ココロセラピストが語る! 職場をかき乱す人たち ~被害妄想にとりつかれていませんか?~

無能なライター?

二人の中年の男が会話をしている。
すらりと背が高く筋肉質だ。
白くシワひとつないワイシャツがひときわ輝いている。

「そういえば、例のライター、今週はまだ原稿送って来ないな」

僕は壁の向こう側から聞こえてくる声に反応した。
壁の向こう側の会話が気になって、気づかれないようにそっと聞き耳を立てた。

「嗚呼。あのやたら長文で中身が薄い人ね。そのうち入稿して来るんじゃない?」
「なんで俺、アイツの原稿待ってなきゃならないんだろう。はっきりいって、アイツいらないじゃん」
「人気ないしな。一時は読まれていたかもしれないけど、今はさっぱりだしな。でも、たまにいるじゃん。落ちるところまで落ちても、何故だか消えないヤツって」
「いるいる。意味分かんないよね。俺にはアイツの存在価値がわかんないよ」
「おいおい。上が切らないんだからしょうがないだろ。そう愚痴るなよ、仕事なんだから」

そう。これは僕のことを言っているのだ。
僕はもう、今週以降の記事を書くのをやめようと思った。
怖くてたまらない。
震えが止まらない。
とにかく辛すぎる。

これは夢なのでご心配なさらないでください。

ちなみに今の話は夢です。
しかも、たった今見たばかりの新鮮な夢です。
驚かせてしまい、失礼いたしました。

最近はあまり夢を見なかっただけにかなり焦りました。
全身汗だくで呼吸が荒れて目が覚めました。
僕の夢はいつもリアルで、目覚めた後もしばらくは記憶から消えません。
今までにないタイプの夢だったので、かなり動揺してしまいました。

読者の方に誤解を与えないために念を押しておきますが、この記事を担当して下さっている編集部の人たちとは一切関係ありません。
むしろ、この夢の編集者のようなイメージはまったくありません。
むしろ慈愛に充ち溢れた癒し系の方が多いので、ご安心ください。

 

被害妄想と現実

こんな夢を見たのは僕の潜在的な不安や自信の無さが影響したのかもしれませんが、冷静に考えれば単に暑かったから悪夢を見ただけな気もします。

僕は夢を楽しむのが好きなタイプなので、これはこれで貴重な夢だと思っています。
それはそうと、かなり酷い被害妄想的な夢ですよね。

人と会うと「最近仕事はどう?」という質問をされることって多いですよね。
仕事の話を本当にしたいわけではなく「このところずっと暑い日が続きますね」という天気の話と同じで、深い意味は無いと思っています。

ただ、個人的には雑談の導入でこの質問はあまりお勧めしません。
いつも仕事に前向きで楽しんでいる相手なら別ですが、そうでなければ結果的に愚痴を聞かされる羽目になってしまいます。
なにしろ、自分から聞いてしまった以上、聞かない訳には行きません。

仕事の話題が出ると、一定数の人は誰かを悪く言うか自分を悪く言います。
人間関係は相性もありますので、当然苦手な人だっていて当然ですよね。

そこでようやく夢の話と関係してきます。
仕事上の不安の半分はもしかしたら被害妄想かもしれないという話です。

夢の中で僕は謎の編集者にものすごく悪く言われていました。
しかも、僕のいないところで。そして僕は一気にプライドが傷ついて、執筆意欲が消えてなくなりました。
自分がこの世に存在していることさえイヤになりました。
でも、今となっては笑い話です。
なにしろ、それは夢(フィクション)だったのですから。

今は「夢で良かった! おもしろいから、これをネタにしよう! さっそく記事を書こう!」というワクワクした気持ちです。

こっちが現実なのです。
だから執筆していて楽しいのです。

夢はさておき、誰かとうっかり仕事の話をしてしまうと、どうも被害妄想と現実の境界線が曖昧で、勝手に仕事仲間や自分を悪く思い込んでしまう人が意外なほど多いのです。
だから、それについてカウンセリングを受けたいというのなら話はわかります。
でも、そうではなくて永遠に被害妄想を自信満々にリアルとして語られると正直、困ってしまうのです。

考えてみれば、仲間を敵と思い込んでしまうというのはとてつもなく恐ろしいことです。
毎度毎度「あの人は私を無能だと思っているに違いない……」なんて思っていたら、それこそ迷惑です。
「私は何をやってもダメな人間なんだ……」も、そうです。