誰かを嫌いになりそうになったら〜感情美人への道Vol.81

「この人は、こんな人だ」と一度イメージを持ってしまうと、それがその人を覆うベールになって、他の部分が見えなくなってしまいます。

皆様こんにちは。
今日は「人の本質」を見ることの難しさを書こうと思います。

もう一年半ほど前ですが「断片的なイメージでその人の本質にどれだけ盲目になっているか」という記事を書きました。
https://www.el-aura.com/rion20151006/

カナダの治安の悪い地域で、身体障がい者に対する犯罪を取り締まるため、警官がおとり捜査をした時のエピソードです。
身体が屈強な警察官が社会的弱者に変装し、車椅子に乗った状態で街の中に放り出されました。
昼間から麻薬の密売人や売春婦がうろつくストリートに弱い人が放置されたら、どうなってしまうでしょう……? 意外な事が起こるので、ぜひリンクからご覧になって下さいね。

今回改めて「人の本質」について書く事にしたのは、私は相変わらず「本質」ではなく「イメージ」でその人を判断してしまっている、と最近痛感したからです。

 

今回私が誤解していたのは、アリアナ・グランデ。

皆様もご存知の通り、5月22日に彼女のコンサートがテロの標的となり多くの犠牲者が出ました。
事件後、彼女は一時米国に帰国しましたが、わずか4日後SNSで長文のメッセージを発表します。
そこでは、6月4日に事件のあった会場に戻りチャリティーコンサートを開く事が、彼女の決意と共に長文で記されていました。

私が特に心を動かされたのは、次の文です。

We will not quit or operate in fear.
We won’t let this divide us.
We won’t let hate win.

(私たちは、恐怖に絶対道を譲らない。
この事件は、私たちの絆を断ち切ることはできない。
憎しみに勝たせはしない)

自分のコンサートで多くの死傷者が出て、尚且つ、ISからは犯行メッセージが出ている。
このような状況で、これ程力強いメッセージを発信できる人はこの世に何人いるでしょうか。
普通の人ならば「いかに逃げるか」「自分を守るか」しか考えられないと思います。
もしくは、自分の心の平静を保つのに必死で、犠牲者のケアや今後の活動は全く考えられなくなるでしょう。

でもアリアナは、歩みを止めませんでした。テロと真っ向から勝負を挑んだのです。
彼女はまだ23才。
これが、世界を相手に戦って来たアリアナの真の姿。

今まで、彼女のイメージは「移動する時は歩きたくないから、スタッフにお姫様抱っこを要求」とか、「売り物のドーナツに指突っ込む」というニュースが出回っていて、どちらかと言うと余りいいイメージを持っていませんでした。
実際、米国では嫌いな有名人のランキングで1位や2位になった事もあります。

確かに褒められた行動ばかりではないけれど、今まで私たちは、アリアナの持つ「勇気・行動力・愛」の部分に十分な光を当てて来たのでしょうか。
実際6月4日に行われたコンサートは、アリアナは他の世界的アーティストと一緒に素晴らしいステージを見せてくれました。
ステージに立つことは自分の使命と分かりつつ、大きな恐怖も伴ったことでしょう。
それに膝を屈しなかった彼女は、本当に偉大だと思います。

 

「この人は、こんな人だ」と一度イメージを持ってしまうと、それがその人を覆うベールになって、他の部分が見えなくなってしまいます。

そして「嫌いな人は、より大嫌いに」「苦手な人は、より苦手に」なってしまうんです。
でも「大嫌い」になった原因を探っていくと「ちょっとした断片」があなた自身のメガネによって拡大された場合が多くないでしょうか。

誰かを嫌いになりそうだな、と感じた時は、あなた自身があえてその人の嫌な部分だけに目を向けていないかどうか、ぜひ一度振り返ってみて下さいね。

 

《柊 りおんさんの記事一覧はコチラ》
https://www.el-aura.com/writer/2012102201/?c=17188