次々とやってくる台風と二百二十日と風鎮めの祭り

都心部ではさすがに風切り鎌を立てるというのは難しいと思いますが、防災への意識をしっかりともって、風や雨による災害に対処する用意はしっかりとしておくようにしたいものです。
次々とやってくる台風と二百二十日と風鎮めの祭り

【今年は台風の当たり年?】

今年は台風の発生は遅かったものの、発生後は日本に上陸するルートを通る台風が多くなっています。つい先日は、「台風9号、10号、11号」という3つの台風がすべて日本近海を通るだけでなく、「北海道や関東地方に上陸し、様々な被害」をもたらしました。

そもそも、日本は「台風の被害を受けやすい立地」に存在しています。そのために、古くから台風を避けるための様々な智恵が産み出されてきました。その中のひとつが「二百十日(にひゃくとうか)」。

 

【民間の智恵から生まれた台風注意の日】

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こちらは、名前の通り、「立春から数えて210日目」のこと。今年でいうと「8月31日」となります。正式な暦ではなく「雑節」と呼ばれる民間の暦であり、人々の経験を元にして制定されたものです。この日は、「台風が訪れやすく風が強い日」とされています。

非常に似た名称のものとして「二百二十日」もあります。こちらも同じように台風が訪れやすい日となっています。10日の違いがあるわけですが、一説によると二百二十日を警戒してもすでに台風が襲来してしまって手遅れなので、二百十日が設定されたともいわれています。

21世紀の現代でも「台風の莫大なエネルギーを人間が左右することは難しく」、様々な被害を受けざるをえません。先日の例はもちろんですが、台風や豪雨の被害によって、大きな災害がもたらされたケースも多々あるのです。現代でも、それだけ被害を受けるわけですから、「昔の人々が台風を恐れたのは当然」といえるでしょう。

特に8月末から9月にかけての時期に台風が襲来すると、「収穫前の稲が根こそぎ持って行かれてしまう」ということもあり、文字通り死活問題だったわけです。そういった状況を避けるために、二百十日や二百二十日が考え出され、台風に備えるだけでなく、「台風を鎮めようとする信仰」も生まれました。

 

【1300年以上の歴史を持つ風を鎮める祈り】

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台風を鎮めるためのお祭りは「風祭り」や「風鎮めの祭り」と呼ばれ、現在でも「7月から10月にかけて、全国各地で行われます」。基本的には前述したように、稲を含めた農作物が台風によって被害を受けないために祈願するというものですが、二百十日は船乗り達の経験によって生まれたという説もありますので、「農業だけでなく、漁業にとっても風鎮めは重要」だったのです。

そんな風祭りの由来は古く、「天武天皇の時代」といわれています。今から1300年以上前から日本人は台風と戦ってきたのです。古式豊かな風祭りとしては「龍田大社」のものが有名です。奈良県にあるこの神社は「風神」を祀っており、朝廷からの信仰も厚く古くから風祭りを行っていました。

 

【陰陽五行の呪術で風を鎮める】

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龍田大社では、「風の神様に祈ることで台風の害を避ける」わけですが、民間の風習として「風切り鎌」というものもあります。こちらは、自宅の屋根や長い竹竿の先端に鎌を立てて、それによって「風を切り裂いて威力を抑える」というもの。鎌によって風を封じるというのは、比較的一般的だったようで、風の神様ともいわれる「建御名方神」を祀る諏訪大社にも「薙鎌」と呼ばれる神器が奉納されています。

なぜ、鎌を使うことで風が封じられるのでしょうか? これは「陰陽五行説」が関係しています。風は五行でいうと「木」にあたります。木を抑えるためには「金克木」、すなわち「金」の気が必要となります。そのために、かつては一家に一台あった鎌を利用して風を弱める手法が考え出されたのでしょう。諏訪大社の場合は、さらに象徴的であり、「木」に「薙鎌」を打ち込むことで風を封じ込めるという神事が行われます。

すでに台風は襲来していますが、これから二百十日、二百二十日もやってきます。都心部ではさすがに風切り鎌を立てるというのは難しいと思いますが、防災への意識をしっかりともって、風や雨による災害に対処する用意はしっかりとしておくようにしたいものです。

Specific date of the typhoon coming.
Magic to effect the typhoon.

 

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