伽座守珊瑚の開運『狼語り狐語り』第25話~狐眷族『長老』が語る、後輩眷族と将門の『縁』とは?~

長い戦国時代の歴史を滔滔と語る、狐眷族『長老』。後輩眷族である『甚六』、『ちゃ』、そして『グラウ』の三匹が気付かない、将門との不思議な縁について伝えます。
伽座守珊瑚の開運『狼語り狐語り』第25話~狐眷族『長老』が語る、後輩眷族と将門の『縁』とは?~

 

【 狐眷族『長老』。後輩眷族に将門について語る…… 】

長老は甚六、ちゃ、グラウの三匹をまた上目使いで見ると、鼻息で炎を吹いた。

おぬしたちは魂が本当の将門さまを知っておるのじゃ。会えていないと思うのも無理も無い。神様は何千か所でも、何処に祀られても神様そのものであらせられる。

しかし将門さまは、由縁のある神社仏閣、塚、どこに行っても、お姿が頭胴手足、五体揃っておいでになるように見えても、体に封じられたままバラバラにされた魂のかけらの残像の将門さまなのだねぇ。

ある所では胴や足が、丁寧に祀られ人々の信仰の対象となって、全身像の神々しい光に満ちたお姿。またある所では従者や影武者が将門さまを死してもお守りしようとしている意思が、微かな将門さまの魂の破片を宿した武具や手指にからまり、1000年前の殺気に満ちたお姿のままで現れる。祀られたパーツが頭だから奇魂、胸だから幸魂ではない。

朝廷の加持祈祷で肉体に封じられた将門さまの魂は、一霊四魂、全てが全身に縛られたまま討たれ、切り離されたため血肉骨全てに 四魂がちりじりに分かたれたままなのだよ。

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ちゃのおかげで幸魂(さきみたま)は中心核が守られ、和魂(にぎみたま)は鎧に波動を写した。
ただ、奇魂(くしみたま)だけは、眉間のチャクラを抱える頭に九割が繋がっていた。首塚伝説のある幾つかの場所の中の二つが正真正銘の将門さまのお体で、縁の深いお人の転生した人物によって結びつけられ、生前の将門さまの気配を一番強く現して鎮座されておるねぇ。そこは将門さまの血を吸った大地、星宮神社の結界にある神社だねぇ。だからその神社に降りている将門さまこそ、荒御魂(あらみたま)と、奇魂は魂本来のお姿なのだよ。

神田明神=神田神社におられる将門さまは、大手町の首塚に由来する幸魂と和魂の破片から成る。いつまでも鎧兜の武将の姿で、見た目の年齢も亡くなられた時のまま、真摯な民と国を護る意識に満ちて、西暦730からのご祭神である大己貴命様と明治維新に勧請された少彦名命様に対して帝にお仕えする武将らしく、遠慮した立ち位置から参拝者や街を加護しておられる。幸魂と和魂の破片からなる残像とはいえ、徳川さまの世になってからは、江戸っ子に祭神として慕われ、人々の祈りに育まれ、大きなご霊威になられた。

猫殿の記憶を見た後の同輩の『首塚とかさ、神田明神や国王神社に祀られている将門さまはそこにおられるの』と『この世に生きていたのに神様になるのってどういうこと。』などの質問の答えはこれだねぇ。肉体に封じられた人智を超えた正義と信念を持つ魂のかけらが、その破片となった肉体の祀られた所で、祈る人々の意識に形作られて生前の姿に表象化し、生前の本人と、祈る人々が望んだ力を発動してゆく。

先ほどの正室を騙った女とは違い、人霊ながら神になるのだよ。神に近い意識と霊力を持つ人霊だったからこそ神として祀られることで神となったとも言える。しかしそれは先の件と同じく『輪廻転生の輪から外れる』ことでもある。将門さまが先祖な人々は多くおられても、将門さまが前世という生まれ変わりのお人はなかなかおられぬのだねぇ。

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『輪廻転生の輪から外れる』とはな、国を守る、もしくは、帝をお守りしたいという至誠がある者にしか耐えられぬ過酷な選択なのだよ。魂の一部でもその至誠のために『輪廻転生の輪から外れる』ならば、幸魂でも和魂でもその決意の意思のままに思いを全うする。

至誠や神霊能力の有る者が亡くなって『霊となって敵になる』のを恐れて神として祀る【祟り封じ】は『霊となっては祭れば味方してくれる』というプラスの意味に転じもするが、祀られる側は輪廻転生から外され孤高なまま類稀な神霊能力で願う者や人、国を守る。魂のパーツの一つでも、たとえば奇魂(くしみたま)だけが輪廻転生から外れて神として祀られ、祈る人々の至誠に支えられて霊威は大きくなってゆく。

実際は祟ら無いようにとして祀られた小野篁さまや安倍晴明さまもそうさ。将門さまの事に話を戻せば、魂が体から出れないように呪詛をかけられたまま、討たれてバラバラにされた将門さまは、バラバラに葬られて復活(輪廻転生)を妨げられた。しかし魂には永遠の法則がある。猫のちゃがそうであったように魂は一霊四魂全て、時をかけてももとの姿に還るものさ。

後世に、すぐれた神霊能力のある縁者が人として転生し、それを助けるが、完璧にしたつもりでも部分だけだったりして、簡単には行かない。天文学的な年月をかけて各地に祀られた魂のかけらが繋がるまでに各地に祀られた欠片(かけら)は強大な霊威になっているのだろう。

すべてがつながり将門さまの一霊四魂が揃うときには、それぞれの欠片としての経験値も融合して多くの人々を救う真の神霊となる。