こんにちは。
ビューティーヘルスライターでセラピストのM.machikoです。
今日は季節とは異なるちょっぴりエロスなお話です。
今から50年以上前、ドイツのお話です。
一人の男性がドイツに旅をしていたときのことです。
その男は喫茶店に入り、飲み物を頼みました。
「お茶をください」
すると、
「お茶は何がいいですか?」
と返ってきたのでメニューを開いてみると、
紅茶と薬草茶(クロイターテー)と書かれていました。
男は“クロイターテー”という言葉を知らなかったので、
好奇心からこのお茶を頼みました。
すると今度は、
「では、何がいいでしょうか」とさらに返事が返ってきました。
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ドイツでは、ハーブティーのことを薬草茶(クロイターテー)といいます。
フランスでは、ディザーヌ(薬草を煎じる)といい、いずれも薬草茶のことです。ハーブティーのなかには、フラワーティー(花茶)として知られているものもあります。
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男は「何がありますか」と聞くと、
「ウイキョウ茶、イチョウ茶、カモミール茶、ローズヒッピ茶……整腸茶、風邪予防茶、鎮静茶、睡眠茶、性的癒し茶……」
など薬草箱が山ほど出てくるのです。
男は迷いましたが、珍しいもの好きの性格から「性的癒し茶」を指差してどのようなものか聞いてみました。
「クロイターテーは癒しのお茶として人気があります。しかし、癒されたいのは心だけではなく、体も癒されたいときがあります。体の癒しは性的な癒しも含まれているため、性的癒し茶という名前がついています。
男性の場合は性的癒しの問題を抱えていることが多いことから、それを解決するために有効なお茶としてご用意しております。
お茶の内容は、ヘンルーダとヘンルーダより少し少ない量のニガヨモギから水分を絞り出して、そこに砂糖とハチミツを加えます。その量と同じ量のワインを加え小さな鍋に入れ、5回沸騰させたものです。
男性が喜びや興奮しているときどうしても我慢しなければいけないときに飲むと病気にならない、といわれています」
砂糖とハチミツが入っているので苦みを感じずに美味しく飲めるワイン茶だった。その夜、男は大変気持ちのよい眠りについたそうだ。
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ニガヨモギは、独特な香りから邪を払うとして魔よけに使われていた。
また、魔術を使うときにも用いられていた。ユダヤ人が祭りの際に食べていたそうだ。味は、かなり苦い。昔は酒の香りづけに使われていたが、今は禁止されている。ニガヨモギを使った酒を多量に飲む、または継続的に飲むと、ツヨンという成分によって神経を麻痺させるため危険があるので要注意です。
シェイクスピアの『夏の夜の夢』に出てくる惚れ薬は、スミレの汁だったが、その呪いを解くのは「月の女神ダイアナの花」の汁だとされている。シェイクスピア研究家は、この花はヨモギかニガヨモギだろうと推測しているそうです。
このことから、ヨモギ属は「惚れ薬」の効果も期待できそうです。
ヨモギは昔から女性との関係も深いことが知られています。
現代でも、ヨモギを扱う入浴サロンが人気であるように、ヨモギはお産を軽くし、生理を調整してくれます。しかし、それは生理を誘発する力が高いため、逆に堕胎剤にもなります。妊娠中の女性はヨモギを控えた方がいいと薬草学の本には書かれているので注意です。
また、ヨモギはドイツ語で「足のそばに」という意味があります。足の疲れや冷えを改善する効果があるため、旅人はヨモギを靴に入れて旅をしたという逸話があります。
ヨモギの見た目は地味な植物ですが、東洋でも西洋でも昔から活用されていて、その効果は素晴らしいものであることがわかります。
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日本では、ヨモギを入れた草餅は桃の節気に欠かせないし、健康を祈る七草粥の一つです。ヨモギ入りの草団子や草餅は邪気を払う縁起物ですね。
参考:『魔女の薬草箱』西村佑子/株式会社山と渓谷社