98年からインターネットプロジェクト「センソリウム」に参加。’99年〜2006年、ウェブデザインを専門とする株式会社イメージソースの役員兼クリエイティブディレクターとなり、様々な広告賞を受賞。’05年〜’08年、バイリンガルオンラインマガジン「PingMag」をプロデュース、創刊。’09年、株式会社トノループネットワークスを設立。様々な地方の町おこし、島おこしや地域活性化関係の企画にも参加。

山中 有(やまなか ゆう)/映像作家
1976年山梨県生まれ。株式会社ブルードキュメンタリー代表。東京都立大学理学部物理学科卒。日活芸術学院映像科演出コース卒。映画、ドラマ、コマーシャルフィルム、ミュージックビデオの現場で働く。2010年株式会社ブルードキュメンタリーを設立。主にドキュメンタリー映像のディレクターとして活動中。主な仕事に「花屋MIDORI」「日産BLUE CITIZENSHIP」「NISSAN TECHNOLOGY MAGAZINE」「ミライニホンプロジェクト」「FUJIFILM 世界は、ひとつずつ変えることができる。(ウェブ)」「SHISEIDO Makeup Harmony」ほか。また現在、ドキュメンタリー映画を制作中。

<ギャラリー2>
●実物展示
東北6県の「食」と「住」にまつわるものづくりの完成品、プロセス、材料や道具などを、西部裕介撮りおろし写真とともに展示。

「食」の展示
1.麩  2.津軽飴  3.打ち豆  4.凍み餅  5.凍り豆腐  6.山菜
7.干し菊  8.大根  9.縄干しいわな  10.凍みイモ  11.いわしの焼干し
12.駄菓子  13.笹巻  14.きりたんぽ  15.三五八  16.稲庭うどん
17.かっけ  18.干し柿  19.いぶりがっこ  20.凍みきらず
21.はたはたずし  22.にしんの山椒漬け  23.鮭  24.みそたまり(24種)

「住」の展示
25.りんご箱  26.曲げわっぱ  27.秋田杉桶樽  28.会津桐たんす
29.臼、杵  30.柏戸イス  31.堤焼  32.小久慈焼  33.平清水焼
34.楢岡焼  35.雄勝硯  36.会津桐下駄  37.りんご剪定鋏
38.鋸  39.にんにくナイフ  40.会津木綿  41.樺細工  42.ボッコ靴
43.南部箒  44.鳥越地区の竹細工
45.奥会津編み組細工/マタタビ細工  46.奥会津編み組細工/山ブドウ細工
47.りんご手かご  48.イタヤ細工
49.岩出山のしの竹細工  50.津軽塗  51.川連漆器  52.会津漆器
53.浄法寺漆器  54.山形鋳物  55.南部鉄器(31種)

●「味噌黒米餅」と「寒仕込み 雪見蔵」のドキュメンタリー映像/約10分
「味噌黒米餅」の原材料となる味噌「寒仕込み 雪見蔵」を生産する味噌蔵「石孫本店」(秋田県)の職人を、開発者であるとらや和菓子職人が訪ね、ものづくりに対する想いを響き合わせたドキュメンタリー映像。

●西部裕介 「Anonymous hands」/写真作品/新作
東北で出会った13職種24職人の手を撮りおろした写真作品。

西部裕介(にしべゆうすけ)/フォトグラファー
1977年神戸生まれ。’95年東京水産大学(現東京海洋大学)に入学。航海士を目指すが、遠洋航海中に写真に目覚める。写真学校を経て株式会社アマナへ入社。2011年フリーランスとなる。広告の商品、風景撮影を中心に活動中。ライフワークは「巨大船舶」、「釣魚」、「滝」。