「見ざる」「言わざる」「聞かざる」申年だから、有名な「三猿」について詳しくなろう!

「日本が発祥の地」と考えられがちな「目を隠している猿」「口を隠している猿」「耳を塞いでいる猿」実は海外でも似たようなモチーフは存在しているのです。そんな三猿が示す「叡智」とはいったいどのようなものなのでしょうか?

 

【申=猿】

2016年は申年。ということで、今年は猿に関する情報が増えると思いますが、日本で古くから知られている猿モチーフである、「三猿(さんえん)」について紹介したいと思います。こちらは、「見ざる」「言わざる」「聞かざる」ということで、「目を隠している猿」「口を隠している猿」「耳を塞いでいる猿」の3匹がセットとなっており、お寺の装飾として使われたり、石碑に刻まれていることが多いものです。

 

【世界遺産にも登場する三猿】

もっとも有名な三猿は、世界遺産にも登録されている「日光東照宮」にあるものでしょう。こちらは、「日光三彫刻」のひとつにも数えられるほどであり、その芸術性は世界的に認められています。ちなみに、意外と知られていませんが、東照宮の三猿は、単独のものではなく、「8つのシーンのひとつ」なのです。

こちらの8つは猿の一生を描いたものですが、実質的には「人間の一生をあらわしています」。どんなものかというと、1面は母親と子猿、2面が三猿、3面は独り立ちする一匹の猿、4面は天を仰ぐ猿、5面は仲間を励ます猿、6面はなにかに悩むような猿、7面は結婚した猿、8面は出産を控えたお腹の大きな猿。というようになっており、1面から8面がループしているという構成になっています。場面的に考えると、三猿というのは、「子供のうちに学んでおくべきルール」といえるでしょう。

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【世界的に通用する三猿の叡智とは?】

「み猿」というような語呂合わせから、三猿は「日本が発祥の地」と考えられがちですが、実は同じようなモチーフは東洋のみならず、西洋にも存在しており「Three wise monkeys」などと呼ばれています。そんな三猿が示す「叡智」とはいったいどのようなものなのでしょうか?

これにも諸説があり、『論語』が由来というもあります。それによると、孔子が「礼にそむくことに関しては目を向けたり、耳を傾けたり、言ったりしてはいけない」といったことから、三猿が考え出されたのだそうです。

また、前述したように石碑に刻まれているものは「庚申講」と深く関係があります。こちらは、「庚申の日」には、人間の身体の中に潜んだ「三尸虫」という虫が天帝に人間の罪を報告し、それを元に「寿命が変動する」とされていたことから、その日は夜に寝ないようにして三尸虫を身体の中に封じ込めようとするという行事です。寝ないだけでなく、「悪事を見ず聞かず話さず」ということで、庚申の「申」にかけた三猿を配置することで、さらにその封じる力を強めようとしたわけです。

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【ガンジーも身につけていた三猿】

ちなみに海外では、教会で三猿の叡智として「性的なものを見ない、いわない、聞かない」というようなものとして使われていますし、有名な「マハトマ・ガンジー」は三猿の像を身につけていて、「悪を見ず、聞かず、言わず」というモットーをもっていたとされています。

それぞれの流儀によって、細部は変わりますが、「猿」というモチーフを使っていることには変わりはありません。しかしがら、インドはともかく、ヨーロッパでは、猿は一般的な動物でなかったことから、「比較的後年になってから東洋から伝わった思想」なのではないかといわれています。

とはいうものの、三猿が秘めた叡智というものは、世界的に通用するだけの普遍的なものといえるわけですので、申年の今年は、三猿の叡智を活かして「見ざる」「聞かざる」「言わざる」を生活に取り入れてみると、より素晴らしい1年を過ごすことができることでしょう。

Wisdom of the three monkeys.
How to live better 2016 years?

 

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