インティ・ライミの奇跡 & 四大元素セレモニー 〜古今東西 暦で巡る 世界聖地 お祈りの旅part.3

地球のサイクルに合わせて、人々は季節の節目にお祭りや儀式を通して、森羅万象に祈りを捧げてきた恵みに感謝し、愛する人が幸せで、平和であるように連綿と積み重ねたピュアな祈りが昇華した聖地……その強力なパワーを写真から受け取って!

太陽神を称える祭りインティ・ライミで奇跡が起きる〜Inca〜

幾多の精悍な兵士が大地を踏みならし、美しい乙女たちが高らかに歌い、舞い踊る。毎年6月24日ペルーの古都クスコで行われるインカの大祭「インティ・ライミ」は、前年の収穫を太陽神インティに感謝し、来る1年の豊作と国の繁栄を祈願するインカ帝国最大の祭りだ。

月、星、大地、山とあらゆる自然を崇拝したインカの人々だが、なかでも太陽は至高の神。インカの創世神話でも、その光と力で地上のあらゆるものを生み出した大いなる父として崇め奉られている。

太陽神インティを称える盛儀は、昼の時間が最も短くなる冬至に行われていた。冬至は太陽が再生する起点の日、インカにおける元日であったといわれている。祭礼前の3日間、人々は身を清めるために断食を行う。わずかな生のトウモロコシと「チュカム」と呼ばれる草、そして生水しか口にしてはならないという厳格なもの。加えて妻との同禽などの欲も慎まねばならず、闇を体験してこそ太陽の尊さを実感できるからであろうか、火をおこすことも禁じられていたそうだ。

衣食住に自ら制限を加える浄化のための時間。できる限りピュアな存在であることに立ち戻り、心身の穢れを祓い、新年を迎える心は日本と同じ。

現在は、世界中から多くの観光客が訪れるインティ・ライミだが、インカの末裔たちにとっては今も神聖なる祭りであることに変わりはない。美しい衣装を身にまとい、荒涼としたサクサイワマンを歓喜の舞いで色鮮やかに染め上げていくインカの民、太陽の子たち。王が聖なる酒チチャを神に献杯し人々がインティの名を唱えた瞬間、クスコの空に虹が掛かった。それはまるで太陽が人々に祝福を与えているかのよう。

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Photo:Keiko Urata

サクサイワマン 〜Saksaq Waman〜

インカの言葉ケチュア語で「満腹のハヤブサ」という意味。古都クスコの北側に配された巨大な三層造りの砦で、宗教儀式が行われていたという説もある。3という数字はインカにとっての重要な意味、すなわち天・地・地下世界というインカの世界観を表している。

 

父なる空、母なる大地から生まれる四大元素セレモニー〜Native American〜

先住民族の人々は太陽や月や星を神聖なる存在として祀り、その巡りを暦としていた。そして、宇宙を含めた大自然こそが、すべての創造主たる「大いなる神秘」と信じ、四季折々に、大自然に感謝を捧げ息災を祈る儀式や祭事を行ってきた。たとえば、米国の北に住むモホーク族は、1年の最初の果実、イチゴが赤く実ったら、「イチゴの祭り」で自然のすべてに感謝を捧げる。

夏には多くの部族が太陽神に祈りを捧げる「サンダンス」や、雨乞いの「トウモロコシの舞い」を開催する。冬至と次の満月の間に行われるズニ族の「シャラコの儀式」は、大神や火の神や雨の神が村を練り歩き、家々を清め祝福して回るもので、新年に向けた開運祈願の儀式ともいえる。白人が持ち込んだ西洋暦が示す月日に縛られず、その年の自然の動きを読み「大いなる神秘」の思し召しを得た長老の指示で日取りを決めて行われるのがネイティブ流の季節の儀式。

母なる大地とその血流たる水脈、父なる空、祖父なる太陽とその遣いの火、東西南北から叡知を運んでくれる風、人類の兄弟姉妹たる動物たち。どの儀式でも、自然のすべてに感謝を捧げるのは共通だ。

健やかな自然の一部であることを忘れず、感謝の心を忘れなければ、大いなる神秘に愛でられ、幸福な人生が開けていく。

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Photo:Alan Rowe

メディスンホイール 〜Medicine Wheel in Sedona〜

古代から伝わるネイティブ・アメリカンの祭祀場に倣ったもので、四分割は東西南北、春夏秋冬、四原色などの象徴。東西南北に棲む動物や鳥や風の囁き、生物の生息を支配する季節、色の波動などから叡知やエネルギーを得る。

TRINITY41号より