本誌を見逃した方へ、もう一度幸福をお裾分け ティク・ナット・ハン師プラムヴィレッジ体験記!その①

ティク・ナット・ハン師曰く、「禅の修行とはクリエイティブに楽しく行うもの」。日々の生活に感謝し、歩くときは地球を癒すように……

TRINITY50号でご紹介しました、禅マスターティク・ナット・ハン師の庵”プラムヴィレッジ”での体験記をもう一度お届けします。体験取材だからこその空気感。ハン師による幸福感溢れるお言葉、日々の生活への感謝、歩く事の大切さをここで改めて実感しましょう。

私の住む庵は古いフランスの石造りの建物で、階段も古い木でできています。
私にとってこの古い階段は大切な修行の友です。マインドフルに歩くことをいつも私が忘れないように教えてくれる師です。この階段を、ゆっくりと息を吸って一段、息を吐いてまた一段、と上り下りします。階段の途中で一歩一歩に集中しないで階段を上っている自分に気づいたら、もう一度元に戻って、始めからやり直します。やる気さえあれば、だれでもこのように禅を日常に取り入れることは簡単にできます。自分に似合った「聖なる道」、修行の友を家のなか、または野外で見つけて、毎日歩く瞑想を実践してみてください。家の寝室から台所まで、職場でデスクからコピー機まで、または毎日通う電車の駅の階段の上がり下がりなどでいいです。

※編集部発:会社のデスクからトイレまでもが、瞑想の道になり得ます。自分が思えばそれはきっとどこでも。

禅の修行とはクリエイティブに楽しく行うものです。
何でも長続きさせるためには、無理せずに楽しく行うことが秘訣です。形にこだわらずに、自分の生活に適した実践をするようにと、ブッダは教えてくださいました。毎日このように歩く瞑想の実践を続ければ、あっという間にストレスは減り、心も身体も安らぎに満ちてくるでしょう。良い結果があらわれると、実践がもっと楽しくなりマインドフルに歩くことが良い習慣として自然と身に付いてきます。修行のコツはUPAYA(方便)です

歩き方を見ればその人の心の状態が見えます。
スクリーンショット 2015-02-11 11.01.02現代人の多くは夢遊病者のように、まるで幽霊にでも追われるように、前屈みになって焦るように歩いています。歩いているというよりは走るクセがついています。そんなに急いで、いったいどこに行くのでしょうか。毎日を急いで突っ走っても、たどり着くところはお墓だけです。急がずに、一人ひとりに与えられたこの大切な人生の一瞬一瞬を楽しみながら歩みましょう。ただ、歩く瞑想をするのに周りにそのことを宣伝しながらする必要はありません(笑)。周りに人がいる町中では、あまり違和感の無いように自然に歩きましょう。解放感を持って軽い足取りで、マインドフルな呼吸で全身に気づき、無駄な力(特に肩に入っている力)を抜きます。顔の筋肉を緩やかにして、ブッダの微笑みのような、うっすらとした微笑みを口元に浮かべて、一歩一歩を楽しみましょう。その一歩一歩が私たちの心と身体にたっぷりと栄養を与え、癒してくれます。

※編集部発:肩の力を抜くのは意外と容易ではありません。「肩で風を切る」「いかり肩」「肩に力が入る」などの言葉で形容されるように方は頑張って力んでくれているようです。だからこそ肩の力を抜いてスマイルで

多くの企業からも禅の教えを経営に取り入れたいと呼ばれます。
世界銀行google本社にも行きました。知って頂きたいのは、企業を成功させるためには、一人ひとりが幸せであることが必要だということです。私たちは自分のなかにある絶望感、孤独、不安などの苦しみをごまかすために消費へ走っています。苦しみにどのように対応すればいいのか分からないから自分から逃げ、心を閉ざして感情を抑圧し、テレビやネット、仕事や飲食に没頭します。そのために大量消費の社会を生み出し母なる地球を破壊へと導いてしまっています。しかし、人間だけではなく、多種の動植物とも共同しているこの美しい惑星を癒し、回復させたいと思っている人は世界中にたくさんいます。その人たちが歩く時、一歩一歩に愛を込めて、地球へヒーリングのエネルギーを送ることができたら地球はどんなに癒されるでしょう。一番大切なのはあなたの心のありかたです。現在のあなたの平和に満ちた一歩一歩が平和な未来を築きます。

ティク・ナット・ハン(釈一行)
1926年、ベトナム中部生まれ。禅僧、平和、人権運動家、詩人。世界的に知られた精神的指導者であり、その卓越した教えは全世界に影響を与えている。

Special Thanks:taisuke Yoshida,Plum village Mindfulness Practice Centre

TRINITY50号より

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