母から娘への愛がこもった花ふきんに込められたスピリチュアリティ

刺し子という技法を使って、ふきんに美しい模様を描きだした「花ふきん」。本来は「母親が嫁にいく娘に持たせるための、いわば嫁入り道具」だとは、皆さんご存じでしたか?

【伝統の刺繍が施されたふきん】

「花ふきん」をご存じでしょうか? 最近話題となっている「中川政七商店」で販売されている、蚊帳生地から作られたものならば聞いたことがある、という方が多いかもしれませんが、今回はそちらとは違った「花ふきん」を紹介したいと思います。 「刺し子」という技法があります。 こちらは、今から「500年ほど前に生まれた日本の伝統的な刺繍方法」であり、「庶民の智恵から産み出されたもの」だといわれています。そのために、発祥や起源などは定かではないのですが、東北地方を中心に、全国各地で使われていたものです。 163817492

【嫁入り道具だった花ふきん】

そんな刺し子の技法を使って、ふきんに美しい模様を描きだしたものが「花ふきん」です。一般的には、刺し子を使って模様を描かれたふきん全般を花ふきんと呼んでいますが、本来は「母親が嫁にいく娘に持たせるための、いわば嫁入り道具」でした。 花ふきんの特徴は刺し子によって描き出される模様ですが、今と違って三世帯同居が当たり前であり、大家族だった時代に、家族それぞれのお膳が区別出来るように、違った模様のふきんを用意する必要があったのです。 また、ふきんを洗うたびに、「刺し子に使った鮮やかな色の糸から、真っ白いふきんが糸の色に染まっていく」ことから、早く「嫁ぎ先の色に染まって欲しい」という願いも込められていたのだそうです。 283734323