『病は気から』 〜東洋医学がもたらす「気」のちからと「漢方薬」の素晴らしさ 〜

自然界に作られる植物たちは星の数ほどありますがその中から身体に効果有るものを選び抜き、その中から気が合う仲間を探していくことは、奇跡とも言えるでしょう。その絶対的な法則をしっかり勉強してより確実に漢方薬を合わせていくと漢方薬の素晴らしさを感じることが出来るのです。

皆様こんにちは。このたびトリニティウェブよりご依頼を受けこれから原稿を書かせていただくことになりました鈴木です。
どうぞ宜しくお願いいたします。

約30年間東洋医学を勉強してきましたので、漢方薬の素晴らしさを皆様にお伝えしていきたいと思います。

ボタンの花

 

病は気から

さて、今回のお話は、「気」です。
目に見えるものではありませんが、気分、やる気、病気とよく使われている「気」。

二千年前の中国の偉い先生方は「生命のエレルギーの源」と考えていたようです。よって気が少なくなると病気になります。気を補う薬草の代表が「朝鮮人参」です。

当時は病気の治し方や薬となるものの情報はほとんど無く、人間の鋭い感性のみが頼りでした。植物たちから発せられる「気」を感じ、弱っている身体にどの薬草が効きそうのかをイメージして漢方薬を作り上げていったのです。ちなみに朝鮮人参は、その形が人の姿に似ていることから人全体に元気を与える薬草として貴重なものでした。

「病は気から」と言う言葉があるように、現代医学的に言うと気の病とは自律神経の乱れや、うつ病などに近いと考えます。「気」は体の中を循環していると健康で、滞ると病気になります。

「気滞(きたい)」は、咽や、胸で起こりやすく、紫蘇の葉や、ホウノキの皮の香りで循環させます。「上衝」は、上がり性の方でニッキ、甘草をもって循環させます。気が回ると、血流もよくなるため目の疲れや、肩こり、冷え症も改善させる例があります。また、運動によっても気のめぐりは良くなります。

畑仕事

 

気が合う仲間

以前、柔道の練習で手首の骨折をしたことがありました。

四ヶ月が経ち漸く柔道の練習に復帰したときのこと、道場の顔ぶれは変わらず怪我のことは何も言われず、何も無かったようにいつもの練習が始まりました。皆の精一杯の気使いでしょうか、とてもうれしく感じました。

いつになっても汗を流してぶつかり合う仲間がいることはとても幸せです。

さて、漢方の世界でも気が合う仲間があります。このことを知らないで違ったもの同士が混ざり合うと効果が出なくなります。

例えば風邪の引き始めに便秘で苦しむ場合、葛根湯と下剤の漢方薬を一緒に飲むと返って風邪をこじらせてしまいます。葛根湯の成分は、葛根(くず)、麻黄、桂皮(ニッキ)、芍薬、生姜、大棗(ナツメ)、甘草ですが、麻黄と桂皮は気が合う仲間で、発汗効果を強くして風邪の菌を外に出します。

また、芍薬の相棒は甘草で筋肉の緊張を緩め発汗の手助けをします。また、甘草は桂皮とも仲が良く、その働きは、気分を落ち着かせ、のぼせ症状を引き下げます。

生姜、大棗は胃腸の働きを良くして他の生薬の体内への吸収を手助けします。完璧なチームワークです。余談ですが、以上のことから、葛根湯は汗が無いかぜの初期には使われますが、元気なく汗ばんでいる場合のかぜには気をつけてください。

自然界に作られる植物たちは星の数ほどありますがその中から身体に効果有るものを選び抜き、その中から気が合う仲間を探していくことは、奇跡とも言えるでしょう。

その絶対的な法則をしっかり勉強してより確実に漢方薬を合わせていくと漢方薬の素晴らしさを感じることが出来るのです。

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