神社カフェ発信 タロットについて 8「父祖・皇帝」〜イマジネーションの普遍性

占いを続けていると、感性が磨かれてきて、やがて自分が流れのもとにあることを強く感じるようになります。そして、日々の小さなことから、人生にとっての大切な決断においても、最も自分らしい選択ができるようになっていくのです。

東京新宿区 高田馬場にある、「占いカフェ 神々の森神社カフェ」からの、タロットカードについての発信です。本年もどうぞよろしくお願いします。新年第1回目は「父祖・皇帝」です。

タロットカードは、15~16世紀のイタリアに突然現れた神秘のカード。
そして「神々の心のタロット」は神々の森神社カフェが発行しているタロットで、西洋のタロットと日本の霊性に基づいたタロットがセットになっています。
タロットは、親しみやすそうな外見と裏腹に、使いこなすのは意外に難しかったりします。
その根源的な理由として、タロットはヨーロッパ文化を前提としないと意味が分かりにくいからだと思います。
そのため、一度、人類の神話や精神性まで深掘りし、日本や世界の、普遍的な霊性、精神性からも考察することで、初めて掴める部分が大きいのです。

 

「父祖」「皇帝」のイマジネーションの普遍性

父祖や皇帝は、意思を決定する者であり、毅然とした王の姿です。
最も陳腐とも言え、最も素朴なイマジネーションであると言えます。

「最も陳腐」「最も素朴なイマジネーション」?どういうことでしょうか。

「意思決定者」「王様」のイメージは、いつの時代でも、ほぼ決まった図像でイメージされるものです。古代文明の王あるいは神を表す、恐らく男性の、前か横向きの図像と、現代の企業のサイトに載っている社長の描かれ方は非常にそっくりです。

考えてみれば、奇妙なことだと思いませんか。

生活の仕方や精神・文化に関わらず、「いわゆる意思決定者」のイマジネーションは恐ろしいほど似ているのです。

そして、この「いわゆる王様」の図像は、あまりに単純素朴ですが、我々に非常に大きな影響を実は及ぼしているイメージなのです。

古代文明 アッシリアのサルゴン一世の壁画と、現代の権力者の図像
※正面向き・あるいは横向きで、直立して活動する・あるいは椅子に座る。像は石造り

 

神秘性を感じさせない「普遍的過ぎるがゆえの陳腐さ」

この「意思決定者」のイメージは、我々の心のあまりに素朴なところに位置するがゆえに、他のイメージに比べ、あまり神秘性を感じさせないという、驚くべき特徴があります。

このタロットの根源に関する論考で、今まで、愚者や、太陽や月や、いろいろな図像を採り上げました。こうしたイメージについては少なからず、分析するたびに「神秘的」で「深遠」な感じがするのではないでしょうか。

しかしながら、「壮年の偉い男の人」の原型が、あらゆる時代に普遍的である、ということを認識しても、「だから何だ?」という感覚を覚える方が多いのではないでしょうか。

神秘的な色合いをほとんど感じさせません。だからこそ、注意が必要です。

男性にとっては、ほとんどの場合、この「王様」原型に素朴に自分を重ねてしまうことにより、自分勝手になります。無自覚的に、こうしたイメージと自分を同一化させると、個性を失っていきます。
これはパートナーから「自分勝手で、理解できない」といわれる現象を作るものでもあります。そして、この王様のイメージ通り、年を重ねるごとに頑なになっていくことでしょう。

女性にとっても、この「陳腐さを孕んだ王様への反感」として、この原型をあまり意識せずに重ねてしまうことによって、パートナーとの不和を起こしてしまっていることもあるのではないでしょうか。

ニウセルラー王像(エジプト) リンカーン座像(ワシントン) よくある「経営者の理念」アングル
※きちんと椅子に座り、正面気持ち上を直視する。像は石造り。

 

気難しい壮年の王は、戦って宇宙を完全にする

「意思決定者」としての王は、主宰神として、あらゆる宗教思想に現れています。
宗教学者のキャンベルは、この「神」の原型・性格について、「かなり気難しい、壮年の男性のような性格である」と描写しています。