失われてしまった「道」

日本には「道」とつく文化が多くあります。世界にまで広まったものも多くある「道」の中には、現代まで残ることなく「消えてしまったもの」がいくつもあります。すでに伝える人どころか、名前すら知っている人が少なくなったものが「酒道」。これは名前の通り「お酒の飲み方を作法」としたものなのです。

【現代まで残らなかった「道」】

書道や、茶道、華道など、日本には「道」とつく文化が多くあります。
剣道や柔道など世界にまで広まったものも多くあるわけですが、そんな多くの「道」の中には、現代まで残ることなく「消えてしまったもの」がいくつもあります。

 

【お酒を飲むことで精神性を高める「酒道」】

今回紹介するのは、そんな失われてしまった「道」のうちのひとつである「酒道」
すでに伝える人どころか、名前すら知っている人が少なくなったものですが、これは名前の通り「お酒の飲み方を作法」としたものです。

お酒を飲むのに作法がいるの? と思うかも知れませんが、茶道と同じように、単なる飲食ではなく、最終的には「精神を統一し、高める」というところを目的にしていたようです。
足利時代に創始されたとされる酒道には、「公家流」「武家流」「商家流」の3つの流派が存在しており、それで教える内容が違っていたようです。

 

【3つの流派が伝えていた内容とは?】

貴族である公家が伝えていたものは、「香道」のようにお酒を飲むことで、その種類を香りや味から当てるという、「娯楽を含んだ内容」となっています。
現在、お酒の味を試すときに「利き酒」というのは、香道で香りをかぐことを、「聞香」と表現するところと共通しており、もしかしたら、現代まで残っている酒道の名残なのかもしれません。

商人が伝えていたものは「お酌の作法や礼儀作法」という、ある意味で非常に実用的なものでした。
サラリーマンなどにとって必須のマナーかもしれませんが、当時はお酌をするのは女性がメインでしたので、「嫁入り前の修行として重要視されていた」ようです。
また、宴会での座の位置や、配膳の仕方などということも伝えていたようですので、こちらは上座や下座といった作法と一緒にわずかながらも、現代に伝わっているものがあるかもしれません。

武士が伝えてたものがもっとも「精神性を重視しており、礼儀や作法を通した精神鍛錬のためのもの」だったようです。
こちらが、一番情報が少ないものなのですが、「お酒を飲む時は背筋を伸ばして正しい姿勢で飲む」、というものや、「酔いを覚ます時には正座をして、心を平静にした上で歌をうたうようにする」、などといったことを実践していたようです。
精神鍛錬というよりも、「二日酔い対策マニュアル」っぽい気もしますが、背筋を伸ばしたり、正座で歌をうたうというのは、「酸素をしっかりと取り入れることで、体内の新陳代謝をよくする」という見方もできますので、そういった意味ではかなり実用的な知識だったのかもしれません。

 

【実は女性向けだった日本酒】

酒道は江戸時代ごろには失われてしまいましたが、「日本酒」自体は、近年になって日本国内だけでなく、海外でも注目されています。
ここ10年で輸出量が2倍以上になっているということからもそのことがわかります。

海外では飲みやすいお酒として、その繊細な味が評価されているようですが、「日本酒はそもそも神様に捧げられるものであり、強い浄化の力を持つスピリチュアルな飲み物でした」。
現在でも神道のお祀りにはお酒は欠かせないものなのは多くの人がご存じだと思います。

今までは、日本酒というと、おっさんの飲み物というイメージがあり、女性には敬遠されがちでしたが、適量を守って飲むことで「基礎代謝を上げ、血液の循環を促進させることで老廃物の排出をうながす効能がある」ことがわかっています。
また、日本酒に含まれている「麹」には「メラニンの合成を抑制する働き」もあるのだそうです。
つまり、「美容」や「ダイエットに効果的」ですので、今まで日本酒を飲んだことがないという方は、体内を「エネルギーレベルで浄化し、さらには物理的に美しさを与えてくれる日本酒」に是非一度チャレンジしてみてください。

Lost Japanese culture “Syu-do”.
Sake have a spiritual power.