KUSAKA SAVIOUR 新訳~日本神話~ PART 7 偽りの岩戸開き 後編

みなさんこんにちわ! ともくんです! ついに先日から始まりました! トリニティ連載の新しいシリーズ 古事記や日本書紀などの日本神話のさまざまな謎や真相多くの知識を得てゆけるフィクション小説 「KUSAKA SAVIOUR 新訳~日本神話~」第7話をお送りしたいと思います。 さまざまな古代の神話の物語が現代によみがえる…… (注※物語はフィクションです。登場する人物 場所は一部の場所を除き実在のそれとは一切関係ございません。 物語としてデフォルメし対応させてわかりやすく描いてあるので続きを期待していてね♪)

日本神話の隠された事実を学べる連載小説!

~あらすじ~

昭和東京オリンピックの日、主人公ちい子は川のほとりの神社で謎の青い瞳の少女に出会う。
ちぃこの息子テルヒコが生まれ、学生時代より謎の夢に導かれるようになってゆく。
照彦の能力が発動し、百花繚乱の青春時代は地獄からの脱出劇となった。
そんなとき、八百万の神が招集され、これまでの天孫降臨にミスがあったと、猿田彦大神が知ることとなり……

※原作 ともくん 小説のキャラクターデザイン※作画  トム/白ノ希望/あらら

――前編より続く――

 

偽りの岩戸開き

テルでヒコは20歳になっていた。
テルヒコは一連の騒動から、大学には通わず
働きながらなるべく夢とは無縁の日々を送りたいと思った。
もうあんな出来事とはかかわりたくないよ……
そうおもいながら、テルヒコはふと霊能者の立岩さんが元気にしているかを思い出していた。
立岩さんは本当にすごい人だ。と思い起こす。あの能力だけでなく
人間性や、人々のために尽くそうという意思は、テルヒコの精神性に
強い影響を与えていた。その背中は不動明王そのもので、
彼がふすまに描いた絵は大きな不動明王の絵で
立岩と不動が一体となった作品だった。「テルヒコ君、おいは君も人々の幸せのために動き出すようになると思っている」
当時から立岩はテルヒコの瞳の奥底を見抜いて、意味ありげな表情をすることがあった。
まるで、こいつは今後何かやるな……? と言いたげな顔をしていた。
何かをする。何か大きな動きをしていく
そう驚きとともに見つめてしまう、時折霊視して、おっと思ったような見開いた眼がそれを物語っているようにテルヒコは感じた。
だがあくまでそう思ったのみであったので、テルヒコはその思いを追及しなかった。
立岩はテルヒコに道を示した後で、数多くの相談者が抱える邪気と格闘していた。
その邪気は時として肉体を食い破り、精神を疲弊させた闘いは死と隣り合わせであった。
立岩はテルヒコの瞳の奥底にテルヒコではない別の人格を一瞬垣間見ていた。
「おいの勘違いか」立岩はその時、おそらく自分の誤解かと思い、元気でやっていることを確認したのち、自分の仕事に戻った
テルヒコは自転車で各地を放浪するようになっていた。
すると路上でバンドをしている二人のアベックに出会う。
彼らはヒッピーのような姿をしていて
目の細いおかっぱ頭のチャーミングな女性と
ピエロのように赤いメイクを瞳に描いた細長い坊主の青年
彼らは自分のことを「ODOKEをするものども」と呼んでいた。
道化師か。テルヒコは時間があったのでバンドのアルバムをしげしげと眺める
「面白いですね。なにかバンドをされているんですか?」とたづねると
「君、興味あるの? 暇ならこんどうちのライブハウスきな! おもしろいよ!」
テルヒコはその、おどけをする者どもと自らを称する二人についていくと、そこには
バンドの仲間たちがぞろっと勢ぞろいしていた。

 

八百万(はなったけ)の青春

彼らはみんな前衛的な格好をしている芸術家集団だった。
「喫茶店兼ライブハウスクラウン」に集う彼らは夜になると決まった時刻に集まる。
男たち、女たちがあつまりそこには不思議な世界が出てくる。
みんなでカレーを頼むとそこには必ず大日本帝国を連想させる国旗が付いてくる。
「クラウンの魂を喰らいやがれ!」とすさまじいテンションでみんなでそれにがっつく。それが定番であった。
みんな奇抜なメイクに個性的ファッション、さまざまな文化的な会話にちょっと危険な人々とか情報が混ざる怪しい世界
寺山修二の世界そのもの。
テルヒコは自分が来る世界ではなかったと少し反省した。まじめで20歳の硬い自分のような精神世界を歩く潔癖症人間には
ちょっと向かない世界。だが彼らは打ち解ければ基本的には良心的で優しい人々であった。