オバマ大統領も気にするAIの行方と、IBMワトソンの進化

人工知能はまだ人間が学習する内容を指示する必要がありますが、それをなしで、ワトソンが活躍するようになったならば、「強いAI誕生は間近」といえます。
オバマ大統領も気にするAIの行方と、IBMワトソンの進化

【強いAIの誕生は21世紀最大の変革】

今後、世界的に訪れる「シンギュラリティ(技術的特異点)」として、もっとも重要視されているものが「強いAI」の登場。これは、私たち人間よりも、様々な面で優れたAIが誕生することを指しています。そして、もし、このような状況になったとしたら、「生物の誕生以来の変革となる」という人もいるほどです。

このような状況は遙か未来ではなく、早ければ「数年以内に訪れる」のではないかといわれています。すでに、様々な分野でAIは活躍をはじめていますが、その中でも最も最先端を走っているのは、IBMの人工知能「ワトソン」でしょう。

 

【大活躍する人工知能ワトソン】

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この人工知能は、「自然言語を理解、学習する能力」をもっており、2011年2月には「クイズ番組に優勝し、賞金100万ドルを獲得する」という成果をあげ、2013年からは、一般デベロッパーに公開され、さまざまな分野で活躍するようになりました。

2015年には、ワトソンが世界各国の料理レシピをベースに、食品の香りや組み合わせ、嗜好性に関する心理的データを解析し、「独自のレシピを制作し出版にまでこぎつけました」。さらに、今年の8月には、「東大医科学研究所」において、血液がん患者など71名、のべ100例を分析したところ、「8割以上の有用な情報が得られた」だけでなく、人間が見落としてた難病をワトソンが発見したということもあり、「AIが人間を超えた」として話題となりました。

そんなワトソンですが、活躍の場面がどんどんと広がっています。「みずほ銀行では、ワトソンをコールセンターで活用」しています。2015年2月に導入を開始し、現在では200席以上で活用されているというこのシステムは、顧客からの電話内容をワトソンも聞いていて、「会話の内容をもとに、回答候補を次々と提示する」というもの。

つい先日、みずほ銀行がワトソンを活用したコールセンター業務の模様をYouTubeにて公開しましたので、どのようなものかをご覧下さい。

非常にスムーズに回答候補が出ていることがわかると思います。これによって、「顧客との通話時間が短縮されるだけでなく、オペレータの育成機関が短くなる」という大きなメリットが得られたのだそうです。

ちなみに、なぜ導入してから1年半以上立ってからこのような動画が公開されたのかというと、「導入初期は正答率が低く、使い物にならない状態だったため」なのです。そこで諦めずに、「オペレータが正しい回答を根気よく教えることで、システムが学習し、現在のように高い正答率を得られるようになった」わけです。

このことからもわかるように、ワトソンは人間を超えたような成果を出すこともありますが、今の段階では、まだ「人間が学習するポイントなどを指示することが必須」であり、それを学んだ上で、AIの得意分野である分析能力が発揮されるのです。

 

【アメリカ大統領も気にするAIの進化】

President Barack Obama/画像提供・ウィキペディア

President Barack Obama/画像提供・ウィキペディア

そんな状況の中で、「9月29日」にIBMが金融コンサルティング会社である「プロモントリー・フィナンシャル・グループ」を買収し、「ワトソン・フィナンシャル・サービシズ」部門を設立することになりました。名前からもわかるように、ワトソンを使って、金融規制に関する知識を分析し、「銀行のニーズに対応する」というものです。AIに取って代わられる職業のトップランキングに金融関係者があげられていましたが、着実にその流れが出来つつあります。

果たして、今後「AIはどれほどの進化を遂げる」のでしょうか? この問題は世界的に注目されているということもあり、先日、アメリカのオバマ大統領が「AI未来戦略レポート」を発表しています。

オバマ大統領は、AIによって仕事を奪われる人はいるものの、生活の隅々にまでAIが浸透することで「新しい仕事を見つけられるはずだという楽観的な考え方」を延べる一方で、スキルがなく学歴も低い単純労働者にたいしては、一定の収入を政府が保証する「ベーシックインカムなどで対応する必要があるかもしれない」という意見を述べています。

また、AIによって、これから「より格差が広がり、賃金が下がっていく」可能性が高く、それに対応するためには「新しい社会構造が必要である」としています。そのような状態で強いAIが登場したら、「人間はドラック漬けになってぶくぶくと太ってしまう」か、さもなくば映画の『マトリックス』のように、「AIの電池扱いされる」ようになるとも語っています。もちろん、これはジョークであり、そのような段階になるまではまだ時間があるとしていますが、大多数の人間がベーシックインカムで最低限の生活を保障され、「AIと一部の人間だけが仕事をして社会を支える」という未来は容易に想像できます。

そういう時代がいつ頃訪れるのか、その指針として、「IBMワトソンの今後の活躍」は要チェックです。前述したように、人工知能はまだ人間が学習する内容を指示する必要がありますが、それをなしで、ワトソンが活躍するようになったならば、「強いAI誕生は間近」といえます。そんな時代になったら、あなたは働きますか? それともAIと共に働きますか?