満月のクリスマスに寄せて―ホリスティック健康相談

満月のクリスマスに寄せて、私が出来るのは、あの日、黒いコートのサンタクロースから受け取った「奇跡」を、こうしてあなたに伝える事だけです。

今回は「クリスマスと満月が重なる日」に向けてスーパームーンの時のような記事を、と皆様からリクエストをいただいてこのタイトルです。

でも、イエス・キリストの誕生日が12月25日とされたのは生誕から200年以上たってからと言う説もあり、本当にその日かどうかはわからないのです。

それに、この世界の為に自分の人生をかけて困難を乗り越え何かを成し遂げた人はイエスだけじゃないと思うので、私としては「満月のクリスマスって……なに?」と言う感じなのです。
スイマセン(>_<)

夢も希望もなくて申し訳ないのですが、でも、夢や希望があるのって、クリスマスとか、満月の力とか、そう言うものだけなのでしょうか?

 

黒いコートのサンタクロース

20歳の頃のことです。
私は「人生最悪」と思うような出来事に打ちのめされて、一人家にいるのが怖くて、いつも乗るバスで当時住んでいた札幌の中心街へと向かいました。

起こった出来事を心でも頭でも処理できなくて、だからと言って誰かに話すほど、落ち着いてもいなくて。

多分、あの日、何もなかったら、私は自殺していたかもしれないと思います。
その後の人生で経験した様々な出来事に比べれば些細と言えるけれど、とても子どもだった私は、「ただなんとなく」で死んでしまえるほど、心が麻痺していました。

街はクリスマスの飾りがきらびやかで、流れるクリスマスソングが余計に心を寒くさせました。
私は行くあてがないから、ただ、歩いていただけでした。
人通りが多く、確か細かな雪が降っていたような気がします。

ただ開いているだけの私の目が、男女、年齢関係なく何かを話しかけている人をとらえました。
人の流れがその人を避けるように分かれて行きます。

 

その人は背が高く、細身の青年。
足元まである黒い木綿のコートを着ていました。

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彼と目が合い、私は瞬間的に目をそらして大きく迂回しようとしましたが、彼が私を追いかけ、話しかけてきました。
本当なら走って逃げ出したいのに、私の耳に意外な言葉が聞こえてきました。

「クリスマスはどうして楽しいんだと思いますか?」

(……はあ?)

(20年生きてきた中で最悪と思うような今日の私に、そんなこと聞くの?)

あまりの驚きに私は全く別な質問を彼にしていました。
「どうしてそんなこと聞くんですか?」

彼はクリスマスを題材にした演劇の脚本を書いていて、その取材の為だという答。
普通なら馬鹿じゃないかと思うところだけれど、高校時代に演劇をやっていた私は、なんとなく無視できずについてくる彼と歩きながら話をしました。

話しをしたのも、一緒にいたのもほんの10分ほど。
それなのに、彼とは不思議なことにいくつかの共通点がありました。
彼は私と同じ年齢で、学校は違うけれど当時の私と同じ建築の勉強をしていて、高校時代から演劇をやっていて、おまけに彼が着ているコートの色違いの白を私も持っていました。

話しながら、これは誰かが仕掛けた質の悪い冗談じゃないかと思いました。
偶然にしては出来過ぎています。

私をそんな状態にしたのは男性で、最も男性と話をしたくない日に、そんなおかしなことを聞かれるなんて、と。

だから、彼とクリスマスの楽しさについて話す気にはなれず、正直にその時の自分の気持ちを言って別れました。

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一人になってみると、自分が空腹で、何かを食べたいと思っていることに気が付きました。
つい先刻まで深刻な精神状態だったのがウソのように。

彼が去った方向を振り返り、人込みの中に彼の姿を探しながら、漠然と「人間はそんなに悪いものではないかもしれない」と思っていました。

これは私がセルフカウンセリングとして書いた文章群の一つを要約したものなので、興味のある方はそちらをお読みください。

「黒いコートのサンタクロース 前篇」

「黒いコートのサンタクロース 後編」