感情美人への道Vol.19 ~ 幸せを感じるには「終わり方」が一番大切!〜

実は、イベントの「最後の瞬間」が「苦痛」であれば「イベント全体が不愉快」と感じ、途中で何度か嫌な思いをしても最後の瞬間が「楽しい」ものであれば、「イベント全体のイメージが良く」なりがちなのです。

All’s well that ends well

私たちは経験を全て平等に評価せず、偏った比重で評価します。
特に大切なのが「終わり方」
例えばパートナーと旅行に行って、途中まではすごく楽しかったのに、最後の最後で喧嘩して旅の思い出が最悪になったなんて事はありませんか?
実は、イベントの「最後の瞬間」が「苦痛」であれば「イベント全体が不愉快」と感じ、途中で何度か嫌な思いをしても最後の瞬間が「楽しい」ものであれば、「イベント全体のイメージが良く」なりがちなのです。

これを裏付ける「冷水の中に手を浸す実験」というのがあります。

ここで被験者は

①14度の冷水(かなり冷たいがギリギリ我慢できる温度)に60秒間片手を浸し、60秒が終了すると手を出すように言われ、温かいタオルが渡される

②14度の冷水に60秒片手を浸すところまでは①と同じだが、60秒が過ぎると温かいお湯が注がれ、被験者は1度温度が上昇した水中にプラス30秒手を浸し続ける

という①と②の実験を左右の手で1回ずつ行い、3回目は「①と②のどちらの実験ならもう一度しても良いか」自由に選べるようにしました。

普通に考えると、30秒も余計に冷水に手を浸したくないので①を選びそうなものですが、被験者の80%があえて30秒間余計に苦痛を味わう②を選んだのです。

似たような結果は、麻酔を使わない大腸内視鏡検査でも見てとれます。

①患者Aの検査は8分で終了したが、終了した瞬間に非常に苦痛を感じていた
②患者Bの検査は24分かかったが、終了した瞬間はほとんど苦痛を感じていなかった

という場合、患者Aの方が患者Bより2倍弱この検査に悪い印象を持ちました。

(参考文献:『ファスト&スロー 下』ダニエル・カーネマン 早川書房)

これは、私たちが「経験」と「記憶」を混同して「認知的錯覚」が生じるからです。

特に「どんな終わり方をしたか」が記憶にとても大きな影響を及ぼします。

途中経過がいくら楽しくても、最後がそうでなかったばかりに他の楽しい思い出も帳消しになってしまいがちです。(実際に経験は帳消しにはならないのですが、そう感じてしまうのです)

これは離婚や転職にも当てはまりますね。

「あいつは最低だった!」とか「あの職場は最悪だった!」と感じていたら、もしかしたら最後の接点を持った瞬間が良い形ではなかったのかもしれません。

夏の思い出をより楽しいものにしたい! とお考えなら、途中のプランニングはもちろんですが、ぜひ「どう終わるか」を意識してプランを立ててみて下さいね。