頭が良くなる薬”スマートドラッグ”は実在するのか?

お手軽に成果を得ることが本当の意味での成長になるのか? スマートドラッグのサプリメントがシリコンバレーから日本に上陸する前に、しっかりと考えておく必要があるでしょう。

これらは、あくまでも合法的なものであるので、近年日本でも一般的になっている「エナジードリンク」のサプリメント版ということもできますが、海外では「エナジードリンクの過剰摂取によって死亡した人がいる」ことを考えると、必ずしもスマートドラッグが安全とはいえません。

 

【スマートドラッグに本当に効果はあるの?】

そんな安全性が不確定なスマートドラッグですが、本当に効果はあるのでしょうか? スマートドラッグの中でも、最も効果的なものは、ハーブやサプリメントではなく、「アルツハイマーやナルコレプシー、ADHD、鬱などといった脳に関する病気を治療するために作られた薬」だとされています。これらは、日本では処方箋がなければ手に入れることが出来ないものですが、海外から輸入することが可能なものが多くあり、それらは、誰でも摂取することができます。

病気の薬ですので、確かに脳への影響を与える可能性は高いわけですが、それが必ずしもポジティブな効果を産み出すかどうかというのは疑問が残ります。そもそも、健常者がこれらの薬を摂取した場合は「プラセボ効果」いわゆる「偽薬効果以上の成果をもたらしていない」という研究も発表されています。仮にポジティブな効果をもたらしたとしても、脳が薬によって刺激を受けることで活性化するということを学習してしまうと、その薬がないと活性化しなくなり、結果「依存症に陥る可能性」が高まります。

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【戦前に使われていたスマートドラッグ 覚醒剤】

このようなことから、スマートドラッグの危険性は常に指摘されてきています。最大の問題としては、人間は薬に慣れてしまうということでしょう。仮にスマートドラッグに本当に副作用がないとして、前述したようなものが杞憂だったとしても、人間は「薬を常用していればその状態になれてしまいます」。そうなると、さらなる「パフォーマンスを得るために、非合法の薬物に手を出してしまう」のです。いきなり非合法の薬物に手を出すのはハードルが高くても、今まで合法の薬物で結果を出してきたために、そのハードルがかなり低くなります。実際に、スマートドラッグでは物足りなくなって非合法薬物に手を出すというケースは報告されています。

「そんな危険なこと本当にあるの?」と思う人もいるかもしれませんが、現在世界的に規制されている違法薬物である「覚醒剤」は、日本でも、戦前は現在でいうところのスマートドラッグとして販売されていたのです。文字通り覚醒剤がもつ「覚醒効果、集中効果」はすさまじいものであり、スマートドラッグとは比べものにならない成果を上げることが出来ますが、その見返りとして「強烈な依存症や肉体的精神的な後遺症が残る」ことはすでに広く知られています。

 

【人体の神秘を侮らない】

私たち人間は、常に科学を発展させてきました。そのために、新しい技術が出来るとそれが常に良い物だと思い込みがちですが、「人体の神秘」というのは、まだまだ科学では解き明かされていない部分も多いものです。その中でも、さらに神秘に満ちた「脳」という分野に、人為的に刺激を与えることが果たしていいことなのかどうか? お手軽に成果を得ることが本当の意味での成長になるのか? スマートドラッグのサプリメントがシリコンバレーから日本に上陸する前に、しっかりと考えておく必要があるでしょう。

 

【参考サイト】
[Neuroenhancement in healthy subject? A French case study].(Pubmed)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22874487

The action of enhancers can lead to addiction(nature)
http://www.nature.com/nature/journal/v451/n7178/full/451520a.html

Smart drag is activates the brain?
Risk of smart drugs.

 

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