古代から脈々と続いている最も大切な宮中祭祀「新嘗祭」。あなたも豊穣のエネルギーを体内に取り入れませんか?

旧暦の新嘗祭は現在でいうと「冬至」に非常に近い時期であることがわかります。 冬至といえば、日本のみならず「世界各地で様々な儀式が行われる日」です。

【最も重要な宮中祭祀】

「宮中祭祀」というものをご存じでしょうか? 宮中、すなわち皇居において天皇が執り行う祭祀のことです。
そもそも、天皇にとって最も重要な役割は「神事」であるとされているのです。

現在、宮中祭祀は宮内庁が発表しているものだけでも、「1年で24種類」存在していますが、その中でも最も古く、宮内庁が「宮中恒例祭典の中で最も重要」とするのが「11月23日」に行われる「新嘗祭」なのです。

 

【天照大神から続く新嘗祭】

最も重要といわれるだけあって、その起源は古く、一説によると「天照大神が天孫である瓊瓊杵尊に種籾を授けたことがはじまり」とされています。
この種籾を地上で栽培するようになったことで、私たち人間が繁栄していったわけです。

さすがに、天照大神から種籾を授かった直後の祭祀がどのように行われていたのかはわかりませんが、今から1200年以上前に制定された「大宝律令」によると、すでに新嘗祭の根本的な部分は成立したとされています。
それから、時代が経つにつれて、宮中祭祀は増えたり減ったりしたわけですが、そんな中で唯一古代から受け継がれたものこそが「新嘗祭」とされています。
なぜ、古代から受け継がれたとわかるのかというと、『古事記』にその記述が残っているためです。

そんな由緒ある新嘗祭がどんなものかというと、簡単にいってしまうと「天皇が五穀豊穣を天へと感謝するお祭り」です。
「嘗」には「穀物を神に供する」という意味がありますので、秋になって新しく収穫された穀物を捧げて、今年の豊作に感謝するというわけです。

 

【お米を食べることで、豊穣の力を取り入れる】

日本を代表する穀物といえば、お米がイメージされますし、実際に主食であるお米はとても重要なものとなっています。
そのために、皇居内には水田があり、昭和天皇以降は、「天皇自らが田植えをし、そこで収穫されたお米が新嘗祭で供される」ことになります。

しかし、他にも穀物は存在しています。
お米にプラスして、「麦やあわ、豆、黍」といった全部で5種類の穀物、すなわち「五穀」を供えるのが一般的となっています。
新嘗祭は宮中のものが最も有名ですが、他にも全国各地の神社で行われているのです。

宮中の新嘗祭の一番のポイントは、五穀を単に神様に捧げるだけでなく「自らも食べる」ということ。
天皇は天照大神の子孫であるとされています。
前述したように、そもそもが天孫へと種籾を渡したことが新嘗祭のきっかけとなっているわけですので、五穀を食べることで、「天照大神によってもたらされた豊穣の力を天皇が自らに取り入れて、それを国中へと伝える」といった意味合いがあるわけです。

 

【新嘗祭は太陽と豊穣のエネルギーと深く関係している】

一般的には11月23日は「勤労感謝の日」となっていますが、本来は新嘗祭として日本全国で秋の恵みに感謝していたわけです。
地域によっては新嘗祭までは、収穫されたお米を食べないという風習があったともいわれているほどです。

しかし、本来は「旧暦11月の二回目の卯の日」が新嘗祭だったのです。
このことを考えると、そのタイミングで秋のエネルギーがこめられた食べ物を取り入れるということに深い意味があったのかもしれません。

旧暦の新嘗祭は現在でいうと「冬至」に非常に近い時期であることがわかります。
冬至といえば、日本のみならず「世界各地で様々な儀式が行われる日」です。
太陽の力が最も衰える日であり、逆にそこから太陽の力が復活していく日でもあるわけです。
そのタイミングで、太陽の神である天照大神の子孫である天皇が、太陽のエネルギーに育まれた食べ物をその身に取り入れることで、「豊穣のエネルギーが動き始める」と考えることもできるでしょう。

太陽がもたらすエネルギー、お米をはじめとした穀物がもたらす私たち人間を生かしてくれるエネルギー、そして日本という国の根本ともいえる天照大神や天皇のエネルギー、それらがすべて動く新嘗祭。宮中では夕方から翌日の未明までと、長時間にわたって儀式が行われるということですが、儀式はしなくとも、「11月23日には新米を食べて、太陽と豊穣のエネルギーを体感してみましょう!」

 

The most important martyrs ritual.
The day to incorporate the energy of the sun and fertility.

 

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