スポーツやアウトドアのお供にも最適 日本独自のヘルシーなお菓子を知っていますか?

そもそも、お菓子でありながら「羊」の字がついていることからもわかるように、本来の羊羹はお菓子ではありませんでした。「羊(ひつじ)の羹(あつもの)」すなわち「羊のスープ」をあらわしていたのです。

【マラソン選手に愛用される和菓子】

和菓子は西洋菓子に比べるとヘルシーだというのは、よく知られていますが、そんな和菓子の中に、「マラソン選手などに愛用されているもの」があることをご存じでしょうか? その和菓子とは「羊羹」。古くからあるお菓子ですので、食べたことがないという人は少ないことでしょう。昭和初期には「手土産の定番」とされていた、ちょっと高級感のある和菓子でしたが、西洋菓子が一般的になるにつれ、地味な羊羹はあまり注目されなくなっていました。しかしながら、昨今では、本来の味とは違った部分に脚光が当たりつつあるのです。

 

【羊羹の成り立ち】

そもそも、お菓子でありながら「羊」の字がついていることからもわかるように、本来の羊羹はお菓子ではありませんでした。「羊(ひつじ)の羹(あつもの)」すなわち「羊のスープ」をあらわしていたのです。羊の肉を煮たスープが冷えることで、「ゼラチン質が固まり、煮こごりの状態になったもの」が羊羹であり、これが禅僧によって日本に伝えられた時に、戒律で肉が食べられない僧侶が「小豆とくず粉」を使って、羊のスープを模倣して産まれたのが、羊羹の原型だといわれています。

時代がたつにつれて、砂糖と寒天を利用するようになり現代のような形に近づき、そのバリエーションとして「練羊羹」が産み出されました。私たちは羊羹というと、棒状の練羊羹をイメージしがちですが、歴史的に見ると「蒸し羊羹の方が原型には近く」、型で固めるようになったのは江戸時代頃なのです。

 

【羊羹は栄養補給食として優秀】

模倣から産まれた日本独自のお菓子である羊羹ですが、最近ではスポーツ選手。特にマラソン選手が愛用するようになっています。羊羹の特色として、「手軽に食べられて、保存期間が長い」というものがあります。このために戦時中には、兵士が携帯するためのお菓子としてゴム風船の中に羊羹をつめた「玉羊羹」というものが開発されました。

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羊羹の保存期間が長いのは、砂糖を多く使っているためであり、洋菓子よりヘルシーといっても、お菓子である以上カロリーはそれなりにありますが、だからこそ、マラソンという「膨大なカロリーを消費する競技」では、手軽に食べられてご飯一膳分のカロリーを摂取できて、腐りにくい羊羹は栄養補給にぴったりだったのです。

 

【スポーツ専用羊羹】

最初は駄菓子屋やコンビニで売っているような一口羊羹をマラソン選手が購入していたのですが、最近ではよりカロリーをアップし、さらに運動で消費される塩分を加えた「スポーツ羊羹」という専用の商品まで登場しています。

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【いざというときに便利な羊羹】

このように紹介してくると、羊羹はマラソンのように激しい運動をする人だけにとってヘルシーなのでは? と思うかも知れませんが、一般の人にとっても、羊羹は有用で、なおかつヘルシーなお菓子であることに変わりはありません。前述のように、羊羹は「少量で充分な糖分とカロリーを摂取することが可能」であり、保存期間が長いことから、「非常時の食糧としてとても優秀」です。また、頭脳労働をする人にとって、糖分は脳を働かす重要な栄養素ですので、手を汚さずに手軽に食べられて、食べきりサイズになっている一口羊羹は便利な栄養補給食なのです。

さらに羊羹の原料となっている小豆には「血糖値を抑制する効果があるサポニン」が含まれていますし、「糖質をエネルギーに変えるビタミンB1」も含んでいます。また、むくみも改善してくれるということで、ダイエット効果もあります。さらに、寒天や小豆に含まれている食物繊維は、腸内の調子を整えてくれるので、便秘解消にも繋がります。残念ながらカロリーは高いので、「羊羹を食べてダイエットというのは不可能」ですが、洋菓子などに比べると、お菓子の中ではダイエット時に食べてもOKとされやすい食品ですので、地味で古くさいと敬遠せずに、生活の中に羊羹を取り入れてみませんか? 家に常備しておくだけでも、いざというときの助けになってくれるはずです。