土地の神様への捧げ物 地鎮祭と鎮物の秘密

家を建てる前に神社の神職さんを呼んで、土地の守護と家内安全などを祈る「地鎮祭」。最も古い記録だと、西暦690年頃に行われたそうです。

【土俵に鎮物が埋められる理由】

「相撲は元来神事」だったものですので、現代でもその名残がいくつも残されています。

本場所が開催されるまえに、新しく作った土俵を浄めるために行われる「土俵祭」もそのひとつ。意外と知られていませんが、土俵は基本的に1回の興業、すなわち「場所」が終わると取り壊されてしまいます。

つまり、毎回新しい土俵を作るのですが、そんな「土俵を浄めて神々に守って貰う」ために祈願するお祭りが、土俵祭なのです。

こちらは、新しい土俵に御神酒を捧げ、祝詞をあげてから、鎮物を中央に埋めます。この鎮物は「米、塩、するめ、昆布、かやの実、かち栗」なのだそうです。米と塩を中心に、山のものと、海のものがそろっているあたりは、古式に則った神饌といえるでしょう。つまり、神様に喜んで貰うためのものを埋めているわけです。

攻撃的なイメージのある相撲で使われる鎮物が神様を喜ばせるようなものであり、一生住むための家を建てる時に使われる鎮物が神様を鎮圧するようなイメージをもったものというのは、なかなか不思議ですが、古来から土地を巡っていくつもの争いが起こってきたという歴史を考えると、土地を所有するという点については、人間も神には負けられないという気持ちがあったのかもしれません。

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【家を建てる時は鎮物を考える】

このように鎮物は比較的自由に決めることが可能です。

自宅を建てる時にも、神職さんでなく施主や工務店が用意することも出来ますので、ご自身の趣味やスピリチュアルな信条にあわせて選ぶというのも面白いかもしれません。

供物にするのか、鎮圧の道具にするのか、それとも場のエネルギーを整えたり、幸運を呼び込むようなものにするのか? 自分が長い時間住む場所のことですから、その機会があったら、じっくりと考えてみるといいでしょう。


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