「あなたは今、幸せですか？」

僕がアメリカに住み始めた頃、友人がそう聞いたのです。

「幸せじゃないよ」
「それじゃぁ、どうしたら幸せになれるの？」
「そうだね。仕事がうまくいって、生活が安定してからかな」
僕はその頃『何もかも思う通りにいかない』と思っていたので、幸せなど感じれるわけがありませんでした。

「そう。仕事と生活がよくなれば、幸せになれる？」
「そうだよ。そうなれば、きっと僕は幸せなんだ」
友人の質問の真意は何だろう。きっと何か言いたい事があるのかなと思いながらも、僕にとっての幸せとは何だろうと思いをめぐらせながら言いました。

「それじゃぁ、仕事がうまくいかない時や、生活がうまくいかない時は、幸せじゃなくなるの？　仕事や生活の状況が変わるだけで、幸せじゃないなら、あなたは何のために生きているの？　あなたは、仕事をするために生まれてきたの？」
僕は友人の言葉に『はっ』としました。そして友人が言いたい事が解ったのです。
僕は仕事やお金に振り回されていて、生きる目的が仕事やお金になっていたのです。

それから僕は、友人に言われた事を思いながら「生きる目的」について考えるようになりました。

『僕は、何のためにうまれてきたのだろう？』
『生きる目的は何なのだろう？』

瞑想をしながら、そんな質問を自分自身問いかけてみました。そして『自分が迷っていて 先が見えない』と感じた時には、自分の深いところにある「たましい」に聞くように心がけたのです。
きっと『うまれてきた時には、何か目的を思ってうまれてきた』に違いないと、自分がうまれた頃を思い出して「うまれてきた目的」を思い出そうとしました。

そんなふうにして思い出したのは、母親の顔、父親の顔でした。
あの頃の僕は、『二人がいて、家族がいて幸せだった』という感覚を持っていたのです。色々な事があって、泣いたり怒ったりしても、子どもの頃や胎児の頃の僕は、家族のみんなを身近に感じて幸せだったのです。

それがいつの間にか、大人になるにつれ、『生きる目的が仕事になったり、お金になったりして、幸せを感じられなくなっていった』のでした。

生まれた時の僕がそうだったように、赤ちゃんは、人を幸せにするために生まれてくるのです。母親や父親、家族を幸せにしたいと思ってうまれてくるのです。そしてみんなが幸せになって初めて、自分が生まれてきた理由を感じて、自分の幸せを感じるのです。

そういう意味でいうと「赤ちゃんは人を幸せにする天才」なのかも知れません。
赤ちゃんを腕に抱くと幸せを感じたり、妊婦さんが幸せを感じる事が多いと言われるのは、きっと幸せを感じている赤ちゃんと共振するからなのです。

私たちは、そんなふうに人を幸せに導く事によって、結果として自分が幸せになっていくのです。
きっと幸せというのは、そんなに遠いところにあるのでは無くて、子どもや胎児が幸せを感じるように感じれば、それで幸せになれるのです。

みんな生まれてきた時には知っていた「幸せを感じる方法」なのに、大人になっていくと、いつの間にか忘れてしまいます。
それでも目を瞑って、静かに自分と会話をすると、赤ちゃんの時に知っていた「幸せ」を感じる事が出来るのです。

目を瞑って、心の深いところにある「たましい」で感じるよう心がけると、うまれた時と同じような感覚を感じる事が出来ます。
そして、あなたを幸せな気持ちにしてくれて「目で見えないことの大切さを信じさせて」くれるのです。仕事やお金に縛られることなく、幸せを感じれるようになるのです。

生きて此処にいるだけで幸せで、「いつでも どこでも、どんな状態でも、何があっても 幸せ」を感じる事が出来るのです。
そうすると、あなたの感じる「幸せ」は光り輝いて、人を幸せへと導いていくのです。

苦しかったこと、悲しかったこと、辛かったことがあっても、それでも「幸せ」になるのをあきらめないで、これまで生きてきたあなたからは、「幸せ」が光り輝いているのです。
そして、それまで生きてきた軌跡を振り返って見てみれば、きっと誰かを幸せな気持ちにしてきたのに気づくはずです。
あなたのたましいは、灯台のように光り輝いて、みんなを「幸せ」へと導いていたのです。それに気づいた時、あなたは「私は今、幸せだ」と感じるのです。

「あなたは今、幸せですか？」
僕が昔そんなふうに聞かれて、自分自身に問いかけるきっかけになったように、あなたもあなた自身にそんなふうに問いかけてみませんか？
きっと「あなたにとって、一番大切なもの」が見つかって、「今の幸せ」を感じられるようになると思うのです。

上田サトシ