「疲れたなぁ……」が口癖な人は、黄色信号が点滅しているのに、横断歩道の真ん中で渡り切るのか戻るのかを判断せず、グズグズしている状態なのです。
試すまでもありませんが、そんな事をしたらクラクションを鳴らされ、ドライバーに怒鳴りつけられると思います。
最悪跳ね飛ばされると思います。
つまり危険な状態なのです。
疲れは信号機と違って色でわかるわけではありません。
気付かない人は気付かないのです。
しかし、疲れをきちんと理解している人は「疲れたな」と自覚した時に冷静に対処できるのです。
横断歩道を渡っている途中で黄色信号になってしまったら「よし! 気合いで走り抜けよう!」と思うか「戻った方が早い。一旦戻って、青になったら改めて渡ろう!」と思うと思います。
疲れている時も、基本はこれと同じなのです。
疲れているとわかったら、本来は休んだ方が良いのです。
疲れの種類にもよりますが、空腹で疲れているのならば食事をすれば回復します。
筋肉痛なら身体をほぐしてあげれば回復します。
眠ければ寝れば回復するのです。
ただ、世の中は100%思い通りになるとは限りません。
時には休んでいられない時もあります。
そういう時は、せめてペース配分だけでも考えた方が良いです。
「ここまで宿題をやったら後は明日やろう……」「一旦切り上げて、少しだけでも仮眠を取ってから仕事を再開しよう……」「辛いけど最大限スピードアップして、さっさと作業を終わらせて遠慮なく寝よう……」など、きちんと考える事が必要です。
疲れを知っているから優しくなれる?
疲れをきちんと理解している人は、優しくなれます。
自分が疲れるという事は相手も疲れるという事です。
だから、疲れを知っている人は相手に気遣い出来る人です。
相手が必要以上に疲れないように配慮してあげる事が出来ます。
一方で、疲れを知っている人には気遣いや配慮をして貰えます。
双方が思い遣りを持って接しているうちに、程良いバランス関係が出来て、物事は無理のないペースで進むようになって来ます。
人間関係も円滑になって来ます。
基礎体力(or気力)に恵まれている人や疲れを知らない人は「なに疲れたとか言ってるの? 単に怠けたいだけでしょう?」という見方をする人もいるかもしれません。
一昔前の『モーレツ』な人たちも「疲れがなんだ! 気合いだ! 根性だ!」と言うかもしれません。
そうすると、程良いバランスからは遠のいてしまいます。
時々「燃え尽きるまで頑張れ!」という人がいます。
ハッキリ言いますが、それは大きなお世話です。
どういうことかというと、それは人生の質(QOL)が違うという事です。
ガムシャラに突っ走って燃え尽きる生き方が好きな人は、それが幸せでありゴールなのです。
一方で、ゆるく生きたい人は、それが幸せでありゴールなのです。
「そんなに死に急がなくても良いじゃない……」というのもまた大きなお世話です。
人によっては「太く短く」が美学なのです。
僕は年越しそばのように「細く長く」が美学です。
これは善悪や正誤ではなく価値観の問題です。
家系の問題ではありません。
個人の問題です。
だから、進学先にしろ、就職先にしろ、結婚相手にしろ、自分以外の人間と関わる時は、その辺の価値観も忘れない方が良いです。
自分が主導権を握って物事を進められるのならまだ良いかもしれません。
ただ、相手のペースに無理に合わせさせられたら自分の人生の質(QOL)が大きく下がってしまいます。
自分に合わない生き方をしたら、それこそ疲れてしまいます。
でも、何故か、僕たちは自分の人生で関わって行く個人や集団を選ぶ時にこの重大な要素を忘れてしまう傾向がある気がします。
「疲れを知る」ということは自分の人生の在り方を知るという事でもあると思うのです。
ちなみに疲れの個人差は大きいです。
物事の得意不得意、好き嫌いも大きく関係します。
得意分野は脳や身体がそちらに特化しているので心身の疲労が少なくて済みます。
得意では無くても慣れてくれば自然とコツがつかめて疲れにくくなることもあります。
問題は個人差を軽視して自分を基準に考えてしまう事です。
「私、疲れてないので……」と自分のペースに相手を撒きこんでしまうと、相手が先にバテてしまいます。
自分が疲れておらず、相手が疲れている時は罵り、相手が疲れておらず、自分が疲れている時は甘くする人は当然、自分勝手な人と思われて嫌われます。
では、疲れやすい人を基準にすれば良いかと言うと、必ずしもそうとも言えません。
物事の作業効率が悪くなってしまうからです。
その疲れのバランスを把握して適切な扱いをする知性も重要なのです。
幸せな疲れ方?
ところで疲れと言っても必ずしもグッタリした意味合いだけではありません。
趣味や好きな仕事に没頭した後の疲れはとても清々しいものです。
ストレスをためこまず快適に疲れた後は、食事も一層美味しく感じられますし、お風呂もいつもの何倍も気持ち良く感じます。
そしてぐっすり快適に眠れます。
どうせ疲れるなら快適な疲れが良いのです。
「今日も疲れたけど、一日良く頑張ったね! 楽しかったね! 今夜もぐっすり眠って明日もよろしくね!」
こんなふうに生きられるような疲れ方を目指すのが幸せな疲れ方なのではないかなと僕は感じています。
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