子育て・親子関係に見る「自他の境界」―わたもりのメンタルケア講座

しつけのバランスは難しいところですが、まずは親御さん自身が自他の境界をしっかり持つことが重要です。 常識やマナーを教える必要はありますが、従わない時に子どもの領域に侵入してしまわないようにです。

「そんなことしていたらロクな大人にならない! 」と未来を心配するあまり、今現在のその子自身を見ていないのでグラウディングも出来なくなります。
人それぞれの考えがあるのを否定し、親の良し悪しを押し付けると、その子も他者を裁く大人になるでしょう。

……と、ダメ出しをするのは簡単なのですが、これ、ほとんどの親御さんがしてしまう事ではないでしょうか?
「そんなことしちゃ迷惑でしょ! 言う事きかないなら○○よ! 」
心当たり、ありませんか?……はい、私にはあります。

では、何故親御さんはそうなってしまうのでしょうか?

答えは簡単で、親御さんも自他の境界が形成されていないからです。
むしろ「世間様に迷惑をかけないように」と言う良識を持った方は、厳しくしつけてしまうようです。
「いい子」「優等生」で育った人ほど、「ダメな親」と言われないよう必死なのかもしれません。

中には親自身の自己中心的な理由を子どもに押し付ける場合もあります。ところが反面教師とはよく言ったもので、そういう場合は「それはおかしい」と子どもが反発し、逆に自他の境界が形成されやすくなるようです。

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しつけが全くないと「自分=世界全て」になる

最近増えているのが何でも言う事を聞いてもらえた為に自他の境界が出来ず、「自分=世界全て」となり、モンスター化した子ども達です。
「叱らない子育て」を曲解して常識やマナー、思いやりを教えられずに育つと、自分の考えが全て通ると勘違いしてしまうからです。
これはこれで人間関係で悩むことになります。友人、恋愛、結婚、職場などで一番お付き合いしたくないタイプですよね。当然のように嫌われるでしょう。

これらから考えると、最悪なのは厳しくあれこれ言う割に最終的には子どもの言いなりになってしまう事かと思います。

しつけのバランスは難しいところですが、まずは親御さん自身が自他の境界をしっかり持つことが重要です。
常識やマナーを教える必要はありますが、従わない時に子どもの領域に侵入してしまわないようにです。

私は4人の子の母ですが、子どもに勉強しなさいと言ったことはありません。
「世の中に出た時にこれだけのことは最低限知っておかないと困るけど、勉強が必要かどうかは自分で考えなさい」と言ったところ、全員黙っていても勉強する子になり、逆に家事全般を厳しく教えたら、全くやらない子になりました。

この事から私は、子どもは小さくても自分の領域を守ろうとする一個の人間なのだと学びました。
常識・マナーは教えるけれど、押し付けないという姿勢が大事なのだと思います。

では、次回は自他の境界が無く育ってしまった人が次にぶつかるであろうトラブル、恋愛・婚姻関係について書きます。

 

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