今の時期だからこそ見直そう、日本に古来から伝わる機能性家具”畳”〜TATAMI〜

機能的でありながら、スピリチュアルな要素も満載の畳。「その力を発揮させるためには、お手入れも必要」です。

【日本ならではの文化を見直そう】

古来から、日本家屋につきものの家具であり、世界に類をみない「日本ならではの文化」といえば、皆さんもご存じの「畳」があります。昔は、畳の下には床下があり、直接地面だったりもしたわけですので、家具というよりも、建材であったわけですが、最近では家具というような認識の方が強くなりつつあります。

「TATAMI」という言葉が海外で通用するように、日本の文化と広く知られている畳ですが、日本では「本格的な和室がある家」というのが減ってきています。一戸建てならばともかく、ワンルームや1DKといった間取りで和室があるというところは、かなり珍しいといえるでしょう。

日本人の西洋化が進むと共に、畳がしかれた和室よりもフローリングの洋室のほうがオシャレというイメージが強くなっただけでなく、畳のお手入れがわからない、畳にはベッドが置けないといったような事情もあり、一時期畳は衰退していきました。

 

【畳の良さが見直されてきている】

しかし、昨今の古民家、町屋ブームなどで「畳の良さ」が見直されてきています。畳は古くからの歴史をもっているだけあって、「実用的な効果はもちろん、スピリチュアルな意味合いも含まれているもの」なのです。

機能性の面でいうと、今頃の時期にはフローリングの部屋よりも、畳の部屋の方が過ごしやすいということがあります。これは、「畳の原料である、い草や藁が湿気を吸い取ってくれている」ため。ちなみに、湿度が低い場合は反対に湿気を放出して、ある程度室内の環境を調整してくれるのです。

また、断熱性も高いために、日が当たるとすぐに熱くなってしまうフローリングに比べて、温度変化が少ないので、夏の暑さを軽減してくれます。都会のフローリングよりも、田舎の家や、旅館などにある「大きな和室で寝っ転がった方が格段に気持ちが良かった」という経験をした方もいるかと思いますが、これらはこのような「畳がもつ力」のおかげなのです。

 

【畳にまつわる作法】

このような機能をもっていることもあり、古くから使われてきた畳ですが、それだけに「作法」も色々と伝わっています。今ではほとんど意識されることもなくなってきている作法としては、状況によって「畳の敷方を変える」というものがあります。

昔は冠婚葬祭は自宅で行われることが多かったわけですが、そんなときに「畳の敷方を変えて」いました。おめでたいときは通常の敷方でいいのですが、お葬式などの場合は、「畳の縁を、できる限り同じ方向に向けて並べるように敷いて」いたのです。現在でもお寺などではこういった古来の敷方を続けているところがあるようです。

これは、「ハレとケ」という思想から、畳の向きを変えることで「エネルギーレベルで環境を変化させようとした」というとらえ方もできますし、多くの人が出入りすることを考えて、「掃除の手間を軽減するため」という、合理的な意味合いがあったともいわれています。

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【あなたの家に切腹の間ありませんか?】

ちなみに、「縁起が悪いので基本的に行ってはならない敷方」というものも存在しています。それは、「中央の小さな畳を、4つの畳が取り囲むようになっている形」であり、「巴敷」と呼ばれています。

このような敷方は別名「切腹の間」と呼ばれて非常に縁起が悪いとされていました。ちなみに、巴の向きが右ならOKという説もありますので、もし家に巴の間があったならば、向きに注意してみるといいでしょう。

 

【畳の縁はなぜ重要?】

また、「畳のへりを踏まない」というマナーも存在していました。こちらは、「縁には段差があるので、ふむと転びやすい」、「縁の部分は布でくるまれていて頑丈ではないので踏むと壊れてしまう」、「床下から凶器を突き上げる場合に、畳は貫けなくても縁は貫ける」のでそれを防止するなどといった実用的な意味が多いようです。

その一方で、前述の畳の敷方のように、「畳を一つの結界として考えて、縁を踏んでしまうと、それが壊れてしまうために、踏んではいけない」という説もあります。

今ではほとんど見られなくなりましたが、かつては畳の縁に「家紋」を刺繍する風習がありました。これは、「畳という結界を家紋の力で守護して貰う」というような意味合いがあったとされています。暑いときだけでなく、私たちが直接畳に寝転ぶと「なんともいえない心地よさを覚える」のは、こういった畳が持つ結界のパワーも影響しているのかもしれません。

 

【畳のお手入れをしてみよう!】

機能的でありながら、スピリチュアルな要素も満載の畳。

「その力を発揮させるためには、お手入れも必要」です。とはいっても、非常に簡単にできる方法ですので、是非とも実践してみて下さい。用意するものは「熱めのお湯」と「綺麗なぞうきん」だけでOK。なぜお湯が熱めの方がいいかというと、今の時期などは「汗などの油脂」が畳につきやすいために、それを「速やかに溶かす」という意味合いがあります。

まずは、ぞうきんをお湯につけてしぼってから、畳の目に沿ってふいていきます。お湯が熱めなので、ほっておいてもすぐに乾燥しますが、より丁寧にやる場合は、最後にもう一枚綺麗なぞうきんやタオルを用意して、から拭きするといいでしょう。

こうすることで、汚れが取れるだけでなく、適度な水分が補給されることによって、「畳が持つ独特の爽やかな香りが立ち上って」きて、暑さを忘れさせてくれる効果がアップします。もちろん、穢れをとることでエネルギーレベルでもパワーアップしていますので、お手入れをしてから、畳で寝っ転がってみて下さい。きっと心地よさが違うはずです。