伽座守珊瑚の開運『狼語り狐語り』第6話~『眷族』の団結力が霊界へ導く~

所は現代の東京。下町の片隅を舞台に、狼眷族『グラウ』と狐眷族の『甚六』が織り成す、面白おかしな物語……。下町界隈に発生した《ぬいぐるみ失踪事件》。いよいよ佳境でございます!

 

狼語り……神の使いである『眷族』のチームワークとは

まずは、作り物に霊性をもたらせていた女たちの執念の塊を解かねばならない。

それぞれの女の過去の心をグラウが読み取り伝えると、それを受けて甚六の部下の狐たちがそれぞれの傷や執念を癒す存在に姿を変える。辺りは江戸は元禄から東京昭和初期までの身なりの人(主に男たち)でいっぱいになった。

女たちの念の塊は瞬時にほぐれ、個々に祈願当時の女の姿になり、求める姿の胸元へ飛び込んでいった。それを抱きしめた『人に化けた稲荷狐たち』は精一杯の恋の芝居をしてみせる。

一例を上げれば『あなたに似合うのは笑顔です。』と耳元にやさしく囁く。それだけで執念の塊だった女の姿は露のように消えてゆく。甚六は、なかなか女の執着が解けずにいる部下の側に行き浄化を助ける。

執念という頑固な想念のこびりつきは、理解して欲しい存在に分かってもらえるだけでたやすく昇華するらしい。女の姿が情念と共にすべて消え去ったのを確認すると、甚六の部下たちは狐の姿に戻る。

次にこの人魚の素材の鯉の魂魄のために、周囲に池に注ぐ滝の幻影を作りだした。

滝のぼり36695530

これはグラウが読み取った鯉霊の求めた景色で、長く生きた鯉が滝を登り龍になるための文字通り登竜門になる流れだ。

甚六は青緑色の龍に化身すると、切り裂かれ細工され干からびた皮と化した鯉を想念=イメージで尾頭のある元の姿に癒し『次の生きた鯉としての転生で仲間を守り、住処を安全に導き天寿を全うすれば、昇天した後は龍になる。』旨の神約束を伝えた。

これは元々この鯉に降ろされていた真の運命で、似非人魚となって女の情念を知る事は、『天』が授けた学びであった。

鯉は生前、観音様と愛染明王を祀る寺の池に生きた。再来生以降は地上に体を持たず仏縁から眷族の龍になり、人の恋の助けとして育つのだろう。龍から神約束を知らされて鯉の魂は無念が解かれ、行くべき霊の世界へ送られて行った。

強い執着や恨みが浄化されて、残ったのは、人が『人魚』と思って認識した想念が積もって出来た擬似霊体の人魚霊だ。

大勢の思いが生霊として個性を練り上げたもので、どんなモノでも人がありがたいとか怖いと畏れて祈った物には人の想う念がたくさん固まって霊性を発動するようになる。

名前占いが当たるのはそのせいで、名前や文字なんて人間が作ったモノだ。なのに字の画数には、長年積もり積もってきた人々の膨大な数の吉凶を認識する念が運の流れを作る。

一個人は信じていなくても人はその大きな想念の大河に流される。抗うためには、よほどの精進努力が必要になる。

この人魚の擬似霊は憑いていた実体(作り物)が戦争で焼けて居所が無くなり、罪悪感から成仏できていなかった作者霊を頼って再び入る作品を求めさせた。しかしもうこの擬似霊は素材の無念や女の念が消えたので、そこまでする妖力はない。

 

狼語り/狐語り……神の使いである『眷族』たちの奮闘の結末とは

祠に押しかけた時に強烈な色情因縁を持っていた《人魚霊》は、稲荷眷族の甚六と部下の狐達、天狼グラウの働きで、ただ人の《人魚だ》という認識の集まりが擬似霊化しただけの存在になったなので、ほどなく水たまりが光を浴びて蒸発するように分解されて消えて行った。自然へ還せたことになる。

自然に還す337760270

その人魚が片付くと後の仕事は楽で、烏天狗には烏、鬼にはツノや牙のある獣など、製作の犠牲になった生き物の無念まで混じった哀れな化け物を一つずつ出処をグラウが過去を見て仕分け、甚六たちはそれぞれを行くべき霊界に送り、すべて自然へ還した。

言葉にすると長いが、ここまでにかかった時間は人間社会で言う5分に満たない。

「ありがとう」
甚六が礼を言うとグラウは「ごくろうさん。」と返し「みんなもお疲れ様。」と甚六の部下にも声をかける。

甚六はグラウから仔猫を預けられる事になるが、皆大量の化け物の片付けにくたびれていたのか、前からそう暮らしていように甚六や部下、猫、グラウそれぞれ抵抗なく猫と狐は祠に、狼は近くで用事を済ませていた依り代に付いて帰って行った。

 

甚六の稲荷の祠始まって以来の一番気持ちの悪い事件、解決。

しかしこの経験は、後に偶然受け入れた仔猫との必然のつながりや、此処に縁を持つ眷族に、祠が千年以上前の勧請当時に担った辛すぎて忘れていた由縁を思い出させる引き金になっていた。

それは辛すぎて忘れていたのか、何者かに封じられたからなのか、朧げながらの漠然とした悲しみで、その悲しみの理由もまだその時には分かりはしない。

 

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