伝統的なハワイの踊りである「フラダンス」に秘められた スピリチュアル色濃い秘話の数々

ハワイだけでなく、日本でも夏になればイベントなどでよく見かけるフラダンス。ハワイの典型的な踊りであるこのダンスは、もともと宗教儀式や癒しの手段として始まったものだったのです。

現在見かけるフラダンスは、女性が中心の華やかなものが多いのですが、もともとは宗教儀式であり、神殿の前で踊る神聖なもので、男性にのみ踊ることを許されていたのです。

ハワイではすべての自然には神々が宿ると信じられており、その神々に祈りを捧げる手段として、フラダンスを踊っていました。

従ってフラダンスの動作の多くに、ハワイの自然の動きが多く見られます。
自然を感じながら、自然と一体になり、踊るのがフラダンスなのです。

 

フラダンスの歴史とは?

現在よく見かけるカラフルなムームーを着て踊るようなタイプのフラダンスのことを現代フラダンスの「アウアナ」と呼び、主に男性が主体で踊る古典のフラダンスを「カヒコ」と呼んでいます。

カヒコは、瓢箪型のイプヘケという楽器や太鼓を使い、ハワイ語のチャントと呼ばれる儀式の歌に合わせて踊られるのに対し、アウアナは、ウクレレやギターなどを使った現代音楽で踊っています。

ところが1820年にハワイにやって来たヨーロッパの宣教師により、フラダンスは下品で卑猥な踊りであることと、キリスト教ではない異教の踊りであるとして一旦禁止となってしまったのです。

その後、カラカウア王時代に、昔からハワイの人々にとっては大事な表現の手段のひとつであったフラダンスや、そのほかのハワイの伝統文化を復活させる運動が起こり、ふたたびフラダンスが日の目を見ることができるようになったのでした。

ホテルなどのショーで、腰みのを着けて派手な動きで踊るダンスのこともフラダンスと呼ばれることが多いのですが、こちらは正式には「タヒチアン・ダンス」であり、フラダンスとは別の踊りなのです。

 

古代におけるフラダンスの役割

このように、フラダンスはもともと宗教儀式として始まった踊りではありましたが、そのほかにもフラダンスが担った役割がいくつかありました。

そのひとつは、ハワイの文化は文字を持たなかったため、フラダンスとして踊りながら、またフラダンスを踊るときに謳うチャントと呼ばれる儀式の歌の中に、後世に伝えるための大切なハワイの伝説を盛り込んだのです。

また、自然と一体になって踊ることで、踊りから発せられるパワフルなエネルギーが、フラダンスを見る周囲の人々には癒しの効果を与えていたとされています。

 

フラダンスの師匠、クムのパワー

フラダンスを踊る上で、忘れてはならないのが、フラダンスの先生である「クム」と呼ばれる人たちのことです。

このクムと呼ばれている人たちは、ハワイ語、ハワイ文化や歴史などに精通し、踊りが上手なだけでなく、かなりの霊力が備わっていたのです。

現代のクムには、残念ながらそれほどパワフルな霊力がある人はいないのではないかと思いますが、昔のクムには波や雲なども自在にあやつる力もあったとされています。

あるクムは、夜明けにビーチで自分の生徒たちにフラダンスの修了試験を行うことを告げていました。
この試験を受けるためには、厳しい規則を守り、試験前の何カ月間かは、決して男女の交わりがあってもいけないとされていたのです。

ところがひとりの生徒がその規則を破り、恋人と遊んだりしていたのです。
その生徒は先生の目をごまかすことなんて簡単だと思っていたからです。

試験の当日、先生はまずビーチに立って自然の神に祈りを捧げました。
そして試験が始まり、たくさんの生徒が一斉に踊りだすと、突然目の前の海の波がまっぷたつに割れ、その規則破りをしていた生徒にだけ、波が襲いかかってきたのです。

それを見たクムは「あなたは規則を破りましたね、自然は嘘をつきません。失格です」とその生徒に告げたのでした。

今までなんとなく見て楽しんでいただけかもしれないフラダンスですが、このような深いバックグラウンドがあることを知ってみると、フラダンスが醸し出すエネルギーから癒しの恩恵やパワー受けられそうな気がしませんか?

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