そして「実際の思い出」と「気球の偽の思い出」について、7~16日の間に合計3回インタビューを行いました。「気球に乗った思い出について、細かいものでも構わないので何か話してくれませんか?」という具合です。
すると、1回目のインタビューでは20人中7人の参加者が、実際にない気球の思い出を話し始めました。そして3回目では、実に50%の参加者がフォールスメモリーを作り出したのです。
「当時小学生で、確か10ドルで気球に乗れて20m位上がったんですよ」
「ママが下にいて、写真を撮ってくれたのは確かです」という風に。
なぜ、このようなフォールスメモリーが
作られてしまうのでしょう?
(詳細を全て説明すると長くなってしまうので、シンプルにしますね)
1.その記憶が事実であると思い込む
2.それについて思い出そうとすると、関係ない色々な記憶の断片が思い出される
3.想起された様々な記憶の断片がつなぎ合わされると、「その時」の記憶が蘇ってきたと捉えてしまう
4.一貫したフォールスメモリーが完成される
……いかがでしょうか?にわかには信じ難いですけれど、こういう仕組みで偽の記憶が作られてしまうのです。フォールスメモリーでは「イメージ化」が肝なのですが、あるものを想像してイメージ化すると実際に生じた知覚とイメージ化によって生み出されたものが区別できなくなってしまうのです(これを「イメージ膨張効果」といいます)。
本当は自分の中にある記憶の多くが書き変わっているか、実際には存在しない出来事の可能性もありますね。実は今懸念されているのが、「偽の記憶を植え付ける」という技術なんです……!
記憶が変容するのはちょっと気持ちいいのもではありませんが、むしろ「辛い」と記憶しているものは「事実でなく自分が作り出した可能性もある」と考えれば、新しい未来を踏み出すきっかけとなるかもしれません。
参照:
『つくられる偽りの記憶 あなたの思い出は本物か?』越智啓太 DOJIN選書
前回の記事はコチラ:
感情美人への道Vol.25~あなたは前世を思い出しやすいタイプ?作られる記憶~