不運を幸運に変えるマジックワード〜感情美人への道Vol.58

こぼれたミルクは、もう元の瓶には戻らないのです。

まだまだ暑い日が続きますが、皆さまいかがお過ごしですか? お盆を利用して、長旅をされた方もいらっしゃったのではと思います。

さて、お盆の帰省や旅行で賑わう羽田空港では、先日、乗客の預けた荷物を乗せずに飛行機が離陸してしまうというトラブルがありました。どうやらベルトコンベアー機の故障が原因のようでした。荷物を全く乗せずに飛んでしまった飛行機は12便。一部積み忘れがあったのが10便あったそうです。

 

こういう時ですよね。その人の本質が見えるのは……。

夕方のニュースでは、対照的な2人の男性が映っていました。1人は50代くらいの男性。届いた荷物を並べていた空港職員に「どこに行けばいいかも分からないし本当に困ンだよ!! いい加減にしろッ!!」としつこい位、怒鳴っていました。

一方、30代くらいの男性は、旅先で移動手段として使おうとしていた「自転車」が届かなかったもよう。「困りましたねぇ」と苦笑いしながらも、届いた自転車を組み立て爽やかに空港から走って行きました。

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みなさんが同様のトラブルに巻き込まれたら、どっちの男性のリアクションに近いでしょうか……? そして今回の旅をより楽しめるのは、どちらの男性だと思いますか?

辛口になりますが、50代の男性は「事実を受け入れるのがヘタ」なんですね。怒鳴ったところで荷物がすぐ手元に届く訳ではないし、ストレスホルモンの影響で判断力もなくなり、視野も狭くなります。

こういうときに、今回おすすめする「マジックワード」を反すうしてみて下さい。その言葉は……

「もう、仕方ないかっ!」

そう、いい意味での「あきらめ」です。「諦める」を辞書で調べると、こう書いてあります。「望んでいることが実現できないと認めて、それ以上考えることをやめる」『新明解国語辞典』 より

 

もう、「砂漠の砂を掘りなさんな」という事ですよ。

また、「諦める」とは、「明らかにする」という事でもあります。「もう仕方ない!」という開き直りは、実は事実を受け入れ「さぁ、こっから自分に何ができるかやってみよう!」という、プラスの心の態度なのです。

この心の態度を作ることで、次への解決策を冷静に考えられます。前回、前々回の記事で、「運がいい人と悪い人の違い」を心理学的側面から詳しく解説しました。「運がいい・悪い」は出来事ではなく、その捉え方に大きく影響されるのでしたね。

もう大分前のことになりますが、ひとつ、私が経験したことをお話させて下さい。1才の娘の育児と父親の介護をしながら、通訳学校に通っていた時のことです。学校は毎週土曜日で、その日も娘をシッターサービスに預けて学校へ向うため電車に乗っていました。すると、強風のため電車が線路上で停車したのです。

いつになっても動く気配はありません。その日は学校でテストがあり、この日のために勉強していた私はかなりイライラしました。「シッター代金まで払って来てるのに!しかも授業料だってかなり高いし、テストは受けられないし……。こんな事なら車で来るんだった!」

でも、その時ふと思ったのです。「運がいい人は、こんな状況からでもプラスの種を見つけられるんだろうなぁ」密室の中で「プラスの種、プラスの種……」と探してみたのですが、ローカル線の電車の中はおにぎりを食べているおばちゃんや、音楽を聴くお兄ちゃんがいる位で、諦めてふて寝をしようと目を閉じました。

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すると「そうだ。久しぶりに仕事を探してみよう!」と思い立ったのです。当時は「いつ仕事を休むか分からないようなシングルマザーを雇ってくれる職場なんて、ある訳ない」と思い、職探しすらしていなかったのです。携帯でアクセスすると、英語を使えそうな事務の仕事がありました。そこでエイッとエントリーボタンを押したところ、その2週間後には「いつでもお休みしていいですヨ」という何とも有難い職場で仕事を得る事ができたのです。

もしあの時強風で電車が止まらなかったら、私の職場復帰は更に遅れたでしょうし、育児と介護を両立できる職場も見つけられなかったかもしれません。電車が止まってくれた事は、私にとって「運が良かった」のです。

私達の日常は、一見すると不可抗力なことばかり。でもそれを逆手にとって、自分にラッキーを呼び寄せることもできます。そのためには、とっとと「まぁ、仕方ないか」と事態を受け入れてしまうに限ります。下手に抵抗しようとすると、自分自身が苦しくなってしまいますよね。

こぼれたミルクは、もう元の瓶には戻らないのです。

あきらめ、前に進む。

こう決めておくだけで、思いがけず道が開けてくることも多いのです。

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